まずExcelでデータ整形
2021年5月12日にトヨタ自動車が2021年3月期の決算を発表しました。
トヨタ自動車の昨年度の決算は、グループ全体の最終的な利益が2兆2400億円余りとなりました。新型コロナウイルスの影響で生産や販売は一時、大きな打撃を受けましたが、前の年度に続いて2兆円を上回り、回復が鮮明になっています。
決算報告を確認すると、
連結損益(単位:百万円) | 2020年3月期 | 2021年3月期 |
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営業収益合計 | 29,866,547 | 27,214,594 |
売上原価や販管費など | 27,467,315 | 25,016,845 |
営業利益 | 2,399,232 | 2,197,748 |
親会社帰属の当期利益 | 2,036,140 | 2,245,261 |
当期利益は2020年を上回っていますが、営業収益(売上)は下回っていました。
営業収益が下回っている状態から、どう当期利益が上回ったのか、ウォーターフォール図で見ることにしました。
これまで、主にR言語でウォーターフォール図で描いていましたが、今回はPower BI Desktopを使います。
データの整形をExcelで行い。以下の形でPower BI Desktopに取り込んことにしました。
表の「プラスマイナス」の列で、「マイナス」は原価など使った費用を意味します。
「typw2」列の「relative」がウォーターフォール図で使う項目です。
「No」は並び順の制御などに使います。
Power BI Desktopでも同様の整形はできますが。Excelの方が再確認・再利用しやすいので、今回はこの形式に整形してから取り込むことにしました。
Power BI Desktopで取り込む
原価などは売上から差し引くための、「マイナス」の値、にする必要があるので、「クイックメジャー」を使います。
「乗算」を選び「各項目の数字」×「プラスマイナス」列の列を追加します。
まず、取り込んだ2020年3月期の「フィールド」(右パパネル)を左隣のパネルにドラッグします。
「ヒント」に「No」を配置しています。
これはグラフの並び順のコントロールに使うためです。
「視覚化」パネルで「ウォーターフォール」を選択します。
「フィルターパネル」で「relative」のみチェックします。
また、グラフ右上をクリックし「No」で「昇順」にし、グラフの並び順を取り込んだデータと同じにします。
軸の数字のサイズや、データラベル付与など、いくつか加工して出来上がったウォーターフォール図が以下です。
※図中の「合計」が「当期利益」です。「合計」から表記を変える方法がわかりませんでした。
同様に2021年3月期のフィールドを廃止してウォーターフォール図を作成しました。
フィルターを使い営業利益からの滝グラフ
2つのウォーターフォール図を並べました。
売上が2020年を下回っているのに当期利益が上回った理由が、「金融事業に係る金融費用」の高さや、数字が他と比較して小さいので比べにくいのですが「その他の金融収益」「その他の金融費用」「為替差損益<純額>」「その他<純額>」などの高さから見て取れるように思えます。
そこで、高さの低い項目を抽出したウォーターグラフを作ることにしました。
先ほどの図を使い、「フィルター」を使うことで描画範囲を絞ります。
具体的には、元データを用意する際に追加した「No」列を使います。
「フィルター」で「No」が「7より大きく14より小さい」(「営業利益」から「為替差損益<純額>」まで)と設定します。
2020年、2021年それぞれに同じ設定をして以下のウォーターフォールを描きました。
「その他の金融収益」が増えたこと、「為替差損益<純額>」がプラスに転じたことが、当期利益が2020年を上回ったことに寄与したようです。
了