はじめに
本記事では、情報サービス業界を中心に、みずほ産業調査レポートをもとにした業界動向の要約と、今後求められるスキル分野から学習の方向性を考察したいと思います。
変化の激しいIT業界において、テクノロジーの進展や競争環境の変化を理解することは、業界を志望する就活生やキャリア形成を考える若手エンジニアにとって重要だと思います。
この記事を通じて、学習すべき分野や市場のトレンドを把握する手助けとなれば幸いです。
※ちなみに、「情報サービス業界」は、NTTデータ・日立製作所・NEC・富士通・IBM・Accentureなどの企業が属する業界を指します。
こんな人に向けた記事
以下を想定読者としています。
業界動向の要約をもとに、どういった分野のスキル(学習)が求められているかが分かるので、就活生はもちろんのこと、若手エンジニアにも役立つと思います。
・業界動向をさくっと知りたい人
・IT業界に興味がある就活生
・学習の方向性を考えている若手エンジニア
みずほ産業調査レポートとは
「みずほ産業調査」は、業界全体を俯瞰したうえで、「大きな構造変化」「潮流の動き」「ビジネスモデルの変化」「ビジネスの新基軸」といった視点を中心に分析し、「業界の将来像の予想」「業界への提言」も盛り込んだレポートです。
みずほ銀行が毎年12月に公開している日本の各産業分野の動向や見通しのレポートで、知る人ぞ知るかなり有益なレポートです。
無料で誰でも見ることができるので、とりあえずリンクを置いておきます。
みずほ産業調査
私は「産業総合」と「情報サービス業」は毎年に目を通しておりまして、今後の時間を投じていく分野を考える際の参考にしています。
ちなみに、公式ツイッターアカウントもあるようなので、情報をリアルタイムで得たい方はフォローすると良いと思います。
日本産業の中期見通し —向こう5年(2025–2029年)の需給動向と求められる事業戦略—|みずほ銀行産業調査部
— みずほ産業調査 / Mizuho Industry Research Japan (@mizuho_ird) December 5, 2024
(PDF/3,867KB)https://t.co/9MZog7tnnp#日本産業 #2029年 #人口減少 #人手不足 #カーボンニュートラル #地政学リスク pic.twitter.com/3KG1ubEMFl
今回のレポート
本レポートでは、内需縮小、人手不足、カーボンニュートラルの潮流、不安定な国際情勢など、外部環境における大きな潮流変化や、足元のマクロ経済・需給動向・競争環境を踏まえ、向こう5年の間に日本産業・企業が求められる戦略について、各産業ごとに考察しています。
今回のレポートも「日本産業の中期の見通し(2025-2029年)」となっており、外部・内部環境を踏まえて、日本産業・企業が求められる戦略が考察されています。
なお、本記事では、「産業総合」と「情報サービス」を対象にざっくりと要約していきます。
産業全体
まずは産業全体に関するレポートです。
事業環境、リスクとチャンス
日本産業が直面する4つの外部環境の変化「①内需縮小、②人手不足、③カーボンニュートラル(CN)の潮流、④不安定な国際情勢」について、リスクとチャンスが分析されています。
ざっくりまとめると以下のような感じ。
①内需縮小
人口減少に伴う内需縮小により国内市場が縮小する一方、海外市場に成長機会がある。
②人手不足
労働供給不足を招くものの、デジタル技術の活用が進む可能性がある。
③カーボンニュートラル(CN)の潮流
CNの潮流に遅れれば貿易立国の地位喪失の恐れがあるものの、脱炭素製品で市場獲得の可能性もある
④不安定な国際情勢
サプライチェーンの途絶とグローバル展開阻害の懸念がある一方、再構築による新たな需要も。
グローバル・国内の需要水準
情報サービスの需要は引き続き伸びる見込み。
中期の戦略
前述のリスクとチャンスを踏まえた、求められる中期の戦略は以下の通り。
・国内の課題解決
産業・事業者間の協調と連携を進めるとともに、デジタル技術を活用して業務の最適化と効率化を図ることで、生産性向上や競争力の強化を目指す。
・成長領域での国際的な存在感の拡大
既存市場の維持・拡張を図りながら、新規市場の創出や顧客獲得を進めることで、国際的な競争力を高める。
・サプライチェーンの強靭化・再構築
調達先の多様化や製造拠点の見直しを進め、サプライチェーンのリスク分散を図り、効率的かつ柔軟な体制を構築する。
以上、産業全体の要約でした。
まとめると・・・
日本の産業が直面する4つの課題は、
①国内市場の縮小
②人手不足
③脱炭素(カーボンニュートラル)の流れ
④国際情勢の不安定さ
これらはリスクである一方で、海外市場の拡大やデジタル技術の活用、脱炭素製品の需要増加、サプライチェーン(供給の流れ)の見直しといったチャンスも含まれています。
情報サービス業界
続いて、情報サービス業界におけるレポートについてです。
大雑把に言うと、「市場は好調だが、リスクはあるので差別化を図る対応が必要」とのこと。
競争環境、リスクとチャンス
これもざっくりまとめると、
・顧客ニーズの変化やクラウド・生成AIの進展により、業界の競争優位性は変化。(ユーザー企業はテクノロジー活用による業務・ビジネスモデル変革を求めている)
・生成AIは短期的には機会となるが、中長期的には内製化の加速や労働集約ビジネスの代替がリスク。
アナリスト分析
・ユーザー企業は、情報サービスの利用から、デジタルサービス提供者への転換が進む。
・情報サービス企業は、業界知見やソフトウェア資産等の蓄積を通じて、知財集約型ビジネスへの転換が求められ、競争力強化のために差別化が必要。
ということで、情報サービス業界についても、まとめてみます。
・情報サービス業界は、生成AIなどのテクノロジー進展により市場需要が拡大。
・グローバルおよび国内でIT投資が活発で、特にクラウドやAI関連の需要が市場成長をけん引している。
・ユーザー企業がテクノロジーを活用した業務改革を進めていることから、短期的にはコンサルやアプリ開発需要が拡大する一方、中長期的にはAI進展により内製化や労働集約業務の代替がリスクとなる。
考察(求められるスキル・学習の方向性)
さて、ここまで、みずほ産業調査のレポートから産業全体と情報サービス業の見通しを要約してきました。
情報サービス業のレポートからも、現時点の市場は好調なもののリスクはあるということで、これからも継続した学習は必要だと感じます。
ただ、学習をしても、その方向性が間違っていると効果が出ないので、何に学習時間を投資していくが重要です。
そこで前述のレポートを振り返ってみると、「クラウドサービス」や「生成AI」が優先度の高い学習分野だということが分かります。
クラウドサービスの基礎知識を身につける手段としては、AzureやAWSなどの資格取得を活用すると良さそうです。
生成AIは、どちらかというと「使ってみながら学ぶ」という方法になると思いますが、右も左も分からない初心者の方は、総務省の初心者向けの説明資料が役に立つと思います。
生成AIはじめの一歩~生成AIの入門的な使い方と注意点~
https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/special/generativeai/
さいごに
今回は、みずほ産業調査レポートの要約から学習の方向性までを記事にしてみました。
就活生あるいは若手エンジニアの参考になりますと幸いです。