0. はじめに
ネットワークというのは、コンピュータやスマホなどが通信して情報をやり取りする仕組みのことです。
でも、この仕組みを一つ一つ分解して考えると、実はいろんな「やること」が順番に行われています。
それを整理して「レイヤー(層)」という形にしているんです。
手紙も「送り手」と「受け手」で情報をやりとりしているので、今回はそれに合わせて説明してみます。
1. 手紙の例で考える「レイヤー」
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まず、手紙を書く(内容を決める)
これが一番大事な部分です。相手に何を伝えたいのかを決めます。 -
封筒に入れて、住所を書く
手紙そのままじゃ届かないので、相手に分かるように封筒に入れて住所を書きます。 -
ポストに投函する
自分で届けるのは大変なので、郵便局の人に手紙を渡します。 -
郵便局が手紙を配送する
郵便局の人が手紙を持って、相手の住所まで運びます。 -
相手が手紙を受け取る
最後に相手が手紙を開いて読むことで、情報が伝わります。
2. OSI参照モデルにおける各レイヤーの具体的な役割
第1層: 物理層(Physical Layer)
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実際のネットワークでの役割:
物理層は、データが実際にケーブルや無線で送信されるための「物理的な仕組み」を担っています。具体的には、データを0と1のビットに変換し、電気信号や光信号として送信します。 -
郵便局の例:
これは、手紙が実際にポストに投函される部分に相当します。手紙(データ)が物理的に運ばれるために、郵便局のトラックが動き出します。 -
実例:
イーサネットケーブルやWi-Fiがこの層の一部です。イーサネットでは、ケーブルを通して電気信号がやり取りされ、Wi-Fiでは電波を使って通信が行われます。
第2層: データリンク層(Data Link Layer)
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実際のネットワークでの役割:
データリンク層は、隣接する機器間の通信を管理し、データのフレーム化、エラー検出、フロー制御を行います。この層では、データが正しく届くかどうかを確認します。 -
郵便局の例:
これは、郵便局の窓口での作業に例えられます。窓口のスタッフが手紙の封筒をチェックして、正しい住所が書かれているか、重さが適切かを確認します。 -
実例:
MACアドレスを使って、デバイス同士の通信を管理します。例えば、Wi-Fiルーターがネットワーク上のデバイスにデータを送るとき、MACアドレスを使って正しいデバイスを特定します。
第3層: ネットワーク層(Network Layer)
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実際のネットワークでの役割:
ネットワーク層は、データがどのようにして目的地に届くかを決定します。ルーティングを行い、パケットを異なるネットワーク間で転送します。 -
郵便局の例:
これは、郵便トラックが手紙を配送する際に、どのルートを通るかを決める部分に相当します。たとえば、渋滞や工事を避けるための最適な道を選ぶことです。 -
実例:
IPアドレスを使用して、データがどのネットワークを通過して目的地に到達するかを決めます。ルーターは、パケットを送る最適な経路を計算します。
第4層: トランスポート層(Transport Layer)
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実際のネットワークでの役割:
トランスポート層は、データの信頼性を管理します。データを小さなパケットに分けて、再送やエラー検出を行います。 -
郵便局の例:
これは、手紙がちゃんと届いたかを確認する部分です。もし手紙が途中で壊れたりした場合、再送の指示を出すことが含まれます。 -
実例:
TCPやUDPがこの層で動作します。TCPはデータの到達確認を行い、エラーがあれば再送します。一方、UDPはスピード重視で確認を行わないため、動画ストリーミングなどでよく使われます。
第5層: セッション層(Session Layer)
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実際のネットワークでの役割:
セッション層は、通信セッションを管理します。これには、通信を開始、維持、終了するためのプロセスが含まれます。 -
郵便局の例:
友達と手紙のやり取りの約束をし、途中で何度か手紙を送ったり確認し合いながら、最後に「これで終わります」と言って通信を終了する。 -
実例:
セッション層では、リモートデスクトップ接続やオンライン会議のように、接続が切れたときに再接続を行う役割を担います。
第6層: プレゼンテーション層(Presentation Layer)
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実際のネットワークでの役割:
プレゼンテーション層は、データの形式を変換したり、暗号化や圧縮を行ったりします。異なるシステム間でデータを理解できるようにします。 -
郵便局の例:
これは、手紙の言葉が相手に通じるようにする部分です。たとえば、手紙の内容が日本語なのか英語なのかを確認することに似ています。 -
実例:
JPEG画像やMP3音声の圧縮、暗号化などがここで行われます。たとえば、Webページが表示されるときに、ブラウザがHTMLを読み取って表示します。
第7層: アプリケーション層(Application Layer)
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実際のネットワークでの役割:
アプリケーション層は、ユーザーが直接利用するアプリケーションやサービスが動作する層です。ここで実際にやり取りされるデータや情報が扱われます。 -
郵便局の例:
これは、手紙の内容そのものです。実際に「友達に何かを伝えたい」と思って書く手紙の中身です。 -
実例:
ウェブブラウザ、メールクライアント、SNSアプリなどがこの層で動作します。ユーザーが直接触れる部分であり、最も身近な層です。