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Windows 10 + vscodeでのC/C++言語開発環境の構築(gcc+gdb または clang + lldb)

Last updated at Posted at 2020-09-22

動機

  • 講義で使用予定のVisual Studio Code 1.49.1 + C/C++ 機能拡張 1.0.0 + msys2(20200903)環境でのgdbによるデバッグがある日突然エラーで動かない問題に遭遇.
  • いずれ本家で対処される問題かもしれないし,対処されないかもしれないし,そもそも自分の環境がおかしい可能性もある.
  • めんどいのでclang + lldbで行くことにした.
  • 主に学生さん向けの情報です.一般的に価値があるかは読む人次第.
  • (2021/4/6追記)上記問題が解決されているようなのでgccとgdbを使う場合についても書いた.

注意

  • ウイルスバスター,マカフィーインターネットセキュリティ,ノートンなどのセキュリティソフトを無効化しておく.特に,ファイル保護,リアルタイムスキャンなどの機能は必ずOFFに.ウイルスバスターのように監視対象のフォルダの例外設定が可能な場合,C:\toolsフォルダを例外に設定しておきます.Cドライブ直下にtoolsフォルダがないと設定できない場合には,自分で作成しておく.
  • Windowsのログオンユーザ名が半角英数字だけであることを確認すること.
  • 32bit版OSは対象外です.これを機に64bit版OSにすることを推奨します.

0. お約束

  • 「エクスプローラー」とは,Windowsのファイルマネージャソフトです.スタートメニュー -> Windowsシステムツールの中にあります.
  • Cドライブとは,エクスプローラの左ペインにある「PC」を展開したときに現れる,〜適当な名前(Windowsとかローカルディスクとか)〜(C:)という名前のディスクです.通常,Windowsはここにインストールされています.
  • キーボードショートカットは「Ctrl + Shift + X」などと記述します.意味は「CtrlキーとShiftキーを押しながら,Xキーを押」すということです.

1. chocolateyのインストール

  1. スタートメニュー -> Windows PowerShell -> 「Windows PowerShell」アイコンを右クリックし,「管理者として実行」をクリックし,「管理者: Windows PowerShell」ウインドウを開く.「このアプリが〜許可しますか」の質問には当然だが「はい」と答えます.コマンドの入力を待っている状態では,カーソルが点滅しているのが分かる.

  2. 以下のコマンドをコピーし(コマンドの上にマウスカーソルを移動し,出てくるコピーボタンをクリック),1-1.で開いたウインドウにペースト(Ctrl + V)し,Enterキーを押す.

  3. 赤い文字のエラー表示が出ずに,カーソルが点滅する入力待ち状態になればインストール終了.ウインドウを閉じます.

Set-ExecutionPolicy Bypass -Scope Process -Force; [System.Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol = [System.Net.ServicePointManager]::SecurityProtocol -bor 3072; iex ((New-Object System.Net.WebClient).DownloadString('https://chocolatey.org/install.ps1'))

2. 環境変数の設定

  1. 手順1-1をを繰り返して,「管理者: Windows PowerShell」ウインドウを開く.

  2. 以下のコマンドをコピー&ペーストし,Enterキーを押す.

setx PATH "$env:path;C:\tools\msys64\mingw64\bin"
  1. 以下のコマンドをコピー&ペーストし,Enterキーを押す.
setx PATH "$env:path;C:\tools\msys64\usr\bin"

PowerShellのウインドウは閉じても大丈夫です.

3. msys2のインストール

  1. 1-1の手順を繰り返して,「管理者: Windows PowerShell」ウインドウを開く.

  2. 以下のコマンドを手順1-2と同様にコピー&ペーストしてEnterキーを押す.途中英文の質問が表示される場合にはAと入力してEnterキーを押します.**回線速度や,サーバの混雑度によって時間がかかりますが,途中で終了しないように.**以下のスクリーンショットのように,入力待ち状態になるまでに,赤い文字が表示されなければ終了(ただし,一瞬赤字が表示されることがあります.これは無視しても大丈夫です.).セキュリティソフトが動いているとこの手順で失敗します.

choco install msys2 -y

スクリーンショット 2020-09-22 10.42.13.png

4. msys2のターミナルを開く

  1. 1-1の手順を繰り返して,「管理者: Windows PowerShell」ウインドウを開く.

  2. 以下のコマンドを入力しEnterキーを押す.msys2のターミナルが開きます.

C:\tools\msys64\mingw64.exe

(2023-03-23追記)キーリングをアップデートします.

pacman -Sy msys2-keyring && pacman -Su

5. コンパイラとデバッガのインストール

Visual Studio Codeそれ自体には,C/C++言語のコンパイラは含まれていませんので,別途インストールします.ここで,コンパイラとデバッガ(デバッグ作業を行うためのソフトウェア)の選択肢が2つあります.どちらを選んでも基本的な機能は変わりません.gccとgdbの組み合わせのほうが,Pythonをインストールするという工程がない分,簡単かもしれません.

5.1 gccgdbを使う場合

5.1.1 gccgdbのインストール

手順3-2で開いたmsys2のターミナルにて,以下のコマンドをコピー&ペーストして,Enterキーを押す.**ただし,ペーストするには,msys2のターミナルウインドウ上で右クリックを押し,表示されるコンテキストメニューから「Paste」をクリックします.**途中,「インストールしますか?」などの質問が表示された場合には,そのままEnterキーを押してください.ダウンロードとインストールには,それなりの時間(サーバが混んでいるときには1時間以上)がかかります.

pacman -S mingw-w64-x86_64-gcc mingw-w64-x86_64-gdb mingw-w64-x86_64-cmake make git

vscodeをインストール&設定する場合のみ手順6につづく

5.2 clanglldbを使う場合

5.2.1 clanglldbのインストール

手順3-2で開いたmsys2のターミナルにて,以下のコマンドをコピー&ペーストして,Enterキーを押す.**ただし,ペーストするには,msys2のターミナルウインドウ上で右クリックを押し,表示されるコンテキストメニューから「Paste」をクリックします.**途中,「インストールしますか?」などの質問が表示された場合には,そのままEnterキーを押してください.ダウンロードとインストールには,それなりの時間(サーバが混んでいるときには1時間以上)がかかります.待っている間に次の手順を実行しても構いません.インストール完了時には以下のスクリーンショットと同じ表示になるはずです.

pacman -S mingw-w64-x86_64-clang mingw-w64-x86_64-lldb

5.2.2 Pythonのインストール

  1. https://www.python.org/ftp/python/3.8.6/python-3.8.6rc1-amd64.exe を例えば「ダウンロード」フォルダにダウンロードします.ダウンロードしたインストーラをダブルクリックして実行します.

  2. 以下のスクリーンショットにしたがって,インストール作業を進めます.

6. Visual Studio Codeのインストール

  1. 1-1の手順を繰り返して,「管理者: Windows PowerShell」ウインドウを開く.

  2. 以下のコマンドをコピー&ペーストし,Enterキーを押す.しばらくすると,デスクトップにVisual Studio Codeのショートカットが見えるはず.見えたら完了.参考までに完了時のPowerShellウインドウの表示は以下のスクリーンショット参照.

choco install vscode -y

7. Visual Studio Codeの設定1

  1. エクスプローラーを開き,Alt + Dを押す.Backspaceキーを押し続け,見えている文字を消す.そこに,C:\Usersと入力してEnterキーを押す.表示されたフォルダから,自分のユーザ名をフォルダを探して,ダブルクリックする.さらに「ドキュメント」あるいは「Documents」フォルダを探し,ダブルクリックする.そこに新しいフォルダ「Progs」(名前は講義によって違う可能性がある)を作成する.すでにProgsフォルダが存在する場合,既存のフォルダの名前を「Progs_old」などに変更しておく.

  2. デスクトップのVisual Studio Codeのショートカットをダブルクリックして,vscodeを起動する.

  3. Ctrl + Shift + X を入力し,japaneseとタイプする.一番上位の候補「Japanese Language Pack for〜」の右下に見える緑色のInstallボタンを押す.

  4. タイプしたjapaneseを消して,C/C++とタイプ.一番上位の候補「C/C++」の右下に見える緑色のInstallボタンを押す.

  5. (この手順は4.2 clangとlldbを使う場合を選択した場合のみ必要)タイプしたC/C++を消して,CodeLLDBとタイプ.唯一の候補「CodeLLDB」の右下に見える緑色のInstallボタンを押す.インストールには少し時間がかかる.

  6. vscodeウインドウの右下にIn order to use VS Code in Japanese, VS Code needs to restartが見えているはず.Restart Nowボタンを押す.

  7. Ctrl + K + Oを押し,手順7-1で作成したフォルダを開く.

  8. Ctrl + Nを押し,新しいファイル作成する.Untitled-1という新しいファイルが開く.Ctrl + Sを押し,新しいファイルをtest.cという名前で保存する.

  9. 以下のコードをコピーし,test.cにペーストする.Ctrl + Sを押して保存.一度vscodeを閉じる.

#include <stdio.h>

int main() {
  int a = 10;
  printf("a = %d\n", a);
}

8. Visual Studio Codeの設定2(tasks.jsonの生成)

  1. vscodeを起動.Ctrl + Sfhit + Pを押す.edit configと入力し,候補の「C/C++: 構成の編集(UI)」をクリック.

  2. 「コンパイラパス」にあるドロップダウンリストを展開し,候補の中からC:/tools/msys64/mingw64/bin/clang.exeを選択.

  3. 下に少しスクロールし,IntelliSenseモードのドロップダウンリストを展開し,候補の中からclang-x64を選択.

  4. test.cファイルのタブに移動し,Ctrl + Shift + Bを押す.画面中央上部に出てくる候補の中から,C/C++: clang.exe build active fileクリックせず,にマウスカーソルをあわせ,右側に表示される歯車アイコンをクリックする.tasks.jsonファイルが自動作成される.自動作成された内容を,以下の内容と置き換える.コンパイラとデバッガの選択で5.1と5.2のどちらを選択したかで置き換えるべきtasks.jsonの内容が変わるので注意.

「5.1 gccとgdb」を選択した場合

tasks.json
{
	"version": "2.0.0",
	"tasks": [
		{
			"type": "shell",
			"label": "C/C++: gcc.exe build active file",
			"command": "C:/tools/msys64/mingw64/bin/g++.exe",
			"args": [
				"-g",
				"-fexec-charset=CP932",
				"${file}",
				"-o",
				"${fileDirname}\\${fileBasenameNoExtension}.exe"
			],
			"options": {
				"cwd": "C:/tools/msys64/mingw64/bin"
			},
			"problemMatcher": [
				"$gcc"
			],
			"group": "build"
		}
	]
}

「5.2 clangとlldb」を選択した場合

tasks.json
{
	"version": "2.0.0",
	"tasks": [
		{
			"type": "shell",
			"label": "C/C++: clang.exe build active file",
			"command": "C:/tools/msys64/mingw64/bin/clang.exe",
			"args": [
				"-g",
				"${file}",
				"-o",
				"${fileDirname}\\${fileBasenameNoExtension}.exe"
			],
			"options": {
				"cwd": "C:/tools/msys64/mingw64/bin"
			},
			"problemMatcher": [
				"$gcc"
			],
			"group": "build"
		}
	]
}

9. Visual Studio Codeの設定3(launch.jsonの作成)

  1. test.cファイルのタブに移動し,F5キーを押すか,メニューの「実行」->「デバッグの開始」を選択.「環境の選択」候補の中のLLDBを選択.Cannot start debugging because no launch configuration has been providedエラーが出るが,気にせずOKを押す.

  2. launch.jsonファイルが開く.その中身を以下のコードと置き換える.(Ctrl + Aを押した後,Backspaceキーを押して全て削除し,コピー&ペースト)

「5.1 gccとgdb」を選択した場合

launch.json
{
    // IntelliSense を使用して利用可能な属性を学べます。
    // 既存の属性の説明をホバーして表示します。
    // 詳細情報は次を確認してください: https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=830387
    "version": "0.2.0",
    "configurations": [
        {
            "name": "(gdb) 起動",
            "type": "cppdbg",
            "request": "launch",
            "program": "${fileDirname}\\${fileBasenameNoExtension}.exe",
            "args": [],
            "stopAtEntry": false,
            "cwd": "${workspaceFolder}",
            "environment": [],
            "externalConsole": false,
            "MIMode": "gdb",
            "miDebuggerPath": "c:\\tools\\msys64\\mingw64\\bin\\gdb.exe",
            "setupCommands": [
                {
                    "description": "gdb の再フォーマットを有効にする",
                    "text": "-enable-pretty-printing",
                    "ignoreFailures": true
                }
            ],
            "preLaunchTask": "C/C++: gcc.exe build active file"
        }
    ]
}

「5.2 clangとlldb」を選択した場合

launch.json
{
    // IntelliSense を使用して利用可能な属性を学べます。
    // 既存の属性の説明をホバーして表示します。
    // 詳細情報は次を確認してください: https://go.microsoft.com/fwlink/?linkid=830387
    "version": "0.2.0",
    "configurations": [
        {
            "type": "lldb",
            "request": "launch",
            "name": "Debug",
            "program": "${fileDirname}\\${fileBasenameNoExtension}.exe",
            "args": [],
            "cwd": "${workspaceFolder}",
            "preLaunchTask": "C/C++: clang.exe build active file"
        }
    ]
}

10. ブレークポイントとデバッグ実行

  1. test.cファイルが表示されているタブに移動する.なお,その他のタブは閉じてしまって構いません.

  2. ソースコードの5行目をクリックした後,Shift + F9キーを押すか,行番号の左側をクリックして赤い丸を点灯させる.この作業はブレークポイントを設定しています.ブレークポイントとは,プログラムの実行を一時停止する場所のことです.デバッガを用いた実行では,ブレークポイントのついた行を実行する直前で,プログラムの実行が止まります.このとき,ローカル変数などの値を確認することができます.

  3. F5キーを押すか,メニューの「実行」->「デバッグの開始」を選択.5行目でプログラムの実行が一時停止したらOKです.

  4. Shift + F5キーを押すか,メニューの「実行」->「デバッグの停止」を選択して終了.

以上.

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