#組み込みシステムには厳しい時間制約がある
組み込みシステムはハードウェアとソフトウェアが一体となって構成されており、I/Oの先にはセンサーやモーター、通信回線などが接続されていて、それら全ての動作がタイミングをピッタリ合わせて動作する必要がある。
例えば、自販機にコインを入れて、欲しいもののボタンを押して、何も変化しないまま3秒以上経過すると人間は不安になり、あちこち叩いたり、返却レバーを操作したりする。
この場合、センサーがコインの投入を感知しその情報をマイコンに伝え、投入金額を表示するまでの時間制約は3秒となる。商品ボタンが押されてから指定された商品を排出するためにモーターなどのアクチュエーターを制御しつつ、お釣りの計算をし返却口へ戻す制御をする。
これら一連の動作が遅いと、お客さんがイラついたり、お釣りを受け取り損なってしまうかもしれない。
この例では相手が人間である。人間は3秒以上の我慢ができない。つまり、3秒以内に応答することができればその自販機には「リアルタイム性がある」ということができる。秒というオーダーの時間制約であれば、開発は比較的容易である。
デジカメの場合、撮影ボタンを半押しするとピント合わせと露出調整を行う。続けて撮影ボタンを深く押し込むとシャッターを一瞬開いてイメージセンサ上に投影する。そしてその映像データをSDメモリへ転送して記録し次の撮影に備える。この一連の処理がどれだけ高速に行えるかで1秒間に撮影できる枚数が決定する。
一連の処理を時間制約の仕様以内に済ませることが可能な場合、「リアルタイム性がある」という。
リアルタイム性には以下の2種類がある。
- 処理要求があったときにどの程度の時間で処理に取り掛かることができるか?
- 要求された処理を済ませるのに必要な処理時間はどれくらいか?
#参考文献
坂巻佳壽美, トコトンやさしい組込みシステムの本, 今日からモノ知りシリーズ, 日刊工業新聞社, 2019年.