34
34

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

「Hello world」を読み解く

Last updated at Posted at 2018-04-01

概要

春なので、初心にかえって 「Hello world」を書いてみました。
皆さんご存じのとおり、「Hello world」は入門用のシンプルなコードです。
しかしその反面、その言語に入門したばかりの初心者には分かりづらい、特徴的な箇所も若干あります。

この投稿では、「Hello world」の特徴的な箇所を解説してみます。
たかが「Hello world」、されど「Hello world」。

HelloWorld.java

まずは、この投稿の主役となるコードを見てください。
ごくごく普通の「Hello world」です。

HelloWorld.java
public class HelloWorld {

  public static void main(String[] args) {
    System.out.println("hello, world");
  }

}
HelloWorld.classの実行結果
hello, world

「Hello world」の特徴的な箇所

それでは、(一般的なJavaプログラムと比べて)「Hello world」の特徴的な記述を見てみましょう。
各項目には私の独断で「特殊度」をつけました。★が多いほど特殊(一般的なプログラムでは見かけない記述)ということになります。

package宣言がない (特殊度: ★★★)

一般的なJavaプログラムはpackage(パッケージ)宣言から始まります。
しかし、HelloWorld.javaには、package宣言がありません。

package宣言の例
package com.example.xyz;

package宣言がないと、クラスは「デフォルトパッケージ」という特殊なパッケージに属することになります。
「デフォルトパッケージ」は「無名パッケージ」と呼ばれることもあります。

「デフォルトパッケージ」に属するクラスは、他のクラスからimport(インポート)することができません。
import宣言では、「パッケージ名を含めたクラス名1」を指定する必要があるからです。

import宣言の例
import com.example.xyz.HelloWorld;

特殊度は?

他のクラスからimportできないクラスは不便なので、「デフォルトパッケージ」はサンプルコードのような使い捨てのコードでしか使いません。

使い捨てでない一般的なプログラムでpackage宣言が存在しないことはまずないので、特殊度は**★★★(3)**とします。

クラス宣言に、extendsがない (特殊度: ☆☆☆)

Javaでは、すべてのクラスはObjectクラスのサブクラスとなります。
Objectクラスの直接のサブクラスの場合、extends Objectの記述は省略することができます。
つまり、HelloWorldクラスは、Objectクラスの直接のサブクラスとなります。

Objectクラスの直接のサブクラスを宣言する例
// 以下のクラス宣言と全く同じ意味
public class HelloWorld {
  // ...
}

// Objectクラスの直接のサブクラスであることを明示
public class HelloWorld extends Object {
  // ...
}

特殊度は?

extends Objectをわざわざ明記することは通常ありません2
というわけで、特殊度は**☆☆☆(0)**です。

mainメソッドが定義されている (特殊度: ★☆☆)

mainメソッドは、特殊なメソッドです。
javaコマンドでは、実行時に指定されたクラスのmainメソッドが呼び出される仕様となっています。

以下、javaコマンドの公式ドキュメントから引用します。

java コマンドは Java アプリケーションを起動します。これは、Java Runtime Environment を起動し、指定されたクラスをロードし、そのクラスの main メソッドを呼び出すことによって行われます。

このメソッドは、public および static として宣言する必要があります。また、値を返してはいけません。さらに、String 配列をパラメータとして指定できなければなりません。メソッド宣言の形式は次のとおりです。

public static void main(String[] args)

上記のとおり、以下がjavaコマンドから呼び出されるメソッドの条件となります。

  • メソッド名が、mainである
  • アクセス修飾子が、publicである
  • static(静的メソッド)である
  • 戻り値が、voidである
  • 引数が、String[](String配列)である

なお、指定されたクラスに呼び出し可能なmainメソッドが存在しない場合、javaコマンドは以下のようなエラーになります。

mainメソッドが存在しない場合のエラー例
> java HelloWorld
エラー: メイン・メソッドがクラスHelloWorldで見つかりません。次のようにメイン・メソッドを定義してください。
   public static void main(String[] args)

親切ですね。

特殊度は?

特に特殊な記述というわけではありませんが、規模の大きなプログラムの場合、殆どのクラスはmainメソッドを持ちません。
もしかしたらmainメソッドを使ったことがないJavaプログラマーもいるかもしれない3ので、特殊度は**★☆☆(1)**としておきます。

「Hello world」の具体的な処理

長くなったので、別投稿にしました。
System.out.println("hello, world")を読み解く

HelloWorld.java(冗長な記述)

ここまでの解説をコードに反映してみました。
コメントも沢山いれたので、読んでみてください。

HelloWorld.java(冗長な記述)
// pacakege宣言を省略することで、このクラスはデフォルトパッケージに所属する

import java.lang.*;
// ※以下、java.langパッケージのクラスはパッケージ名の修飾なしで使用可能だが、例示のためにFQCNで記述する

// このクラスはObjectクラスの直接のサブクラスとなる
public class HelloWorld extends java.lang.Object {

  // javaコマンドから呼び出される条件を備えたメソッドを定義する
  public // ・アクセス修飾子が、publicである
  static // ・static(静的メソッド)である
    void // ・戻り値が、voidである
    main // ・メソッド名が、mainである
  (java.lang.String[] args) // ・引数が、String[](String配列)である
  {
    // Systemクラスのoutフィールドから、『「標準」出力ストリーム』を取得する
    java.io.PrintStream ps = java.lang.System.out;

    // Stringインスタンスを、文字列リテラルを使用せずに生成する
    char data[] = { 'H', 'e', 'l', 'l', 'o', ' ', 'w', 'o', 'r', 'l', 'd' };
    java.lang.String str = new java.lang.String(data);

    // printlnメソッドで、strをストリームに出力する
    ps.println(str);
  }

}

さいごに

さいごにもう一度、普通の「Hello world」を見てみましょう。

HelloWorld.java
public class HelloWorld {

  public static void main(String[] args) {
    System.out.println("hello, world");
  }

}

こうしてみると、「Hello world」から色々と学べることがあるということが分かりました。
たかが「Hello world」、されど「Hello world」。

参考

リンク先がJava7なのは、なんとなく多くの人が使ってそうな気がしたからです。
この投稿の内容自体は、基本的にはどのバージョンでも同様に通用します。

  1. 完全修飾クラス名。「Fully Qualified Class Name」を略して「FQCN」といわれます。

  2. 私自身、この記事のような「説明用のコード」でしかみたことがないです。

  3. サーバサイドプログラムやフレームワークを使用している場合など、mainメソッドを記述しなくても動作するプログラムは多々あります。

34
34
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
34
34

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?