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RPAを導入した後について考えてみる

Last updated at Posted at 2022-07-29

RPAのコンセプトとして少ない投資で大きな成果というのがあると思うんですが、
RPAの場合、システム開発によってシステム提供する場合にはなかった運用コストというのがあるように感じています。
これに関しては現場で小規模なロボットを自作して活用する場合は影に隠れてしまって出てこない部分なのではと思うのですが、
RPAの開発を行って提供するような部署が規模の大きなロボットを作成する場合、抱えているロボットの規模と数が影響して表に出てきてしまうと思います。
実際にロボットを導入した後の話について少々書いてみます。

RPAの動作安定性について

しばしば、RPAのロボットとシステム開発で作成したアプリケーションに同等の動作安定性があるかのように思い違いをしているケースがあります。
RPAの場合、本来は人が操作する為に作成されたインターフェイスをソフトウエアに操作させる関係でアプリケーションと同じ安定性を保証する事は出来ません。
人が操作するという部分は、人が目で見て判断し、画面を操作するという部分になりますが、人の場合はその時に行っている作業以外の情報が横やりを入れてきても良しなに対処できます。
ロボットにそれが出来るかというと100%の対応は不可能です。
たとえば、あるツールを実行して作業完了のダイアログが表示されるのを待ち合せているとします。
表示されたダイアログのOKボタンを押してダイアログを消し、ツールを終了させる流れの場合にダイアログが表示された直後、そのダイアログの上にバックグラウンドで動作しているソフトウエアのポップアップが重なったとします。
ロボットはダイアログのOKボタンの位置をクリックしますが、上にポップアップが重なっている場合にクリックは空振りします。
ダイアログが消えるのを待っているステップでいつまでたってもダイアログが消えないので待ち合わせのタイムアウトでエラーになり、ツールは閉じる事が出来ずに残ります。
ポップアップが一定時間で閉じるタイプの場合は後で確認した時には消えているので何が原因でタイムアウトが起きたのかはわからない事になります。
起こりうる事態にすべて対応する事は事実上不可能なのでどうしても失敗する可能性が出てきます。
要因は一定ではないので起こらない時は全く発生せず、発生する時は立て続けに発生します。
RPAによる自動化に関してはRPAでエラーが発生した場合に人間が対応する事が出来るようにしておく必要があり、
そのリスクは常に存在し続けます。
RPAの場合、ネットワークの状態による遅延やPCの動作負荷による表示タイミングの変化によって最初は問題なく動いていた物が突然エラーを出して動かなくなるケースがアプリケーションに比べて多いのです。

RPAの不安定さが生む運用コスト

現場で作成した規模が小さなロボットの場合は、
作った本人が使っているような場合も多いので動作中に失敗してもすぐにリカバリーできているので表に出てきにくいのですが、
開発部署が作成した規模の大きなロボットに関しては利用者側で全部を理解しているわけではない為、
利用者側だけで判断する事が難しく、開発部署に対して問い合わせる事になります。
この問い合わせに対する対応はアプリケーションを提供している場合に比べると遥かに多いというのが実感です。
ロボットをリリースするとこの問い合わせが不定期に発生します。
RPAの問い合わせに関しては実際に処理を実行した結果発生しているという状況の為、即時の対応が求められることがほとんどです。
原因の調査から始まって必要に応じてロボットの調整(タイムアウト時間の調整等々)や運用上の注意事項の連絡etc...
存外時間を取られるケースが多いのです。こうした運用コストはリリースするロボット数が増えれば増える程、増大します。

運用側で考慮しておく必要があるコスト

RPAが持つ仕組み上の制限から発生する不安定さは、運用する側にも影響を与えます。
通常、業務用のツールとしてリリースされたアプリケーションはネットワークの影響やサーバーのリソースなどの要因を除いて安定して動作するのが普通です。
この場合、動作に失敗して中途半端な状態でツールが終了してしまうようなケースはあまりないのでリカバリー作業を人間が行う必要はほとんどありません。
RPAの場合は画面の操作時に他のアプリケーションによる想定外の割り込み等があれば、簡単に失敗します。
それこそ、処理の途中の終了待ちで空振りしてしまった等の現象で途中まで処理された状態で終わってしまうケースは割と多いのです。
こうした人手によるリカバリー作業は、運が悪いと何回も連続で発生する可能性があります。
うまく動いて当たり前という感覚で運用していると現実のギャップで苦情が出るケースもあります。
現場にリリースする際にきちんと説明しておかないとRPAを入れなければよかったという話になりかねないので注意が必要です。

運用コストも考慮に入れた上での適応計画

RPAは作成した後にかかる運用コストも馬鹿になりません。
稼働しているロボットの数が少ないうちは内部で吸収していた物がリリースされたロボットが増えていくにしたがって吸収しきれなくなってきます。自動化を進めていくとロボットの稼働数が増加するのは当たり前の話ですからそれに伴って発生する運用コストの部分も考慮入れて自動化をどう進めていくかを検討すべきです。
作成した後もコストがかかるのだという認識を持ちましょう。

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