問題
対角行列 $ \mathbf{W}$ について、その要素 $ W_{ii}$ が $ 0 < W_{ii} < 1 $ を満たすとき、 $ \mathbf{W} $ は正定値行列となることを示せ。
また、2つの正定値行列の和はやはり正定値行列となることを示せ。
方針
正定値行列の定義は、
\begin{align*}
「\mathbf{W}が正定値 ⇔ \mathbf{x}^{\mathrm{T}} \mathbf{W} \mathbf{x} >0 (\mathbf{x} \neq \mathbf{0})」
\end{align*}
となります。
また、対角行列は対角成分以外の要素は全て0です。
これらの定義や性質にしたがって、証明を行います。
解答
まず、行列 $ \mathbf{W} $ が正定値であることを示す。
\begin{align*}
\mathbf{x}^{\top} \mathrm{W} \mathbf{x} &=\sum_{i, j} W_{i j} x_{i} x_{j} \\
&=\sum_{i} W_{i i} x_{i}^{2}>0 \quad\left(\because W_{i i}>0\right.)
\end{align*}
次に、2つの正定値行列 $\mathbf{A}, \mathbf{B}$ の和は、やはり正定値行列となることを示す。
\begin{align*}
\mathbf{x}^{\top}\left(\mathbf{A}+\mathbf{B}\right) \mathbf{x}=\mathbf{x} ^{\top} \mathbf{A} \mathbf{x}+\mathbf{x}^{\top} \mathbf{B} \mathbf{x}>0 (\because \mathbf{A}, \mathbf{B}は正定値)
\end{align*}
よって、題意は示された。