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【NAT64】[Jool] Linuxだけで実装するNAT64(設計・構築編)

Last updated at Posted at 2016-08-31

1. はじめに

去る2016.08.20に開催されましたiOSDC(iOS Developers conference)にて、
このカンファレンスで使えるWi-Fiネットワークの構築にCONBUメンバーとして参画し、
ありがたくもNAT64の実装に携わってきました。
聞くところによりますと、(省略:前回記事をご覧ください)

概要編ではJoolというNAT64コンポーネントを採用したと述べました。
本記事ではJoolを構築し動かすまでを記載します。

Jool: https://jool.mx/en/index.html
なお、手順は公式ページのInstallationに概ね準拠しています。

また、iOSとIPv6とのトピックはiOSDC関連まとめの中では
結構なヒット作となっておられます、以下もご覧いただけるとより楽しめるかと思います。

IPv6に関するプログラミングアンチパターンが面白いんじゃよ。

■IPv6 Readyって何?NAT64/DNS64徹底解説
■上記の発表資料はこちら

2. 構築環境

items version notes
Linux OS ubuntu 14.04.5 LTS 母艦OS
kernel release 4.2.0-27-generic kernel moduleなので明記
Jool 3.4.4 2016/07時点latest
git 1.9.1 Joolのcloneに

ちなみに、dockerizeにも挑戦しましたが、
ubuntuのofficial docker imageのkernel versionに対応する
kernel headerを見つけきれずに断念しました。未熟未熟ゥ!

3. 設計

これを見つつ、Joolの役割を考えると
「DNS64で付与されたwell-known-prefix向けの通信をipv4に変換するGW」
として機能させればよいことがわかります。
well-known-prefixとは64:ff9b::/96になります。
dest IPが64:ff9b::/96の通信を吸い込んでIPv4にNATしてやるという挙動です。

そのため、以下の項目を設計します。

  • クライアント通信受信用IPv6アドレス
  • Joolのインターネットアクセス用IPv4アドレス
    • 上記を踏まえNICは2つ必要
  • IPv6通信用GW
  • IPv4通信用GW
  • 周辺の設計として64:ff9b::/96宛の通信をJool稼働マシンにrouting

4. 構築

大まかな構築項目は以下の3つです。

  1. 必要なパッケージのインストール
  2. Joolのインストール
  3. Jool ユーザスペースアプリのインストール

これに沿って進めていきます。

1. 必要なパッケージのインストール

  • OSのアップデート・アップグレード
    セキュリティ対策的な感じでやっておきます。

    $ sudo apt-get update
    $ sudo apt-get upgrade
    
  • パッケージインストール
    必要なパッケージは次の通りです。

    name way to use
    git Joolのcloneに
    dkms kernel moduleのインストールに利用
    build-essential 公式準拠
    linux-headers 公式準拠
    autoconf ユーザスペースアプリインストールに必要
    pkg-config 同上
    libnl-3-dev 同上

    インストールコマンドはこんな感じでババッと。

    パッケージインストール
    $ sudo apt-get install git
    $ sudo apt-get install dkms
    $ sudo apt-get install build-essential
    $ sudo apt-get install linux-headers-$(uname -r)
    $ sudo apt-get install autoconf
    $ sudo apt-get install pkg-config
    $ sudo apt-get install libnl-3-dev
    

2. Joolのインストール

  • Joolの取得とインストール
    ホームディレクトリにcloneしてしまってよいです。
    そのあとはdkmsでインストールします。

    Joolのインストール
    $ cd
    $ git clone https://github.com/NICMx/Jool.git
    $ sudo dkms install Jool
    

3. Jool ユーザスペースアプリのインストール

  • ユーザスペースアプリとは?
    Joolの起動状態やセッションテーブル等を確認するためのツール(コマンド群)です。
    こう書いてあるので、直訳しただけ。

  • インストール
    公式通りこういう感じで、サックリと
    だと不親切すぎるので、ちょっと解説します。
    git cloneしたフォルダ構成のうち、Jool/usr配下にユーザスペースアプリインストール用の資材が格納されています。
    ですので、cd Jool/usrした後に以下コマンドでインストール。

    ユーザスペースアプリのインストール
    $ cd ~/Jool/usr
    $ ./autogen.sh
    $ ./configure
    $ make
    $ sudo make install
    

起動方法ですが、

$ sudo modprobe jool pool6=64:ff9b::/96 pool4=$YOUR_IPV4_ADDR

で起動します。
sudo make installしたので、root権限が必要です。

以下のコマンド・出力を得られれば、ユーザスペースアプリも正常に動いています。
ユーザスペースアプリも、sudo権限が必要なコマンドがあります。

$ sudo jool -s
~~ (中略) ~~
TCP:
---------------------------------
(empty)
UDP:
---------------------------------
(empty)
ICMP:
---------------------------------
(empty)

5. つづく

ここまではよかったんですが、さすがに色々チューニングしました。
運用ってほんとうに大事ですね。というわけで、
まじめにほんとうに大事な運用周りは次回記事で。

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