#はじめに
システムを作る上で、「安全」「安心」「信頼性」はどれも大切なものである。似たニュアンスでありつつもそれぞれ定義が異なるので、これらの違いについてまとめる。
#JISにおける定義
信頼性と安全性についてはJISで規定化されている。
##システムの信頼性の定義(JIS X 0014)
機能単位が要求された機能を与えられた条件の下で与えられた期間実行する能力
##システムの安全性の定義(JIS X 0134)
システムが規定された条件の下で人の生命、健康、財産またはその環境を危険にさらす状態に移行しない期待度合い
#システムの信頼性とは
システムの信頼性は「要求された機能を与えられた期間実行する能力」となっており、安全性については触れられていない。つまり、与えられた期間要求された機能を満たしてさえいれば安全でなくても信頼性があると言える。
#システムの安全性とは
システムの安全性は「危険な状態に移行しないこと」となっており、そのシステムが機能要求を満たしているかどうかについては触れられていない。つまり、動かない自動車や飛行機も安全な乗り物と呼ぶことができる。
#まとめ
信頼性と安全性には互いに深い関係があるにもかかわらずそれぞれが全く異なる点に注目している概念である。しかしながら、現実にはそれら双方の要求を満たしていなければ良いシステムとは言えない。
人や環境への危害をいかに小さくするかという「安全性」については設計段階で検討する。物事が損傷したり危害を受けたりする恐れのない「安心」については稼働段階で検討する。そして「信頼性」は「安心」な状態を維持することと言える。
#参考文献
坂巻佳壽美, トコトンやさしい組込みシステムの本, 今日からモノ知りシリーズ, 日刊工業出版社, 2019年.