0
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 3 years have passed since last update.

特定の細菌種のゲノムを網羅的に取得する

Last updated at Posted at 2020-06-23

背景

NCBIのgenomeデータベースを利用すると任意の細菌のゲノム配列やアノテーション情報(GenBankファイル)をブラウザからダウンロードできます。ただ、同じ細菌種の株ごとの違いを検証したいときなど、複数のデータをブラウザから手動でダウンロードするのは大変です。そこで、NCBIから細菌ゲノムの登録情報が記載されたファイルを取得し、ターミナルのコマンドでGenBankファイルを自動・網羅的に取得してみます。

手法

任意の細菌種を検索し、登録されている株の登録情報を取得する。

  1. NCBIのgenomeデータベースでダウンロードしたい細菌名を検索します。ここでは大腸菌(Escherichia coli)とします。
National_Center_for_Biotechnology_Information.png
  1. 基準株の情報が画面上部に出てきます。「Browse the list」のlistをクリックします。
Escherichia_coli__ID_167__-_Genome_-_NCBI.png
  1. 登録されている大腸菌ゲノムの一覧が表示されます。2020年6月23日現在で20,034の大腸菌ゲノムが登録されているようです。検索ボックスにキーワードを入力すれば、さらに絞り込むこともできます。
  2. 「Download」をクリックすると、20,034の大腸菌ゲノムの登録情報が記載されたcsvファイルがダウンロードされます。
Genome_List_-_Genome_-_NCBI.png
  1. エクセルなどで開きます。株名やゲノムサイズ、CDS数などが一目で分かります。今回使用するのは右から2番目にある「GenBank FTP」列です。
    prokaryotes_csv.png
    prokaryotes_csv-2.png

  2. 試しに1番上の「Escherichia coli str. K-12 substr. MG1655」の「ftp://ftp.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/all/GCA/000/005/845/GCA_000005845.2_ASM584v2 」をブラウザに入力してみます。

  3. 「Escherichia coli str. K-12 substr. MG1655」に関するファイルが格納されたディレクトリにアクセスできます。「GCA_000005845.2_ASM584v2_genomic.fna.gz」をクリックすればゲノム配列(fasta)、「GCA_000005845.2_ASM584v2_genomic.gbff.gz」をクリックすればGenBankファイルがダウンロードできます。

_genomes_all_GCA_000_005_845_GCA_000005845_2_ASM584v2_のインデックス.png
  1. 以上から、csvファイルに記載のあるFTPサーバー情報から入手したいファイルのURLを作成することで、ある細菌種のデータファイルを取得できることが分かります。

取得するファイルのURLを作成する。

  1. ここではGenBankファイル(gbff)を取得することにします。csvファイルに記載されているFTPサーバー情報は「ftp://ftp.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/all/GCA/000/005/845/GCA_000005845.2_ASM584v2
    」、実際のGenBnakファイルのアドレスは(ブラウザ上で右クリック→「リンクのアドレスをコピー」で取得できます)「ftp://ftp.ncbi.nlm.nih.gov/genomes/all/GCA/000/005/845/GCA_000005845.2_ASM584v2/GCA_000005845.2_ASM584v2_genomic.gbff.gz
    」です。
  2. 見比べるとcsvファイルのアドレスに「/GCA_000005845.2_ASM584v2_genomic.gbff.gz」を追記すれば良いことが分かります。このうち「GCA_000005845.2_ASM584v2」は本ファイルが格納されているディレクトリ、すなわち最下層のディレクトリ名です。そのため、作成したいURLは「csvファイルのFTPサーバーアドレス + "/" + 最下層のディレクトリ名 + "_genomic.gbff.gz"」となります。
  3. エクセルの関数を使用しても作成できますが、ここではRを用いて作成してみます。
#環境
sessionInfo()
R version 3.4.2 (2017-09-28)
Platform: x86_64-apple-darwin15.6.0 (64-bit)
Running under: macOS  10.14.1

#データの読み込み
dt <- read.csv("ダウンロードしたcsvファイル", stringsAsFactors = F)

#最も下層のディレクトリ名の抽出
dirVec <- sapply(dt$GenBank.FTP, FUN = function(x) {
        split <- strsplit(x, "/")[[1]]
        return(split[length(split)])
})

#取得するファイルのURLを作成
gbffVec <- paste(dt$GenBank.FTP, "/", dirVec, 
                 "_genomic.gbff.gz", sep = "") 

#書き出し
write.table(gbffVec, "gbff_table.txt", quote = F, row.names = F, 
            col.names = F)

gbff_table.txtの中身は下記の通りです(20,034は多いので一部間引いています)。
gbff_table_txt.png

ファイルのダウンロード

  1. R上でダウンロードすることも可能ですが、ここではターミナルのwgetコマンドを用いてダウンロードしてみます。

  2. wgetコマンドは-iオプションの後ろにファイル名を記載することで、ファイルに記載のあるURLにアクセスしてくれます。ここで先ほど作成したgbff_table.txtを指定します。また、-Pオプションでダウンロード先のディレクトリを指定することができます。

wget -i gbff_table.txt -P gbff/
```
1__bash.png

  1. 後はgunzipコマンドでファイルを解凍すれば目的のGenBankファイルを利用することができます。ファイル数が多い場合はgunzipを並列に行えるpigzコマンドがお勧めです。

【pigz】Linux環境でマルチコアをフル活用して圧縮・解凍する方法

補足

もっと良い方法あれば教えて下さい。

0
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?