技術的な確認項目
組み込みシステムはソフトウェアとハードウェアが一体となって目的を達成するシステムなので、両方の可能性を検討する必要がある。
希望するソフトウェア(プログラム)の実現可能性から考える。ソフトウェアは次の2つがクリアできれば、開発可能性があるといえる。
- 処理させたい機能や目的を箇条書きにできるか?
- 箇条書きにした機能や目的を誰もが同じ意味で理解することができるか?
漠然とイメージしているような機能ではプログラムを作成することはできない。また、人によって個人差のあるような機能は誰もが納得できる仕様を決めることができず、プログラムを作成することが困難である。その点、数式で表現できるようなものは、誰が同じ意味に捉えることができるため表現手段として最適である。
統計的な手法を用いれば、多少の不確定要素を含んでいても取り扱うことができるかもしれない。
次にハードウェアの実現可能性を考える。実現したい仕様を満たす入出力回路を揃えられることが必要になってくる。希望する入力を検知できるセンサ回路と、処理した結果に基づいて機械的な動作に変換できるアクチュエータ回路が必須である。
また、RAMやプロセッサの性能が満足なものか、容量が十分であるかも検討する必要がある。
技術以外の確認項目
技術的な項目以外に検討すべき内容として、以下のようなものがある。
- 人
- 技術者は揃うのか?
- 経理や契約は誰が行うのか?
- 協力企業や支援企業はあるのか?
- 取引先
- 部品等の発注先のあてはあるのか?
- どれくらいの期間で手配できるのか?
- 外注できる企業は十分にあるのか?
- 完成時の製品試験はどこへ依頼するのか?
- 資金
- 開発予算はどれくらいあるのか?
- 融資や借入金の可能性は問題ないか?
- 色々な助成金の検討はしたか?
- 期間
- 開発期間はどれくらいか?
- 場所
- 開発場所はどこか?
- 深夜作業をした場合の仮眠室はあるのか?
- 部品や製品の置き場所はあるのか?
- 特許
- 特許侵害の恐れは調査したか?
- 特許出願の可能性はないのか?
参考文献
坂巻佳壽美, トコトンやさしい組込みシステムの本, 今日からモノ知りシリーズ, 日刊工業新聞社, 2019年.