TNT チートシート
命題計算
原子
P Q R
P` Q` R`
P`` Q`` R``
……
構成規則
もし x
と y
が論理式ならば、次の4つもやはり論理式である。
~x
<x ∧ y>
<x ∨ y>
<x ⊃ y>
推論規則
- 結合規則
- もし
x
とy
が定理であれば、<x ∧ y>
もどちらも定理である。
- もし
- 分離規則
- もし
<x ∧ y>
が定理であれば、x
とy
もどちらも定理である。
- もし
- 切断規則
- もし
x
と<x ⊃ y>
が定理であれば、xとyもどちらも定理である。
- もし
- 二重波線規則
- 記号列
~~
は自由に削除・挿入してよい。(ただし結果が論理式になる場合に限る)
- 記号列
- 対偶規則
-
<x ⊃ y>
と<~y ⊃ ~x>
とはとりかえてよい。
-
- ド・モルガンの規則
-
<~y ∧ ~x>
と~<x ∨ y>
とはとりかえてよい。
-
- スイッチャルーの規則
-
<x ∨ y>
と<~x ⊃ y>
とはとりかえてよい。
-
空想規則
[ // 空想に入る
P // 前提
~~P // 結果
] // 空想からの脱出
<P ⊃ ~~P> // 結論 Pならば~~P
空想の中で、ひとつ高いレベルの「現実」の定理を持ち込んで使用することができる。
字形的数論
項
数詞
O // ゼロ
S O // 1
S S O // 2
S S S O // 3
……
変数
a b c d e
a` b` c` d` e`
a`` b`` c`` d`` e``
加算・乗算
(SO+SO)
(SSO+SO)
((SSO+SO)+SSO)
(SSO+(SO+SSO))
(SO・SO)
(SSO・SO)
((SSO・SO)・SSO)
(SSO・(SO・SSO))
論理式
原子
もし s
と t
が項であれば、 s=t
は原子である。
SO=O
(SSO+SSO)=SSSSO
S(b+c)=((c・d)・e)
変数を含む場合、その変数は自由である。
否定
論理式の前に ~
をつけたものも論理式である。
~SO=O
~(SSO+SSO)=SSSSO
~b=SO
~<O=O ⊃ SO=O>
複合
もし x
と y
が論理式で、一方で自由な変数が他方で束縛されているようなことがなければ、次の列はどれも論理式である。
<x ∧ y>
<x ∨ y>
<x ⊃ y>
限定記号
もし u
が変数で、x
が論理式で x
の中に u
が自由変数として含まれていれば、次の列はどちらも論理式である。
∃u:x
∀u:x
(b+SO)=SSO // 自由変数を含む開いた論理式
∃b:(b+SO)=SSO // 存在記号 (b+SO)=SSOとなるbが存在する
∀b:(b+SO)=SSO // 全称記号 全てのbについて(b+SO)=SSOとなる
公理
∀a:~Sa=O
∀a:(a+O)=a
∀a:∀b:(a+Sb)=S(a+b)
∀a:(a・O)=O
∀a:∀b:(a・Sb)=((a・b)+a)
特殊化規則
x
が 変数 u
を含むと仮定する。
もし ∀u:x
が定理ならば、 x
も定理であり、また x
の中のすべての u
をある同一の項で置き換えて得られる列もやはり定理である。
(制限 u
に置き換わる項は、 x
の中の束縛変数を含んでいてはいけない)
一般化規則
x
を定理とし、 x
の中に自由変数 u
が含まれているとする。
そのとき ∀u:x
も定理である。
(制限 空想の中で、その空想の前提の中に自由変数として現れている変数については、一般化は許されない)
交換規則
u
が変数であるとき、列 ∀u:~
と ~∃u:
とは、どの定理のどの部分においても置き換えてよい。
存在規則
ある項(自由変数を含んでいてもよい)が、ある定理の中に1回以上現れているとする。そのときのその項のどれか(またはいくつか、または全部)を一つの変数で置き換え、そして対応する存在記号をその前に置くことができる。
ただしその変数は、定理の他の場所で使われていないものに限られる。
等号規則
- 対称性 もし
r=s
が定理ならば、s=r
も定理である。 - 推移性 もし
r=s
とs=t
が定理ならば、r=t
も定理である。
後続規則
- S入れ もし
r=t
が定理ならば、Sr=St
も定理である。 - S取り もし
Sr=St
が定理ならば、r=t
も定理である。
帰納規則
u
をある変数、 X{u}
をある論理式で、自由変数 u
を含むものとする。
X{Sa/a}
は、全ての自由変数 a
を Sa
で置き換えて得られる列を表す。
もし ∀u:<X{u} ⊃ X{Su/u}>
と X{O/u}
が両方とも定理であれば、 ∀u:X{u}
も定理である。
出典
『ゲーデル、エッシャー、バッハ - あるいは不思議の環』(ダグラス・ホフスタッター著、野崎昭弘、はやしはじめ、柳瀬尚紀 訳)