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2025年 SRE生き残り戦略

Last updated at Posted at 2024-12-31

はじめに

事業会社でクラウドサービス開発のテックリードを担当しながら副業でSREを行っている山口と申します。
この記事では生成AIの進化とSREとしての携わり方を予測しながら2025年の生き残り戦略を考えてみたいと思います。

自己紹介など

普段はクラウドシステムの開発に携わっているのですが、2024年は最初から最後までどっぷりと生成AI漬けの日々を送っておりました。
プロンプトを投げて開発の手助けしてもらうのもそうですが、業務で活用するための企画を行ったり、GenOpsやRAGOpsを構築するためのクラウドアーキテクチャを検討・検証したりと、生成AIに触れない日はありませんでした。

SREにおける具体的な影響

以下はChatGPTに出力してもらった業務へ及ぼす影響です。
2024年ではまだ業務へ本格的に活用されているケースはぼちぼちだと思いますが、2025年にAIエージェントがリリースされたら一気に実用化されていくと思ってます。特に注目して欲しいのが4の知識の民主化です。

  1. トラブルシューティングの効率化
    • ログ解析やアラートの優先順位付けをAIが支援
    • 障害対応の提案や手順生成がリアルタイムで可能に
  2. インフラ管理の自動化
    • AIがインフラのスケーリングや最適化を提案・実行
    • 生成AIを活用したインフラコードの生成(例: Terraform, Kubernetes)
  3. 観測性の向上
    • Observabilityデータの分析・可視化をAIがリアルタイムで提供
    • トレンド予測や潜在的な問題の事前検知
  4. 知識の民主化
    • SRE固有の知識やノウハウが生成AIを通じて共有可能に
    • チームメンバー間の知識格差の縮小

生成AIによって失われる価値

今までジュニアとシニアで一番差が出るのはスキルレベルだったと思いますが、生成AIによって格差は解消されもはや差別化要因ではなくなります。また、2024年までは生成AIを使って生産性を上げることが加点要素だったと思いますが、2025年以降は使っていないことがマイナスとなり、生成AIありきの生産性やクオリティ、人によって書き方に差が出ないコードの標準化が求められていくと思います。

価値を失うスキルの例

シェル芸

ワンライナーでunixコマンドを駆使してテキストを加工するスキルはベテランならではの知識が要求されてましたが、生成AIが一瞬で生成できるようになってしまいました。
さらに、過去に生産された特定の人しか読めないようなシェルも生成AIが一瞬でリファクタリングしてくれます。同様に、複雑な正規表現が書ける技術なども価値を失っていくと思います。

クラウドアーキテクチャ設計

2024年では設計ができることに価値がありましたが、2025年以降は生成AIの精度向上と共に誰でも設計できるようになり、かつそこからご丁寧に解説もしてくれるため、急速に価値を失っていくと思います。ただしTerraformのstate分割手法やリポジトリ最適化などは弱いので、高度なIaC設計技術はまだまだ価値を持ち続けると思ってます。

簡単なスクリプトの作成

例えば、S3やCloudStorageに置いてあるファイルを何らかのETLを行ってBigQueryへInsertするようなスクリプトであればおそらく誰でも作成できると思いますが、今後は生成AIが数秒で作成できるようになります。今までもお金をもらえた作業がそうでなくなるというのも意識すべきポイントだと思います。

生き残り戦略

前述の通り、技術にこだわる生き方は生成AIの進化と完全に競合するため、他の道も模索する必要があると思います。そんな中特に価値が出てくると思っているのは以下の4点です。

  1. ドメイン知識のエキスパート
    自社や業界特有の知識をサービス企画を行っているメンバーに匹敵するくらい身につけましょう。
    生成AIが習得し得ない知識をIT技術にプラスで持っていることが大きな強みになります。
    いずれファインチューニングや独自LLMの敷居が下がってきたら価値は失われていきますが、まだまだ時間がかかると思います。

  2. 生成AI用のシステムを構築する側へ
    はじめにで触れたGenOpsやRAGOpsは比較的新しい考え方でどんどん発展し続けてます。
    ベクトルDB、アノテーションツールの選定、構成によってはKubernetesの知見など、求められる技術は非常に多く、現時点でこの分野を極めているスペシャリストは少ないので、今から取り組んでいく価値はあると思います。
    特に複数のクラウドサービスで同等のサービスが組めるようになると非常に重宝されると思います。

  3. 生成AIを使いこなす側へ
    生成AIはアイデア次第で色んな可能性を持っており、使いこなすには想像力や発想力が求められます。社内で活用方法についてブレストやアイディエーションを実施すると、たまに生成AIでも発想できないようなことを思いつく人がいます。SREでもそういった人材は今後更に重宝されると思います。

  4. エンジニアリング力の向上
    色々なスキルの価値が無くなっていくとはいえ、システムの原理原則を理解しているということは引き続き重要な要素となり、例えば緊急トラブル対応には欠かせない知識となります。サービス停止時に生成AIが自動復旧してくれるところまではもう少し時間が掛かると思うので、エンジニアリング力を高めていくのは今後もSREにとって重要な要素だと考えます。

まとめ

生成AIによってSREの価値は今後大きく変動し、個人的にはフロントエンドやバックエンドエンジニア以上に影響を受けると思ってます。
この記事が少しでもご参考になれば幸いです:grinning:

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