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Google アナリティクスで ITP の影響についてざっくり調べてみた

Last updated at Posted at 2019-12-23

この記事は freee のデータに関わる人たちによる Advent Calender の 24日目 です。

こんにちは、freee で Google Marketing Platform(GMP) の管理をしている onda です。
普段は、Google アナリティクス(GA) の実装/収集/集計や、Bigquery での集計、Optimize の実装/サポート、Google タグマネージャ(GTM) の管理をおこなったり、サイトの調査やダッシュボードをつくったり、社内でGMPを利用してもらえるならわりとなんでもやっています。

背景

今頃感があるのですが、ITPの影響度をGoogle アナリティクス側から確認してみようというのが今回の狙いです。
軽い気持ちでざっくりやっているので、厳密性にかける部分がありますがご了承ください。
また、これから提示するサイトデータは全て割合のみで表します。

ITPとはなにか?

今の時代は、手軽にインターネットを通じてさまざまなWEBサイトやWEBサービスを利用できるようになり便利な世の中になりましたよね。
でも、サイトを巡回していると、自分の情報が見透かされたような広告などに触れる時がありとても微妙な気持ちになることがあります。

このように世の中にはWEBサイトを閲覧することで、知らず知らず自分がとった行動やプライバシーに関する情報が取られていると考え、それを不快に思う人々がいます。

こういったユーザーの信頼性を損なう情報の追跡を防ぐという思想のもと生まれたのが Intelligent Tracking Prevention(ITP)です。Cookie やWEBサイトでとった行動データの取得を制限することで複数のドメイン間の情報の受け渡しを制限する仕組みです。

詳しくは、英語で恐縮ですが公式の記事をご覧ください。
参考:Preventing Tracking Prevention Tracking|WebKit

ITPによってもたらされる影響

前項では、ITPを適用することでユーザーの信頼性を向上させるとお話しましたが、その側面 Cookie を利用している者にとっては非常に困ることが多々あります。
例えば、3rd party cookie を利用するリマーケティング広告の配信が制限されたり、Cookie を利用した広告の効果測定が難しくなります。

私が管理しているGAでは下記のような影響があるようです。

  • セッションの間隔が7日間を越えると GA の cookie は削除される - ITP 2.1
  • 訪問者がクロスドメインリンクからサイトに訪問し、丸1日サイトに訪問しなければCookie は削除されます。 - ITP 2.2

つまり、7日間以内にサイトに再訪問しなければ Cookie がリセットされるので、本来であればリピーターのはずが、新規のセッションとして扱われるということです。
GAではITPの影響により、新規のセッションが増加したり、ユーザーにひもづく参照元が減るということが考えられます。

確認手法

今回は、下記のITPの2.1以上のSafari 12.1以上を条件にITPとして集計します。

The beta releases of iOS 12.2 and Safari 12.1 on macOS High Sierra and Mojave include an updated version of Intelligent Tracking Prevention (ITP). For purposes of developer communication, we’ll refer to it as ITP 2.1.

参照:Intelligent Tracking Prevention 2.1

ほとんど管理していないサイトなのですが、プロパティ1つに対して1ドメインを計測しているものを選び集計します。

やってみよう!

まずは、ITPトラフィックが全体を占める割合を出します

まず、今年4月からのITPトラフィックが占める割合を出します。
少しわかりづらいのですが、下記のグラフでは増加傾向にあるのがわかります。割合でいうと、4月では 9% であったのが12月では 22% まで増加しています。
itp_01.png
ちなみに、デバイスで切ると以下のようになりました。(ややこしいのでtabletは除外しています。)
desktopでは4月に 2% だったのが12月では 3% と微増だったのに対し、
mobileでは4月に 6% だったのが12月では 18% で+12pと3倍に増加していました。
このサイトではモバイルでのITPの影響が大きくなっているのがわかります。
itp_02.png

続いて、新規の割合を出してみます

ITPの影響を受けると、Cookieがリセットされるため新規ユーザーが増加するはずなので、ITPセッションとITPセッション以外の新規の割合をみます。

desktopは、9月以降新規ユーザーの割合が大きく上昇しているのがわかります。
(わかりやすい数字が出てよかった。)
mobileはITPではない新規ユーザーの割合が減少しているのに対し、ITPの新規ユーザーが+3p上昇しています。
上記から、ITPでは各デバイスで新規ユーザーが増えていることがわかりました。
itp_03.png

最後に訪問頻度を調べます

右のグラフは4月のITPとITPではないユーザーの訪問間隔です。
左のグラフは11月のITPとITPではないユーザーの訪問間隔です。
// グラフのフォーマットに統一感なくてごめんなさい。
2つのグラフを比較するとITPではないユーザーの訪問間隔の形に大きな違いはないが、ITPのユーザーの訪問間隔の形に違いが出ているのがわかります。
これは、ITPのGAでの影響でも述べた通り(下記参照)、7日以降のCookieがリセットされていることがわかります。
今回はSafari12.1以降を利用しているかをITPユーザーとしましたが、厳密にOSやOSバージョンで切るともっと差が出るかもしれません。

セッションの間隔が7日間を越えると GA の cookie は削除される

itp_04.png

まとめ

簡単にではありますが、GAにおけるITPの影響について調べてみました。あまりこういったデータは出てこないので参考になればと思います。
GAのgoalをAdsにインポートをする場合には、これまで 3rd party cookie 単体で計測しているgoalに比べてCookieの有効期限が長かったですが、7日間以上のCookieはリセットされている可能性が高いことがわかりました。
Cookieを利用した計測や広告を配信する業界にとっては世知辛い世の中ですね。

今回調べた方法はBigqueryを利用せずに集計しました。
GAは通常利用されるGUIも優れていますが、APIを利用して簡単にデータを引き出せます。集計したい内容によって、GUI、API、Bigqueryと選択することができるため、スピード重視か精度重視かで集計手法を選ぶことができるのでとても便利なツールです。

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