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SaaS で作る小さな会社の IT 基盤

Last updated at Posted at 2020-12-07

はじめに

昨今 SaaS が非常に盛り上がっており、会社の基盤となる IT ツールはほとんど SaaS で整えることができるようになりました。

この記事では、 スタートアップなどの数社で見たり聞いたりしたものや、実際に自分が導入したもの、さわってみたものを紹介していこうと思います。

会社の規模としては社員数 1 ~ 20 名程度で、業種によらず導入する可能性が高いサービスを中心に紹介していきます。
※ 大きな会社でも使われているサービスが多いですが、この記事での解説は小さな会社に寄った内容になっています。

どんな SaaS があるか

どんな SaaS があるか知りたいという場合は、SaaS カオスマップを見てみるのがいいと思います。

例えば以下の記事を参照ください。

以下では、上記の SaaS カオスマップなどを参考に、

  • コラボレーション
  • マーケティング・営業
  • バックオフィス
  • その他

の順でサービスを紹介していきます。

コラボレーション

グループウェア

グループウェアでは

  • Google Workspace (旧 G Suite)
  • Microsoft 365 (旧 Office 365)

の 2 つが特に有名だと思います。

自分のまわりでは Google Workspace が導入されていることが多いです。

会社で独自ドメインのメールを使う場合、お名前.com のようなドメインを取得するサービスでメールまで管理するよりも Google Workspace などで管理した方が楽だったりします。
後から移行すると面倒なので、価格さえ気にならなければ最初から Google Workspace でメールを管理した方が楽だと思います。

また、Google Drive は本当にカオスになりやすいので、最初から多少でも使い方のルールがあるといいです。
特にファイルごとに個別に権限を設定したり、URL を知っていればアクセスできるような共有設定をし始めると、非常にぐちゃぐちゃになりやすいです。
最低限そういった設定についてのルールは決めておいてもいいかもしれません。

チャット

仕事で使うチャットサービスとして有名なのは

  • Slack
  • Chatwork
  • Microsoft Teams

などではないかと思います。

自分の周りでは Slack が使われていることが多いですが、チャットは基本的に社内だけで使うことが多いですし、どれを使ってもいいと思います。

Web 会議

Web 会議ツールとしては

  • Zoom

が圧倒的だと思います。

他にも Google Meet など多数のツールがありますが、自分が色々使った中では、Zoom が一番 PC が重くなったと感じにくいです。

Web 会議ツールは社外の方とのやりとりに使うことも多いので、シェアが高いものを使うことが重要です。
相手方も普段から使っているツールを使うことで、操作や設定の関係でうまくいかないことを防げます。
シェアの高さを考慮しても、Zoom を使うのが一番だと思います。

ナレッジ管理

ナレッジ管理ツールは色々あると思いますが、自分が調べたり使ったりした中では

  • Notion

が一番使いやすいです。

オンラインの Markdown ツールとしては

  • HackMD (同時編集可能。デフォルトでは URL を知っていれば認証なしでアクセス可能)
  • StackEdit (Google Drive 上のマークダウンファイルを編集可能。同時編集は不可)

あたりがありますが、 同時編集可能、かつデフォルトで認証なしでアクセスできない、というサービスがいいと思うとちょっと使いにくいです。

また、Wiki 系のツールだと

  • Confluence
  • esa

あたりも有名ですが、個人的には Notion の方が使いやすいです。

マーケティング・営業

Web ページ作成

ホームページなどを作成するサービスはたくさんありますが、

  • Wix
  • Jimdo
  • ペライチ

あたりが特に有名だと思います。

この 3 つは上ほどリッチ・上級者向け、下ほどシンプル・初心者向けといったイメージです。
どんなホームページを作りたいかを踏まえてどれを使うか決めるといいのではないでしょうか。

EC サイト

EC サイトを運営したい場合、上にあげたサービスでも可能ですが

  • Shopify
  • BASE

なども有力な検討候補になると思います。

よりリッチにしたい場合

ホームページについては、最初はここまでに挙げたサービスで作るのが手軽ですが、こういったサービスはある程度以上規模のあるサイトには適していなかったりします。
会社が成長するなどしてホームページを充実させたくなった場合は、SaaS を卒業することになるかもしれません。

もしも自前の HTML・CSS をホスティングするのであれば、Netlify などを使うのが安価かつセットアップも運用も楽でオススメです。

WordPress

ブログのようにコンテンツを拡充していく場合、WordPress を使うことが少なくないです。
WordPress はプラグインなども豊富で便利ではありますが、スケールやセキュリティを考え始めると辛くなります。
もし WordPress を使いたいのであれば、サーバレスの WordPress サービスである Shifter などを導入できると運用が非常に楽になります。

Web 最適化

ホームページを作成したら

  • Google Analytics
  • Google Search Console

あたりは確実に導入するべきです。

後述する MA・SFA・CRM のサービスを導入する場合は、そのトラッキングタグも導入することになるかもしれません。
そういった場合に備えて、

  • Google Tag Manager

を使えるとより良いです。

ちなみに、Google Analytics などを導入する場合は、ホームページに「プライバシーポリシー」を掲載し、その中でアクセス解析ツールを使っていることを書くことになります。
「プライバシーポリシー」は法務の専門家でなくても作成可能です。
法務の専門家に依頼する余裕がない場合などは、自分で作るなどすると良いでしょう。

MA・SFA・CRM

小さな会社であっても、リードや顧客の管理のために MA・SFA・CRM のようなツールが有用なことは多いです。
MA・SFA・CRM のサービスについては、機能がある程度重複しているのでまとめて紹介します。

MA・SFA・CRM のサービスは導入の初期コストで 10 万円以上かかるようなものも多いですが、

  • HubSpot
  • BowNow
  • Kairos3
  • Sales Cloud Essentials

あたりは非常に安価に導入可能で、実績も豊富です。

個人的には HubSpot の無料プラン (トライアルではなく無料プラン) の機能が非常に充実していて驚きました。

関連して、各種フォームの作成については

  • Google Form

なども便利です。

バックオフィス

会計

会計の SaaS としては

  • 会計freee
  • MF クラウド

の 2 つのどちらかを使っていると聞くことが非常に多いです。

この 2 つについて違いとしては、会計freee の方が会計知識のない初心者向けで、MF クラウドの方が会計知識のある方にとっては便利、といった意見が多いです。
とはいえ、できることが大きく異なるわけではないので、好みで選んでもいいと思います。

参考

労務管理

給与や役員報酬を少しでも支払う場合、給与計算や年末調整が必要になります。
そのためには労務管理ツールがほしくなります。

  • 労務管理freee
  • SmartHR

あたりが特に有名で、よく使っていると耳にします。
会計freee を使っている場合はそのまま労務管理freee も導入している場合が多いのではないでしょうか。

契約

最近では各種の契約をオンラインで交わすことも多くなっています。
電子契約サービスとしては

  • クラウドサイン
  • ホームズクラウド

などが有名です。

導入は非常に簡単ですし、クラウドサインについては無料で試すこともできます。
契約関係で手間を感じている方は是非導入を検討してみてください。

決済

決済サービスは色々あると思いますが、

  • Stripe

の事例を聞くことが圧倒的に多いです。

Wix など、Stripe と連携できる SaaS サービスも非常にたくさんあります。
自社で SaaS を運営する際の決済に使うこともできるので、ある程度知識をつけておくと便利です。

その他

※ SaaS と言っていいのか微妙なサービスが多いです

ドメイン

ドメインを取得するサービスとしては

  • お名前.com
  • ムームードメイン
  • Google Domains

などが有名です。

UI の分かりやすさは Google Domains が圧倒的です。
サービスごとに価格が違ったりするので、ほしいドメインの価格を比較してサービスを選ぶといいのではないでしょうか。

なお、ドメインをどのサービスで登録・管理するかと、DNS をどのサービスで登録・管理するかは別になります。
なので、例えば安価にドメインを取得できるお名前.com などでドメインを取得して、DNS は UI の分かりやすい Google Domains で管理するといったことも可能です。

.co.jp ドメイン

.co.jp ドメインについては特殊な事情があるので、少しだけ解説します。

.co.jp ドメインは、日本の会社だけが取得できる特別なドメインで、1 社につき 1 つしか取得できません。
取得後に会社の登記情報が確認されたりするため、信頼性が高いドメインと言われています。

とはいえ最近は .co.jp でも .com でもないドメインで運用されているサイトも多いですし、トップレベルドメインを気にする必要性は減ってきているかもしれません。

なお、.co.jp ドメインは Google Domains などの一部のサービスでは取得できません。

ドメインを取得するためのアカウント

会社設立後すぐにドメインを取得することになると思いますが、その時点では独自ドメインを使った会社のメールアドレスを持っていないため、どのメールアドレスでアカウント登録するのかという問題が発生します。

このメールアドレスとしては、個人が普段使っているものではなく、Google アカウントなどで新たに取得することをオススメします。
特に .co.jp ドメインの場合は Whois 情報公開をお名前.com などの事業者に代行してもらえないため、このメールアドレスはインターネットに公開されることになります。
個人のメールアドレスを公開しないためにも、専用のメールアドレスを使うといいと思います。

EC (買う側)

EC サイトといえば Amazon だと思います。
法人であれば

  • Amazon ビジネス

に登録可能です。

Amazon ビジネスを使えば、アカウント共有することなく複数ユーザで Amazon を利用可能です。
また、Amazon ビジネスならではの割引を受けられる場合があります。

ネット銀行

最後に、ネット銀行としては

  • ジャパンネット銀行
  • 住信SBIネット銀行
  • 楽天銀行
  • イオン銀行

などが有名です。

この中で自分が特徴的だと思うのは、住信SBIネット銀行の法人口座開設だけが、資料の郵送なども一切なく、全てオンラインで、最短 1 営業日で完結することです。
これは本当に便利で、1 社だけ一歩未来を行っているように感じました。

なお、ネット銀行ではなくメガバンクや地方銀行で口座開設するメリットもあるので、一概にネット銀行がいいということにはならないです。
また、 イオン銀行以外のネット銀行では社会保険料の納付を口座振替できないなどの制約もあります。

参考

おわりに

今回紹介した以外にも、便利な SaaS サービスは非常にたくさんあります。
個人的には iPaaS の Zapier などはかなり気になっています。

エンジニアのように作るスキルがあると作ることを前提に考えがちですが、すでにあるものは活用して、その会社特有の強みに集中できるといいのではないかと思います。

また、エンジニアとして働く場合、SaaS の提供側になるケースもどんどん増えていくと思います。
世にある SaaS をさわっておくことで、どういうサービスが使いやすいのか、どういう構造だと拡張しやすいのかなど、作る立場としても役立つ知見がたまるのではないでしょうか。

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