概要
オープンCAEシンポジウム2021のオープンCAEコンテスト2021に応募したミルククラウン解析の解析結果をコンテストが終了したので、順次公開します。
Smoothed CSF モデルの検証
界面張力の曲率の計算で使用するモデルは、CSF モデルです。
このモデルには、 Spurious Currents という流速が、発生し得ない場所で発生する問題があります。
そこで、曲率の計算で使用するモデルを、Smoothed CSF モデルとした場合、どの程度 Spurious Currents が低減されるか確認します。
Stagnant bubble model
解析モデル
解析条件
項目 | 単位 | 設定内容 |
---|---|---|
解析開始時刻 | 秒 | 0 |
解析終了時刻 | 秒 | 0.05 |
メッシュ_M0_ | $mm^2$ | 0.5$\times$0.5 |
メッシュ_M1_ | $mm^2$ | 0.25$\times$0.25 |
メッシュ_M2_ | $mm^2$ | 0.125$\times$0.125 |
メッシュ_M3_ | $mm^2$ | 0.083$\times$0.083 |
バブル半径_R_ | $mm$ | 2.5 |
最大クーラン数_Co_ | - | 0.1 |
緩和係数 | - | 0.9 |
水の動粘性係数$\nu$ | $m^2/s$ | 1.00e-06 |
水の密度$\rho$ | $kg/m^3$ | 1000 |
空気の動粘性係数$\nu$ | $m^2/s$ | 1.48e-05 |
空気の密度$\rho$ | $kg/m^3$ | 1 |
表面張力$\sigma$ | $N/m$ | 0.07 |
重力加速度ベクトル$\vec{g}$ | $m/s^2$ | (0 0 0) |
解析結果
Spurious Currents 速度を $U_{SC}=max(|\vec{U}|)$ と定義します。
各表面張力モデルとメッシュでの平均 Spurious Currents 速度は以下の通りです。
表面張力モデル | メッシュ_M0_ | メッシュ_M1_ | メッシュ_M2_ | メッシュ_M3_ |
---|---|---|---|---|
CSF | 0.059 | 0.087 | 0.096 | 0.141 |
Smoothed CSF | 0.056 | 0.046 | 0.046 | 0.026 |
ここで、グラフ内の「論文」は次の論文を表します。
K. J. Vachaparambil, Comparison of Surface Tension Models for the Volume of Fluid Method (2019).
M0 メッシュを使用した t = 0.05 s での表面張力モデルにより生成された Spurious Currents の比較は次の通りです。
M1 メッシュを使用した t = 0.05 s での表面張力モデルにより生成された Spurious Currents の比較は次の通りです。
M2 メッシュを使用した t = 0.05 s での表面張力モデルにより生成された Spurious Currents の比較は次の通りです。
M3 メッシュを使用した t = 0.05 s での表面張力モデルにより生成された Spurious Currents の比較は次の通りです。
Stagnant water ball model
解析モデル
解析条件
|項目|単位設定内容|
|:-:|:-:|:-:|
|解析開始時刻|秒|0|
|解析終了時刻|秒|0.05|
|メッシュ_M0_|$mm^2$|0.5$\times$0.5|
|メッシュ_M1_|$mm^2$|0.25$\times$0.25|
|メッシュ_M2_|$mm^2$|0.125$\times$0.125|
|メッシュ_M3_|$mm^2$|0.083$\times$0.083|
|バブル半径_R_|$mm$|2.5|
|最大クーラン数_Co_|-|0.1|
|緩和係数|-|0.9|
|水の動粘性係数$\nu$|$m^2/s$|1.00e-06|
|水の密度$\rho$|$kg/m^3$|1000|
|空気の動粘性係数$\nu$|$m^2/s$|1.48e-05|
|空気の密度$\rho$|$kg/m^3$|1|
|表面張力$\sigma$|$N/m$|0.07|
|重力加速度ベクトル$\vec{g}$|$m/s^2$|(0 0 0)|
解析結果
Spurious Currents 速度を $U_{SC}=max(|\vec{U}|)$ と定義します。
各表面張力モデルとメッシュでの平均 Spurious Currents 速度は以下の通りです。
表面張力モデル | メッシュ_M0_ | メッシュ_M1_ | メッシュ_M2_ | メッシュ_M3_ |
---|---|---|---|---|
CSF | 0.105 | 0.073 | 0.030 | 0.050 |
Smoothed CSF | 0.069 | 0.050 | 0.034 | 0.016 |
M0 メッシュを使用した t = 0.05 s での表面張力モデルにより生成された Spurious Currents の比較は次の通りです。
M1 メッシュを使用した t = 0.05 s での表面張力モデルにより生成された Spurious Currents の比較は次の通りです。
M2 メッシュを使用した t = 0.05 s での表面張力モデルにより生成された Spurious Currents の比較は次の通りです。
M3 メッシュを使用した t = 0.05 s での表面張力モデルにより生成された Spurious Currents の比較は次の通りです。
Smoothed CSF モデルの評価
Stagnant bubble model および Stagnant water ball model のメッシュが最も細かい_M3_ケースで、Spurious Currents が 68.0~81.6 (%) 低減されることを確認しました。よって、ミルククラウン解析に Smoothed CSF モデルを適用することは、有用であろうと考えます。