エンジニアとマネージャーの二足の草鞋で走り出し、無我夢中で過ごしていたら1年経ってました。
以下は完全にただの感想文ではありますが、もしかしたらこの経験が誰かの役に立つかもしれないと思ったので、振り返って文章にしてみました。
こんな人に向けた記事です
- キャリアパスの中に「マネージャー」という選択肢がなくもないけど、なんか大変そうなので二の足を踏んでいる人
- プレイングマネージャーの実態がどんなもんなのか知りたい人
- 「マネージャー絶対やりたくない」って言ってた奴に1年間マネージャーやらせてみた結果に興味がある人
この記事を書いてるのはこんな人です
- 30代半ば、キャリアに悩みがちなお年頃
- マークアップエンジニア(2年ちょい) → フロントエンドエンジニア(3年ちょい)
- その前は営業やってたので、ソフトスキル的な面を組織に期待されがち
- 案件やりながら15人弱のグループのマネージャーやってる
- 参画してるプロジェクトは Next.js x TypeScript x GraphQL って感じの、割とイケイケモダンなやつ
「マネジメントかあ、マジで1mmもやりたくないし興味もないなあ」
「でもこの先エンジニア一本でやってけるほど腕に自信ないんだよな……」
「年齢のこと考えると、そろそろ技術力以外の武器があった方がいいんだろうなあ」
「アーーーーそれでも自分よりスキルあるメンバーに囲まれてマネージャーやるとか無理だわ、やっぱ絶対やりたくない」
って感じだったんですが、結局押し負けて引き受けてしまった、そんな哀しいサラリーマンです。
こんな感じのグループのマネジメントをしています
参画するプロジェクトごとに小さなチームがいくつか存在しており、それらの集合体として一つのグループとなっています。
ご覧の通り、わたしも1メンバーとしてプロジェクトに参画し、プレイヤーをやっています。
↑ 外部公開用に加工したらのり弁文書みたいになってワロタ
全員がいわゆる「モダンフロントエンド」なプロジェクトに参画しており、基本的に技術力に長けたメンバーの集まりです。
各メンバーの成熟度もかなり高く、世間一般の基準に照らし合わせると、かなりマネジメントしやすいグループなんだろうなと思います。
(だからこそ1年やってこれたんだろうな、この場を借りてみんなありがとう)
1年間でやったこと 〜良かったこと編〜
頼れるところに思いっきり頼った
普通に考えて、メンバー10人超のマネジメントと案件でのコミットメントを、どっちも100%やるなんて絶対に無理です。
たまにそれが出来てるように見える人がいますが、それは外れ値か、あるいは後述のようにどこかで手を抜いているかなので気にする必要はありません。
残念ながら自分は普通の人間なので、一人でこれやるの無理なのでみんな助けてください、というのを素直に出すようにしていました。
そのおかげで、というより元々優秀な面子に囲まれていたおかげだっただけという節はありますが、
- 提出物の締め切りを代わってリマインドしてくれたメンバー
- 進んで若手メンバーとの 1on1 をしてくれたメンバー
- 案件で自分が取りこぼしたチケットをサッと拾ってくれたメンバー
- リーダーとして相棒としてグループの運営にめっちゃくちゃ協力してくれたメンバー
etc...
そういった周りの善意に助けられっぱなしの1年間でした。
キックオフを導入した
アジャイル開発でお馴染みの「我々はなぜここにいるのか」を組織運営にも取り入れようと思い、期初にグループのキックオフを開催しました。
たかが15名弱のグループでキックオフなんてちょっと大袈裟では、と思われるかもしれませんが、
「自分たちが所属するグループは組織の中でどのような立ち位置にいて、どんなことを期待されているのか」
を自分の言葉でメンバーに伝えることによって、少しでも日々の仕事に納得感を持ってもらいたいという思いがありました。
グループに新しいメンバーが増えた際は、都度キックオフ資料について説明する時間を設け、グループのフィロソフィーを伝えるようにしてきました。
「入社したばかりだが、グループのビジョンやミッションについてすぐに理解できた」
「グループのメンバーとして何を期待されているのかわかりやすかった」
という好意的な反応があったので、やってよかったなと感じています。
とはいえ手放しで良かった良かったというわけではなく、「期初のオンライングループ会で1回説明されただけなので、正直いつものミーティングと紛れて印象に残っていない」という指摘もありました。次期以降はもう少しアプローチの方法を検討しつつ、取り組みとしては継続していきたいなと考えています。
できる範囲のことはなるべく自動化した
例えば、グループに新メンバーが異動してくる時。
グループ独自のルールや所属変更にかかる手続きなんかを知ってもらう必要があるのと同時に、受け入れ側も何かと手続きが必要だったりします。
この辺は Slack のメンショングループ機能とワークフローを組み合わせて、
- 自グループ専用のメンショングループに新メンバーを追加
- (Slack の仕様で)そのメンショングループが所属してる全てのチャンネルに新メンバーが自動招待される
- 各チャンネルで新しいメンバーが参加した時にワークフローが発火
- 新メンバーにはグループのルールが通知される/受け入れ担当メンバーには別途受け入れタスクが通知される
という感じのフローを作りました。
こんな感じでちょっとずつ工数を削減して、浮いた時間をなるべくメンバーと会話する時間に充てるようにしました。
なんでもかんでも自動化したり「ドキュメント読んどいて」で終わらせるのではなく、ちゃんと時間をかけるべきポイントはどこなのかを模索した1年でした。
グループ会の報告フォーマットをちょっと工夫した
小ネタですが、今日のファインプレーというコーナーを作ってみたらかなり良かったです。
みんなが互いを褒めあってるの見るのが毎週の楽しみになっています。
ちなみに、メンバーの発案で議事録を FigJam にしてみたんですが、カーソルでみんなが集まってる感を認識できたり、コメントつけてワイワイできたりしてかなり良かったです。
1年間でやったこと 〜反省編〜
中途半端な会議ダイエット
マネージャー就任当初はグループの規模がかなり小さく(メンバー2〜3人)、またプロジェクト状況もとっても落ち着いていたので(有り体に言ってしまえば超暇だった)、案件やりながら大量の会議に参加して、というのがさほど苦ではありませんでした。
ところがいつしかプロジェクトは軌道に乗り始め、メンバーの数もどんどん増え、それに比例して必要な会議も増え……キャパシティがカンストするまでさほど時間はかかりませんでした。
その時期はプレイヤーとして参画しているプロジェクトが佳境だったため、マネージャーとして参加すべき会議の半分は、上司に代理参加してもらうことに決めました。
参加する会議が半分になった!勝った!第三部完!
と一瞬思ったもののそれはただの幻想で、待っていたのは「参加していない会議の内容をキャッチアップするための時間」でした。会議の時間がキャッチアップの時間に置き換わっただけならまだマシだったものの、
議事録だけじゃわからない部分を上司に聞きに行く → 上司もめちゃ忙しいので直接会話する時間がすぐには取れない → その間にどんどん状況が変化していって困ったことになる
というような事態がちょくちょく発生するようになってしまい、結局自分の負担は減らずに上司の負担だけ増えるという散々な結果に終わってしまいました。
失敗の原因は会議ダイエットの際に適切な計画を立てなかったこと、これに尽きます。
今考えると超当たり前の話なので、なぜ最初に気付かなかったんだ感がすごいですが、以下のような会議はダイエットしちゃダメなやつでした。
- 対クライアントとの会議
- 特にメンバーへの FB は、絶対に自分の耳で正確なニュアンスを聞き取りたい
- 決定事項だけじゃなくて、決定までのプロセスまでちゃんと聞いておきたい会議
- 決定プロセスに口を挟んでおきたい会議
- スピード感が求められる会議
- 情報共有できたと思ったタイミングで、話がもっと先に進んでたりすること、ありますよね
この辺の反省を踏まえて、出るべき会議と出ない会議を改めて仕分けしました(その結果、結局8割の会議には出といた方がいいとなったわけですが、参加の必要性を改めて認識できたという点ではまあ良かったと思います)。
また、参加しないことにした会議については、自分以上に多忙な上司ではなく、リーダー格のメンバーに代理出席をお願いしました。そのメンバーとの間に密な連携体制を敷くことで、リアルタイム性を重視した情報共有とその後の意思決定に繋げるように工夫しました。
まだまだ改善ポイントはあると思いますが、今のところこれでうまく回せているつもりです。
1on1をやめてしまったこと
メンバーの数が急増したタイミングとプロジェクトの佳境が重なり、一時的に1on1をやめてしまった時期がありました。
今思えばこれが本当に愚行で、メンバーが今何に悩んでいるのか、会議で取り決めた方針が本当にメンバーのためになっているのか、それが全然見えなくなってしまいました。
中途半端な会議ダイエットを見直したところで、結局メンバーと話す時間を持てていなければその参加意義なんてあってないようなもんです。
これがベストとも思っていませんが、今は全員と必ず隔週15分の1on1を実施しています。
もっと時間取れた方がいいに決まってますが、全然やらないよりマシ、という精神でやってます。手探り。
で、ぶっちゃけ1年やってみてどうだったよ
結論、やって良かったなと思っています。
ぶっちゃけ死ぬほど大変だったし、まあ結構無理もしたし、この経験を万人が良かったと感じるわけじゃないだろうなとも思いますが、それでも自分はやって良かったなと感じています。
知らなかった自分の一面に気付けた
メンバーの成長や活躍を目の当たりにできたことが、素直に嬉しかったです。
これまで他人の活躍に対して「すごい」と思うことはあっても「嬉しい」と思うことはあまりなかったので、これはかなり驚きでした。
「このグループをもっと良くするために何ができるか」と考えることは、自然と「このグループのメンバーひとりひとりがもっと幸せに働けるために何ができるか」と考えることに繋がっていたので、知らず知らずの間にメンバーへの思い入れが深くなっていたのかなあと思います。
あとは、これまで全然興味のなかったマネジメント系の本を読んでみたら意外と面白かったというのも収穫でした。
技術力で突出していなくてもいいんだと、心から納得できた
マネージャーを引き受ける前は、
「いやでも周りのみんなの方がもっとスキルあるのに、そんな中でマネージャーできない、ってかやりたくない」
なんて思ってました。
で、その度に「別に技術で一番である必要はない」って言われていました。
そんなのぶっちゃけ理屈ではわかってるんですよ、でもやっぱり気になるもんじゃないですか。少なくとも自分はそうでした。
なので最初の頃は結構引け目を感じながらやってたんですが、いつしかそれがあんまり気にならなくなっていました。
まあ、あくまで「わたしはそうでした」ってだけの話ではあるんですが、手探りながらもグループを良くするためのあれこれを実践していく中で、技術とは別のところでちゃんとバリュー出せてるような実感を持てたのは大きかったと感じています。
また、実際にリーダーとしてやっていく中で、「全ての技術スタックに明るい必要はなく、それがどんなものなのか、どういうところが難しいか」といったポイントさえちゃんと抑えていれば、メンバーと話す上で障壁にはならないなと気付いたというのもあります。
とはいえ、これはあくまで「グループの中で一番じゃなくていい」ってだけの話で、やはり「グループの中でそこそこ強い人」というポジションにしがみつくのは大事だと思います。
自分の場合はですが、きっとマネジメントに専念していたらそれは達成できていなかったなと思うので(業務時間外に頑張るのができないタイプ)、ちょっと無理してでもプレイヤーを頑張り続けたのが結果として自分を助けることになったのかなあと思ったりしています。
まあでもプレイングマネージャーやるなら10人は無理
最後にこれ言っちゃうんだ、という感じですが……笑
はじめに書いた通り、うちのグループはメンバーの成熟度が高く、マネジメントにかかるコストはかなり低い方なんだと思います。
それでも、やっぱり期初/期末は死ぬほど忙しく、とりあえず1年は耐えられたもののこれをずっと続けるのは無理あるな、と感じました。
プレイヤーもバリバリでやっていくなら、(自分の場合は)5人くらいがちょうど良かったんじゃないですかね。
まあ、それも踏まえて次期マネージャー候補を育成するのもマネージャーの仕事だったわけなんですが、それをやってなかったのはシンプルに怠慢でした。
来期以降は自分と一緒に肩を並べてマネージャーやってくれるメンバーを増やすぞ!という意気込みをここにしたためて、本記事の結びとしようと思います。
結局ただの感想文になっちゃったが大丈夫か?
大丈夫だ、問題ない
ありがとうございました!!