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【51歳転生】AWS未経験/パート勤務/SI復帰15年ぶりおじさん──マイクロサービスのPLをやりながら10ヶ月でAWS全冠を取得。そしてAWSからスカウトされるまで

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目次

  • はじめに
  • 自己紹介
  • 転生の始まり:SI復帰とパート勤務
  • いきなりラスボス案件:マイクロサービスのPLに!?
  • 全冠への覚醒:なぜ挑戦することにしたのか
  • 激務との両立:勉強環境と継続の秘訣
  • 資格攻略の軌跡:実務と学習の並行記録
    • 序盤戦(CLF → SAA → SOA):基礎固めと初回デス
    • 中盤戦(DVA → DEA → SCP):アソシエイト制覇と会社との攻防
    • 終盤戦(SAP、ANS、DOP):最難関との死闘と体調管理の限界
    • 最終章(AIF、MLA、MLS):AI資格ラッシュで完結
  • ALL Certificate応募を断念した理由
  • 資格は現場で役に立つのか?実務検証結果
  • 神展開:AWSからスカウトが来た話
  • 最後まで読んでくださった皆さんへ
  • 追伸

はじめに

本記事は51歳のAWS未経験者のおじさんがAWS全冠を達成し、AWSからスカウトされるまでのリアルな挑戦記です。年齢や立場で悩む方に"まだ間に合う"という希望を届けられたら幸いです。なお、特定を避けるために一部情報を改変している点をご承知おきください。またいう間でもないですが、この記事は個人の見解であり、所属する組織とは関係ありません。

本記事は長文です。本気で書きましたので、時間のあるときに読んでいただけると嬉しいです。

自己紹介

おじクラ@51歳(レベル1)です。 由来はおじさんがクラウドを構築してるからおじクラ。
キャリアは独立系SIからスタートし、数年後に仮想化製品のプリセールスをメインに経験してきました。その後、小さなソリューション系の会社で取締役を務めるも、諸事情で辞職。別の会社でソシューション系の取扱製品の導入支援という形で現場作業やドキュメント作成を手がけていました。SI系エンジニアがどうなってるかなんか浦島太郎状態でした。

転生の始まり:SI復帰とパート勤務【屈辱からの転生フラグ】

知り合いの縁で一部上場大手SI企業に入社。当初は社員雇用の話でしたが、人事部から年齢と実績への疑念を理由にパート勤務を提示されました。

ワシ: えぇ…?パート…?ワシ、昔は取締役じゃったんじゃが…。せめて平社員やろ…。

試用期間の間だけという説明を受け、紹介者の顔も立てねばと、渋々受諾しました。当時は「役員経験者がパートになる!?」という逆境を、あえて楽しみつつ、ここから「下剋上」を狙うのもまた一興かと、腹を括ったのです。

ワシ: フン、下まで落ちたなら、あとは這い上がるだけじゃ…。

これが後に「最強の下剋上フラグ」になるとは、この時の私はまだ知る由もありませんでした…

ワシ: ちなみに当時のワシのステータスはこんなもんじゃ。

【ステータス】

  • 年齢:50歳(当時)
  • クラス:元役員→パート勤務(大幅レベルダウン)
  • スキル:仮想化プリセールス経験、SIエンジニアをやるのは15年ぶりw
  • 装備:ヨレヨレのTシャツ、割れたスマホ
  • 状態異常:老眼、慢性疲労、他責思考
  • 特殊能力:???(この時点では未覚醒)

いきなりラスボス案件:マイクロサービスのPLに!?【無謀な転職トラック展開】

運用保守案件と言われて入社したのに、いきなりマイクロサービス案件のPL。社内にマイクロサービスPL経験者はおろかAWS経験者すらほとんどおらず、ほぼ成り行きで任されることに。しかも自分が案件のPLとしてアサインされたのを知ったのは、社内の人間からの説明ではなく、元請けからキックオフの体制図での判明でした。

ワシ: はあ?聞いてないわーっ!!いきなりラスボスかい!ワシはまだレベル1じゃぞ!
      しかもワシの会社の連中が、しらないところで他社のプロジェクトメンバーにすごい経験者とか吹聴して
      歩いてる!これ積んだわw

リフトシフト型案件ならまだしも、マイクロサービス案件は"雲をつかむような話"。
それでも、未経験かつパートという立場で、高難度案件を任されたこと自体は、ある意味でチャンスと捉えました。「最初からできるわけがない、一番下の評価(パート)だから、できるようになれば評価されるしかない」─そうマインドセットを切り替えることにしました。

ワシ: Xを眺めてるとだな、未経験で全冠取って、ようやく構築案件にアサインされました!
      な~んて話ばっかり目につくんだよ。
      そう思うとさ、未経験でいきなりこのレベルのPL任されるって…ラッキーなのかもしれん。
      ……まあ、そうでも思わんと、やってられんのだけどな(白目)

プロジェクトキックオフから参加できたため、案件の解像度が低い状態でお咎めがなかったのは幸運でした。

全冠への覚醒:なぜ挑戦することにしたのか【覚醒への動機】

  • PLに任命されて痛感したのは、進捗管理だけではプロジェクトの成功には届かないという現実。技術的な理解なしでは正しい判断ができず、最終的にプロジェクトの迷走を招く危険があるということでした。案件のAWS理解の解像度を少しずつ上げる必要があると同時に、AWSそのものを包括的に捉える力を養う必要があるということ

  • 学ぶことをやめたマネージャーが率いるチームに、未来はない。自分が学び続けることで、チームを巻き込んで前に進むことの決意

  • 取締役時代の反省として、技術の勉強と業務の両立ができませんでした。あの頃はプリセールス時代の知見の貯金でなんとかしのいでいました(取締役時代は英語や経営の勉強をしていましたが)。今回の機会を技術の勉強と業務の両立に再挑戦する機会と捉え、むしろ幸運と受け止めました。

  • 以前の所属していた会社のマネジメント層は学び続ける人たちばかりでした。現職では、社内のマネジメント層への違和感 を感じてました。同じ年ぐらいの管理職が一切学びを放棄して、若い人たちにだけ資格取得を強いている光景に疑問を感じていたのです。資格を部下に取らせるならマネジメント層もとるべきだし、忙しいを理由に勉強しない社員に対しても「働きながらでも資格を取ることは可能だ」ということを証明したいという思いも沸いてきました

……色々御託を並べましたが、正直に言うと、パート扱いにした会社に対して一矢報いたいという反骨心が一番の理由です

「本気で勉強して、体系的にAWSを理解したい。ついでに資格も取ってしまおう」

正直51歳で資格を取ったところで、市場での価値は大きく変わらないと認識していました。それでも、「業務をこなしながら」AWS全冠に挑戦することで社内の人間に一矢報いるという気持ちに火が灯り始めました。

ワシ: 過去に勉強してこなかったんなら、せめて今、学び直して見返してやるんじゃ…。
      ワシの"なりあがり"、ここに始まるんじゃい!

【ステータス】
スキル「反骨精神」を習得した!
【効果】モチベーションが低下した際、自動的に活性化。
【副作用】長時間の使用でメンタルに負荷がかかるため、要クールタイム。

激務との両立:勉強環境と継続の秘訣

忙しい社会人でも、やり方を工夫すれば勉強時間の確保は出来る!

参画していたのはマイクロサービス案件のインフラ全盛り案件。しかもテレワークなし、片道2時間弱の通勤、残業は月40~50時間。明らかに勉強時間の確保が難しい環境でした。

ですが

平日:4時間半の勉強時間の確保
休日:反対に土日は3時間と少なめの時間確保

を実施していました。以下がその時間確保の方法です。

時間管理の極意

  • 通勤時間(往復約3時間半)をすべて勉強に充てる
  • 昼休みは軽食で早めに済ませ、残り30分を勉強時間として確保
  • 残業で帰宅が24時を過ぎても、最低30分は必ず勉強
  • 土日は家事をこなしながら、1日3時間確保できれば御の字。どちらかというと体を休めたり趣味の映画を観たりオンオフを意識

通勤中の勉強で一番大切なのは「姿勢の確保」ですね。つり革1本だとどうしても体制を維持する方に意識がいってしまいますよね。自分の場合はホームと反対側のドアが一切開かない路線だったので、乗車した瞬間すぐにそこのスペースへ移動してました。この技を使えない人は車両連結部のドアではなく近くの壁にもたれかかるのをお勧めします。

また昼食も弁当は避けて、おにぎりとかサンドイッチのように片手で食べながら空いてる手で勉強できるようなものを選ぶようにしていました。

週末にまとめて勉強するというありがちな方法はお勧めできません。なるべく趣味の時間を確保するようにして、隙間時間に勉強をするように意識していました(例えば映画館に移動する電車の中で勉強など)。こうすることによって残り5日を乗り切るための英気を養っていました。

ワシ: ワシが時間を捻出して勉強しているのに新卒の新人が現場に配属されて業務時間中に堂々と資格勉強して
    いたのをみて、正直うらやましいと思ったのはここだけの話じゃ。

勉強方法の確立

教材はAWS公式問題集、Blackbelt、YouTubeの動画、定番を一通り使用。

特にこだわったのは次の2点です。

  • 間違い選択肢を潰す学習法
    • TOEICの勉強で身につけたやり方なのですが、「間違いを分析する」です。ともするとIT試験は正解を覚えていく作業になりがち。私は逆になぜこの構成は間違いなのかを調べる癖をつけて、ChatGPTやclaudeを使って各選択肢の正誤理由を徹底的に調べ上げました
ワシ: AIはたまに嘘をつくから、盲信は禁物じゃ。2つを比較することでより正確な理解を求めるように心がけ
     したんじゃ。また質問の前提条件次第では期待する応えが返ってこないから、プロンプトの精査にも意識
      を傾けたよ。
  • 資料作成で覚える学習法
    • プリセールス経験を活かし、AWSサービスを顧客向けに説明するつもりで資料化。とくにSAP以降のプロフェッショナルやスペシャリストの資格試験ではとにかく構成図やサービスのつながりを図に落とし込んで流れを理解することを意識しました。その際に必ず意識したのは参画案件内でこのサービスはどんな役割で動いているのか?と業務と関連付けることでイメージに刷り込むこととしました
ワシ: セキュリティ系のサービスの連携や運用監視サービスの動きは何度も書いては消して、第三者がみて理解
      できる図を作成することで理解を深めたわい。

継続力の背景

最後にIT資格試験を受験してから10年以上離れていましたが、数年前まで英語学習していたため、日常的に「勉強する」というリズムが身体に染みついていました。

これが、過酷な環境でもAWS全冠に辿り着けた最大の武器だったかもしれません。

【特殊能力覚醒】
スキル「脳内CI/CD(継続学習スキル)」を習得した!
【効果】習慣→思考→改善のループが常時稼働。日々の学習と改善が止まらなくなる。
【副作用】エラー検知時、段階ごとの停止処理を忘れると学習暴走モードに突入する恐れあり。運用には要監視。

資格攻略の軌跡:実務と学習の並行記録

受験戦略の基本方針

先駆者たちの受験順を分析しましたが、2024年〜2025年は試験改定が重なったため、そのまま真似することができません。

そこで、情報の出そろっていなかったAI系試験(AIF/MLA/MLS)は最後に回し、現場で必要なものから順に取得していく方針を立てることにしました。

ワシ: 50歳のおじさんが受験しました的な記事が一切ないのう。
- 老眼に負けない勉強術
- 加齢による体力不足を補う勉強方法
とか誰か書いてくれんか。

序盤戦(CLF → SAA → SOA):基礎固めと初回デス【序盤のレベリング〜初回デスまで】

まずはCLF(クラウドプラクティショナー)、SAA(ソリューションアーキテクトアソシエイト)、SOA(SysOpsアドミニストレーターアソシエイト)の順に受験。

この時期の案件状況:
プロジェクトキックオフ直後で、まだ業務負荷はそれほど高くありませんでした。むしろ「AWSが分からないPL」という状況を何とかしたい一心で勉強に集中。

ワシ: CLFでコストの話が出てくるのはさすがクラウド試験って感じじゃな。過去のベンダー試験では見かけ
    ない内容だわ。とはいえこれだけだと全然実務に役に立たんのう。試験合格報告を会社にしても
     「ふーん」って塩対応じゃったわい。

勉強のハードルがあがったのはSAAでした。急に情報量が増え、「これ、マジで覚えきれるのか?」と途方に暮れたのを覚えています。

ワシ: むりむりのカタツムリ。こんなに覚えきれん。しかもSES、SNS、SQSとか似たような名前で尚且つ日常で
      別の意味で使われてる用語が出てきてややこしいわい。昨日食べた夕飯もなかなか思い出せないのに、
      こんな用語なんか覚えられん!

SAAはギリッギリで無事に合格。しかしSOAでは、初めての不合格を経験することになります。

強制イベント発生!【初回デス】

試験後に本来は合格していれば合格バッジのメールが届くはずなのに、来たのは試験アンケートメール。
その瞬間、落ちたと悟りました。

めちゃくちゃ落ち込みました。
再試験ができない2週間の待機期間中、悶々と過ごしたのをよく覚えています。その後不合格通知は試験勉強でやる気がなくなった日には見直して、やる気を復活させるというドMな追い込み方をしていました。

ワシ: 悔しいいいい!パートだから受験料も自腹やん!合格するまでにいくらつぎ込まないといけないんや。
      MSの運用系の試験は死ぬほど楽だったのにいいいいいい!
      SAAに合格して完全に慢心してしまったわい。日々、死にゆく脳細胞を犠牲にしてフルパワーで勉強
      しないと!

資格も無事にCLF、SAA、SOAの3つを取得でき、この時期はプロジェクト要件定義フェーズを乗り越えることができました。

ワシ: ボロが出ずに最初の要件定義フェーズを乗り越えられたわ。
      この辺はプリセールス時代の知らなくても堂々と振舞う経験が生きて助かったわい。
      資格試験も残り9つか……。先が長いなあ……。

中盤戦(DVA → DEA → SCP):アソシエイト制覇と会社との攻防【リベンジ成功〜中ボス撃破】

SOAのリベンジを終え、次はアソシエイト資格をコンプリートする方針に転換(当時、MLAは未配信)

この時期の案件状況:
プロジェクトが本格化し、基本設計フェーズに突入。実際に構成図を描いたり設計書を作成したりする業務が増加。勉強した内容を実践で確認できる絶好のタイミングでした。試験勉強中に構成図を書いていたので一石二鳥の効果。

  • SAAという膨大な範囲を乗り越えていたおかげで、DVA(デベロッパーアソシエイト)は比較的スムーズに合格
  • DEA(データエンジニアアソシエイト)は試験開始直後だったため情報が少なかったものの、合格体験記を読みあさって対策を練り、こちらも無事に合格

世間は夏休み。予備校に通うであろう学生と一緒に電車社内で勉強。
この時期に誕生日を迎えて51歳になりました。

(国民的RPGでおなじみのレベルアップの効果音)
おじクラはレベルアップした!51歳になった!
スキル:脳内キャッシュ衰退を取得した!
【効果】1時間前に調べたことを忘れる。
【副作用】ChatGPTへの依存度が激増。プロンプト最適化力+50%
【特殊条件】ドヤ顔で説明してる途中に「あれ?なんだっけ」が発動。

ワシ: 自分が大学受験生の頃、さすがに51歳になっても勉強しているとは夢にも思ってなかったなあ(遠い目)

強制イベント発生!会社との攻防戦発生!

この頃、入社して約4ヶ月が経過していました。
会社を紹介してくれた方が心配して「もう正社員になれた?」と声をかけてくれました。相変わらずパートのままであることを告げると会社と一席を設けてくれました。
その席で会社のマネジメント層からは「もうしばらく様子を見たい」「全冠を達成したら正社員として考える」「せめてプロフェッショナルかスペシャリストの資格をとったら契約社員として考えてあげる」との回答。これで闘争心に火がつきます(笑)。

ワシ: は?全冠達成したら正社員に考える?上等じゃ!やってやるよ、全冠達成!

ちょうどセキュリティ設計書作成に苦しんでいた時期でもあり、勢いでSCP(セキュリティスペシャリティ)を受験。
初めてのスペシャリスト試験にも無事に合格。しかし会社からは条件改善の話は出ませんでした。

ワシ: 期待してなかったから予想通りやな。むしろ闘争心に火がついて一気に合格てきたので感謝じゃ。
      これで半分の6つまで取得。やっと折り返しやな。

アソシエイトとスペシャリストの資格を取得できたことで案件を俯瞰して見えるぐらい解像度があがっていくのを実感できました。その際に携わっている案件の違和感にも気づくことになるのですが、それは後程に語ります。

終盤戦(SAP、ANS、DOP):最難関との死闘と体調管理の限界【ラスボス級との死闘】

51歳の身体に鞭を打ちながら、難解なマイクロサービスの案件の設計書を書くために毎月40~50時間残業して、移動の負担を減らすために常駐先のカプセルホテルで寝泊まりもしてました。冒頭に記載した通り、進捗管理だけでなくある程度テックリードとしてメンバーと一緒に自ら設計書の執筆も行っていました。

ワシ: (カプセルホテルのベッドの中で)世の中の51歳ってここまで働いているんか!?

強制イベント発生!持病の扁桃腺が悪化!

隙間時間に異常なペースで勉強を続けた結果、とうとう体調を崩してしまいます。ついに持病の扁桃腺が悪化してしまい、1週間以上高熱で寝込み、まったく勉強できない日々が続きます。
しかもテレワークではないため、自宅で休み休み設計書を書くなどの小技も出来ず、担当していた設計書作成が完全に止まりました。
しかも体力もなかなか戻らず、毎月受験していた記録は止まりました。試験を受けずに体力回復を専念することに。

ワシ: やばい…オーバーワークでHP瀕死状態。一旦回復に専念しないと。
      落ち着いて考えたら今のこの状況は51歳がやれる所業ではないw

しかも身体を休めるために眠っても、プロジェクトの〆切りに追われる夢を見てました。
何故かこの時期に鬼滅の刃の無限列車の映画を見ていたので、夢の中で猗窩座に千寿郎! 〆切りなど忘れて鬼になれ! と言われてうなされていました(謎)。

**この時期の案件状況:** しかし、プロジェクトは待ってくれません。佳境を迎えたプロジェクトで、私はPL兼エンジニアとして設計書作成を担当。 集まったメンバーは私より経験豊富なはずなのに、なぜか設計書作成は私。半年しか経験がない中、どんな内容を記載するべきか1ページ単位で必死で指示書きを書いていたのを今でもよく覚えています。
ワシ: もっと病み上がりの年寄りを大事にせんかいw

難関SAP、ANSの突破【過去スキルがバフ効果発動】

体力が戻った翌月、いよいよ難関試験に挑戦。
AWS受験者が"二度と受けたくない"と口を揃えて言う、SAP(Solutions Architect Professional)とANS(Advanced Networking Specialty)。

結果、無事に両方合格できました。

【過去経験スキルがクリティカルヒット!】

ANSに関しては、かつてCCNPを取得していた経験と、プロジェクトでDirect Connect設計に携わった経験が大きなアドバンテージとなります。

ワシ: (心の声)こ、これは!!!おお!昔取ったCCNPが思わぬところで役に立つとは…
       これぞ『前世の記憶』効果!

なろう系の主人公なら思わず絶叫するところでしたが、試験会場で叫ぶとつまみ出されるところでした(笑)。

因縁のDOP ── 最後に立ちはだかった壁

そして、待ち構えていたのがDOP(DevOps Engineer Professional)。

SOAで一度不合格を経験したトラウマに加え、当時はDOPの日本語参考書が存在せず、海外から英語版参考書を取り寄せての勉強となりました。

正直、様々な試験群の中で精神的に最も苦しめられたのは間違いなくDOPです(笑)。

ワシ: 参考書がないってどういうことやねん!全冠ホルダーはどうやって勉強したんやw

それでも諦めずに食らいつき、最終的にDOPにも合格。これでAWS認定9個目まで到達し、全冠達成へのラストスパートが見えてきました。

ワシ: (溜め息)2024年が終わる前に当初の計画通り試験が合格してよかったわ。これで9つ。ようやく
    終わりが見えてきたわ。

違和感の正体に気づく

資格試験の勉強を続けるうちに、案件に対する理解の解像度がどんどん上がっていきました。これは期待していた効果──しかし、それと同時に心の奥底に不穏なざわめきも生まれはじめたのです。

プロジェクトの設計書は、元請けの指示に従って当たり前のようにオンプレミス前提の設計方針 で書かれていました。
「障害復旧は手動対応で」「このログは人が目視で判断する」──そんな設計が自然に受け入れられていた。
チームの誰も疑問を抱かず、ただ仕様通りに書くだけ。 そして正直、自分自身も当初はそれに何の疑問も持ちませんでした。

しかし、勉強を重ねてAWSのサービス群の活かし方を理解するにつれて、ふとした違和感が確信に変わっていった。

ワシ: ──これ、クラウドネイティブちゃうやん……!スケーラビリティも自動化も考慮されてない、完全に
      オンプレの発想やんけ!

「このまま進んで本当にいいのか?」 という不安が、日増しに大きくなっていった。

メンバーに相談しても、望んだ回答は得られず、むしろ話が通じない。
気づけば、この頃には自分が技術的な情報量で、経験者であるはずのメンバーを追い越してしまっていて、相談しても対等なディスカッションが成立しない状況に陥っていました。

そして迎えた2024年末──お客様との設計書レビューで、設計の方向性そのものに強烈なダメ出しが入る。

お客様:これAWSの仕組みを一切使ってないよね?我々は何年前の設計書を見せられてるの?

ワシ: うわああああああああああああ!やっぱりぃぃぃぃぃぃ!!!!

結果、設計の大部分を見直すことになり、プロジェクトメンバーは自分を除いてBPばかりだったの、自分が年末年始返上で設計書のリライトを担うことになります(この頃にはテレワークが可能になっていた)。

ワシ: うーん。これ、パートのやる範囲を超えてるやろw(除夜の鐘をききながら)

### 最終章(AIF、MLA、MLS):AI資格ラッシュで完結 ── 最後のAI資格ラッシュ

冒頭に記載した通り、AWS認定の中でも異色のAI系資格、AIF(AI Practitioner)、MLA(Machine Learning Associate)、MLS(Machine Learning Specialty)を最後に回しました。
理由は、情報が出揃うまで待ちたかったことです。読みが当たりこの頃にはどんな勉強をすればいいのかのノウハウが共有されるようになりました。

この時期の案件状況:
年末年始に設計書の大まかな修正が終わり細かい部分はさすがにメンバーに依頼をしました。
この10ヶ月間の後半には、プロジェクトでIaC(Infrastructure as Code)化を行うためにTerraformチームをゼロから立ち上げるという無茶なプロジェクトも並行して進めていました。Terraform経験者がほぼいない中で、自ら学び、チームを育て、IaC運用の基盤構築に取り組んだことも、大きな財産になっています(この話はまた別の機会に!)

ワシ: AWSも初めて、マイクロサービスPLも初めて、Terraformも初めて。
      毎朝洗面所の鏡の前で自分で自分をほめちぎっていたわい!

資格勉強の出題範囲であるAIについては、以前役員時代に画像解析プロジェクトへ間接的に関わった経験がありました。またその延長でG検定も勉強していた時期がありました。(役員会で説明する資料作成のため)趣味でも画像生成AIに触れていたため、機械学習の独特の用語や概念には馴染みがありました。

この経験が大きく活き、AI資格群は比較的スムーズに取得することができました。

ワシ: (心の声)こ、これは!!!おお!昔勉強したG検定が思わぬところで役に立つとは…
       またまた『前世の記憶』効果!!

こうして、ついに、ついにAWS認定12冠を達成。

ワシ: 正直最後の試験合格のメールを受信したときは、ワシの中では「よっしゃー!」という歓喜よりも
      「やっと終わった」という安堵感の方が勝っていたわい。
      これで終わりではなくここからがスタートじゃぞ、わかってるなワシ?

【全冠達成】
ステータス画面に12個の資格バッジがキラキラエフェクト付きで輝いています!w

ALL Certificate応募を断念した理由

試験に費やした期間は10ヶ月間でした。
勉強を始めた当初は業務で体系的に学べばいいと考えていました。しかし欲が出てきて途中から3月末のAWS ALL Certificate応募締切に間に合わせるべくスピードを早めました。その甲斐があって期日には余裕で間に合うことができました。
しかし最終的に私は応募を断念することになります。

理由は単純です。
会社から受験料を一切支援されなかったにもかかわらず、無償で会社に資格を紐づける気にはなれなかったからです(笑)。

ワシ: 素人同然でマイクロサービスのPLをパートにやらせて、実費で全資格受験して、タダで名前だけ貸す
       ──ワシは"AWS界のガンジー"じゃないわいw

また、最終的に全部の資格を取得しても正社員登用の話はなかったです。本当に欲しかったのは称号ではなく、マイクロサービス案件のPLとしてプロジェクトを成功させるための体系的な知識。
今となってはこれで良かったと思っています。

ワシ: カッコつけて書いたけど、AWSページに名前が載ったり景品をもらえるのには少し憧れもあった。
    あったけど会社に対して未練もなかったので無理することはないな──不器用な振る舞いがワシらしいし!

資格は現場で役に立つのか?実務検証結果

この論争にも自分なりの考えを述べたいと思います。

ワシ: 資格が役に立つか論争に終止符を討ちに来たわいwww

51歳の自分には、かつてのベンダー試験(MCSEやCCNP)受験経験もあります。
その視点で見ると、当時のベンダー試験は、あまり現場寄りの内容ではなく、役に立つ要素は多くなかったです。
しかしAWSの資格試験は間違いなく現場で役立つと断言できます。

設計書や構成図を作成する中で、

  • 「この設計書にはVPC Endpointの記載漏れがあるな」
  • 「セキュリティ自動化パターンを考慮しなきゃ」

といった気づきが自然に得られる場面が何度もありました。

丸暗記では全く意味がありませんが、設計パターンや考え方を学ぶという意味では、AWS資格試験は非常に優れた教材だと思います。
未経験から上流工程に放り込まれた自分にとって、AWS資格試験で得た知識はまさにバイブルのように役立ちました。

神展開:AWSからスカウトが来た話【まさかのエンディング展開】

今の会社を紹介してくれた方からは、「1年働いたら自分で道を切り開いていいよ」と言われていました。
そして、いよいよ約束の1年が近づいたころ、私は思い切って転職サイトに登録。

──51歳。この年齢で、企業が興味を持ってくれるのだろうか?
正直、半信半疑でした。
しかし、結果は想像以上。

AWS全冠に加え、マイクロサービス案件のPLという高難度な実績を積んでいたこともあり、驚くほど多くのスカウトをいただくことができました。
中にはAWSプレミアパートナーや、業界で誰もが知る有名企業からのオファーも含まれています。

そして─

【神展開】
なんと、AWS本体からもスカウトをいただきました!

ワシ: え…まさか本家からお声がかかるとは…これ完全に主人公補正じゃん!
     パートなのにAWSへ採用されたら業界の伝説じゃん!!どうしよう!?ダメ元で挑戦してみようかな?

書類審査を通ればラッキー、一次面接を通ればラッキー、アセスメントを通ればラッキーなどと期待せずに面接へ挑み続けてあれよあれよという間に最終面接まで到達。

ワシ: 51歳でパートのワシがAWSに?ヤバない?

順調にループ試験といわれる複数の面接官との面接試験も問題なくこなし、一番懸念していたホワイトボードを使っての技術試験も手ごたえを感じて終えました。STARでの会話自体は慣れるのに時間がかかりましたがエピソードトーク自体は山ほどありましたw

ワシ: (出川哲郎風に)やばいよーやばいよー、タモさんやばいよー、受かったらやばいよー

……残念ながら最終日のBar Raiserで落ちてしまい伝説は未完に終わってしまいました。
しかしAWSで超有名な会社に拾っていただき来月からお仕事をさせてもらうことになりました(ありがたい!)

ワシ: パートでAWS未経験でキャリアを再スタートして1年でここまでくれば上出来じゃわ。
    このままAWSに入社していたら揺り戻しが発生して大変なことになっていたわい(強がり)。

最後まで読んでくださった皆さんへ

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます。
51歳でも、残業40時間以上の激務の中でも、努力を続ければ、AWS全冠を達成し、新しい道を切り開くことは可能です。
もし、今この瞬間、挑戦を迷っている方がいたら─

  • 同じぐらいの年齢の方も
  • もっと若い方も

ぜひ、一歩踏み出してほしいと心から思います。
若い方であれば、時間も、柔軟な頭脳も、自分よりはるかに恵まれています。
挑戦する価値は、間違いなくあります。

同じ年齢の方は是非一緒に頑張りましょう。
若い部下もあなたの背中を見て勉強をはじめるかもしれませんよ。

自分の記事が、たった一人でも、新たな一歩を踏み出すきっかけになれたら、これ以上嬉しいことはありません。

【ステータス】

  • 年齢:51歳
  • クラス:元役員→パート勤務→ AWSで超有名な会社勤務決定(大幅レベルアップ)
  • スキル:仮想化プリセールス経験、SIエンジニアをやるのは15年ぶり、マイクロサービスPL、AWS全冠
  • 装備:ヨレヨレのジャケット、型落ちのスマホ
  • 状態異常:老眼、慢性疲労、他責思考
  • 特殊能力:反骨精神 諦めない心
そしておじクラ@51歳は来月からレベル2としてがんばります。

追伸

これからはどこかで、技術を学びながら、AWSコミュニティ活動にも挑戦していきたいと思っています。
またどこかでお会いできたら嬉しいです!

ワシ: シャイじじいなんで、見かけたら遠慮なく声をかけてくれよなw

(完)

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