#最初に、あるいは言い訳
世の中には賢い人がいっぱい居て、おかげで日々技術が進歩しています。
本当にありがたいことです。
そのような最新技術のお話は他人に任せておいて、今回のテーマはWeb上の行動についての国民性の違いについて書きたいと思います。
「おいおい、技術系のサイトで何かいているんだよ!」
そんなツッコミは正しいのですが、「世界標準のUXを作ったのに、CVRがイマイチ・・・」と悩んでいる方のお役にたてれば幸いです。
#参考にした資料
※今回利用したデータについてはここをご覧ください。
APACの旅行者のWeb上での傾向を分析したものです。
画像はデータ公開元への敬意です。
#何の為に分析するのか?
私の所属している会社は個人に対してモノを販売しています。(いわゆるBtoC)しかも、顧客のターゲットは全世界!
そこで問題になってくるのが、**『日本人にとって使いやすいサイトが、他国の人にとって使いやすいのか?』**という問題。
先に結論から書いてしまいます。
**『日本人にとって使いやすいサイトは、他国の人にとって使いやすいとは限らない?』**です。
何故、『使いにくい』と書かないかというと、他国は多数存在していて、意外と日本人と似たメンタリティを持った国もあったりするのです。
#国によってサイトの雰囲気が違ったりするものなの?
これは、本当に違ってきます。例えば経路検索のサイトを比較すると
日本代表:NAVITIME
オーストラリア代表:Roma2Rio
...全然ちがいますよね。
どちらのサイトも利用者の特性に合わせて作られているはずなのに、完成品がまるで違ってきています。
#日本と海外のサイトを比べてみると
日本代表:H.I.S
アメリカ代表:agoda
一番の違いはファーストビューの情報量。文字の数からして全然違います。
因みに、お隣韓国は:ハナツアー
ちょうど中間みたいな感じですか。何が書いてあるか読めませんが
この様なサイトをぼんやり眺めていると明らかになる日本のサイトの特徴があります。
##日本のサイトの特徴をあげると
- ファーストビューの情報量が多い
- 検索項目が詳細
- 口コミやお勧めの情報が多い
#日本人を他の国と比べてみると
話は変わって、分析データから見える日本人の特徴です
####日本人は秘密主義?
- 個人情報を入力することに躊躇する日本人は69%
- 個人情報を入力することに抵抗がある人の割合はAPAC圏内の平均が36%
- 最も開放的なのがインドネシア人の20%
- 比較的日本人に似ているのがオーストラリア人の62%
⇒これだけで、日本人向けのサイトの場合、入力欄が多いことが購入の妨げになることがわかりますね。
####日本人はPC好き?
- APAC圏内の平均的な旅行の検索/予約でスマホやタブレットの利用率は54%(検索)/46%(予約)
- それに対し日本人は30%(検索)/23%(予約)
- もっと顕著なのがオーストラリア人で33%(検索)/20%(予約)
- 逆にスマホ利用率が最も高いのがインドネシアと中国。割合はほぼ100%
⇒ちなみに弊社、Skyticketでのスマホの申込割合はもっと高いです。比較的安価な国内線の申込みが主力であることが原因かもしれません。
⇒インドネシアや中国はPC保有数とスマホ保有数の差が顕著に表れていますね。
####旅行に重要なのは何?
旅行商品で何を重要視するかについて尋ねたところ、
- APAC全体では『金額の安さ』(37%)でした。
- それに対し日本人が重要視するのは『快適さ』(43%)
- オーストラリア『金額の安さ』(44%)
- 中国『豪華さと安全』
- シンガポール『旅程の立てやすさ』(40%)
⇒『金額の安さ』が重要というのは、それだけ旅行が一般的だという事が言えますね。
中国の『豪華さと安全』が上位に来るというのは、それだけ旅行というものが特権的なものであると思われます。
####旅行の情報はどうやって手に入れる?
- 日本人の旅行情報の収集方法はSNS(48%)と旅行レビューサイト(47%)。
- 中国、彼らは旅行会社(Ctrip、Tuniuなど)のお勧めに従う事が多いようです(62%)
- 韓国人は『身近な仲間の情報』(48%)
⇒日本の旅行サイトにレビューと観光情報があふれているのには理由があるようです。
#もう一つの観点
日本のサイトが情報量が多くてレビューにあふれている理由については納得いただけたかと思います。
でも、これだと英語圏のサイトがシンプルな構造になっている理由がわからないです。
その答えとして私が有力視しているのが言語特性です。
例えば、あなたが日本語ネイティブだとした場合このサイトでチケット予約をできますか?
私はできません。だって、何が書いてあるかわからないから。
でもこのサイトなら頑張る事が出来そうです。
その理由は
- 英語だから少しは理解できる
- 情報量が少ないから頑張れる
英語サイトは英語ネイティブでない利用者も利用するのです。なのでエントリーレベルの英語力でも利用可能なサイト作りが重要になってくるのです。
逆に、日本語や韓国語、アラビア語などネイティブ以外の利用者が少ないサイトは情報量をいかに盛り込めるかが重要になります。
スマホなどの画面サイズの制限の大きい端末が主流になるにつれ、このジレンマに苦しめられるWebデザイナー達が増える事でしょう。