Power BI Desktopで前日差を求める＜メモ＞DATEADD、PREVIOUSDAY関数

累積データ使用

日毎の累積データを扱う際、日ごとの増加分を算出したいと考えることがあります。
ただ、「Power BI Desktop」でその算出方法がわかりませんでした。
「DAX」を使えばできるのだろうと思ってましたが、何ぶんDAXの知識が不足しており手付かずでした。
ちょっとしたがきっかけでできたので、メモを残すことにしました。

使用したデータは内閣官房が「新型コロナウイルス感染症対策」サイトで提供しているオープンデータです。

下記のようなデータを使います。

DATEADD利用例

DATEADD：指定された間隔数だけ時間を前後にシフトした日付の列を含むテーブルを返します。
https://docs.microsoft.com/ja-jp/dax/dateadd-function-dax

●前日の値（メジャー）
「-1」で前日の累積値（culm）を返す。
階層型（年・四半期・月・日）の日付値を使う。
「[date].[Date]」は階層の中から「日」を使うという指定。

Pre_DATEADD = 
		CALCULATE(
			SUM('前日差_メモ用'[culm]),
			DATEADD('前日差_メモ用'[date].[Date], -1, DAY)
		)

●前日との差（メジャー）

culm- Pre_DATEADD = 
		SUM('前日差_メモ用'[culm]) - [Pre_DATEADD]

PREVIOUSDAY利用例

PREVIOUSDAY：dates 列内の最初の日付の前日を表すすべての日付の列を含むテーブルを返します。
https://docs.microsoft.com/ja-jp/dax/previousday-function-dax

●前日の値（メジャー）
DATEADDデー指定したように「-1」は使わない。

Pre_PREVIOUSD = 
		CALCULATE(
			SUM('前日差_メモ用'[culm]),
			PREVIOUSDAY('前日差_メモ用'[date].[Date])
		)

●前日との差（メジャー）

culm- Pre_PREVIOUSDAY = 
		SUM('前日差_メモ用'[culm]) - [Pre_PREVIOUSD]

結果は末尾に掲示します。

「列」の場合

「前日との差」は、表で考えると、行単位で計算するので（下記の表参照）、「メジャー」でなく「列」で算出できると考えました。
しかし、以下の式では想定通りの結果は得られませんでした。

●前日との差（列）

列_culm- Pre_DATEADD = 
		('前日差_メモ用'[culm]) - [Pre_DATEADD]

「[Pre_DATEADD」はメジャーなので、行単位ではなくテーブルを対象とし、指定した条件に沿う値を計算して返します。
メジャーであるPre_DATEADDで指定したフィルター条件（DATEADD('前日差_メモ用'[date].[Date], -1, DAY）は、数式列では有効にならなかったように思えます。
要因を理解しきれていないのですが、メジャーのロジックを列に割り当てるのは無理な感じはしました。

循環依存エラー対処1

なお、同様に「Pre_PREVIOUSD」の式を追加するとエラーが出ました。

●前日との差（列）

列_culm- Pre_PREVIOUSD = 
		('前日差_メモ用'[culm]) - [Pre_PREVIOUSD]

循環依存が検出されました: 前日差_メモ用[列_culm- Pre_PREVIOUSD], 前日差_メモ用[列_culm- Pre_DATEADD], 前日差_メモ用[列_culm- Pre_PREVIOUSD]。

「Pre_DATEADD」を使った式と同じスタイルなのに、なぜこのメッセージが出るのがわかりませんでした。
検索したところ、英語のサイトにたどり着きました。

この内容もあまり理解できなかったのですが、「CALCULATE関数を使った2つのメジャー関数がともに同じテーブル（'前日差_メモ用'[culm]）を参照していること。各メジャーを2つの数式列（列_culm- Pre_DATEADD、列_culm- Pre_PREVIOUSD）が使っていること」が関係しているようです。

上記サイトを参考に、以下の記述で対処しました。

●前日との差（列）

列_2culm- Pre_PREVIOUSD = 
		CALCULATE(SUM('前日差_メモ用'[culm]) - [Pre_PREVIOUSD], 
				ALLEXCEPT('前日差_メモ用', '前日差_メモ用'[date].[Date]))

エラーが出なくなっただけでなく、メジャーで使ったフィルター条件が適用できるようになりました。

循環依存エラー対処2

ALLEXCEPT：指定した列に適用されているフィルターを除く、テーブル内のすべてのコンテキスト フィルターを削除します。
https://docs.microsoft.com/ja-jp/dax/allexcept-function-dax

上述の通り、（たぶん）「ALLEXCEPT」を使うことで、「列」においても「メジャー」で使われているフィルターのみを有効にできるようです。

DATEADDを使っている数式列にも通用しました。

●前日との差（列）

列_2culm- Pre_DATEADD = 
		CALCULATE(SUM('前日差_メモ用'[culm]) - [Pre_DATEADD], 
				ALLEXCEPT('前日差_メモ用', '前日差_メモ用'[date].[Date]))

計算結果

集計初日の前日差は「その日の値-ゼロ」となります。

「Pre_DATEADD」を「空白でない」数値を表示するようにすれば、その値を表示しないようにできます。

了