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『Bundle vs LOCKED DAS』移行の舞台裏と学びの記録

Last updated at Posted at 2024-11-17

はじめに

SaaS管理ツールをLOCKED DASからBundleに切り替えた話です。
SaaS管理ツールを導入したいけど、どれがいいのかがわからない人や、どうやって製品選定を進めたらいいのかがわからない人の参考になれば幸いです。

3行にまとめると

  • LOCKED DASは価格や進化の速さが魅力だが、頻繁な変更や使い勝手に課題があったため、Bundleに切り替えた。
  • 製品選定時の困難があったが、結果的にBundleに切り替えて正解だった。
  • BundleはUIが直感的で、備品管理の効率化やチーム内での使いやすさが向上した。

本題

LOCKED DAS ・Bundleとは

LOCKED DAS
LOCKED DASとは、onetap社が提供しているSaaS・IT管理ツールです。SaaS管理ツール比較サイトで調べてもあんまり出てこないので、比較的ニッチな製品かも知れません。

Bundle
Bundleとは、freee社が提供しているSaaS・IT管理ツールです。個人的にはジョーシス・Bundle・Adminaの3つが同製品群のなかでは有名な印象で、聞き覚えのある方もいらっしゃると思います。

LOKED DASを導入し、乗り換えた理由

なぜLOCKED DASを導入したのか

当時の製品選定に関わっていないので、当時担当者からざっくり聞いた感じでは、以下が理由だったようです。

  • 価格が安い(Bundleに比べて導入初期は3分の1くらいの価格でした)
  • SaaSを一元管理する、アカウントの作成・削除を自動化することが実現できる

LOCKED DASをつかってどうだったか

①進化が早い
製品がまだ進化途中であることもあってか、頻繁に機能アップデートがありました。使用していた1年の間に3-4回は機能が追加されていた印象です。
当時、Bundleへの乗り換えを検討していることとその理由を伝えると、その理由を打ち消してくれるようなアップデート(具体的にはIT備品管理の機能追加)をしていただけました。

②丁寧なサポート
UI・UXが微妙ではあったものの、何か問い合わせればすぐにWebミーティングで説明・サポートしいただけました。
総じて、製品としての完成度はともかく、サポートの体制・姿勢はとても好印象でした。

③安い
類似製品にくらべると価格改定後の価格でも半額近い単価でした。SaaSを管理するためのSaaSですので、通常のSaaSよりも高かったら本末転倒だと個人的には思っており、安いのは圧倒的な強みだと思います。

なぜ別ツールに乗り換えるのか

実際の運用で大きく困ったことはなかったのですが、使用者としてこの製品を使い続けたいと思えませんでした。具体的には以下3つあります。

①進化途中の製品がゆえに変更が多い
進化が早いと言えばポジティブなのですが、言い換えると製品としては成長段階のものでした。アップデートに伴い1年間の間にに2回の価格改定がありました。

価格改定に関する補足

  • 価格改定はあったものの、すでに契約中の我々に対して途中から価格を上げるように求められたのではありません。
  • 新規販売顧客に対する改定であり、我々への適用は更新タイミングに合わせて少しずつ上げていく運用でした。

製品の機能を前提に運用を組みたい私としては、製品のアップデートが多いといつまでたっても仕様を信じることができず、運用を固めきれないもどかしさがありました。
また、価格改定の影響を直接受けないとは言え、高頻度の価格改定は印象があまり良くありません。「また価格改定するのか」という印象が強く残りました。

②UI・UXが微妙
進化途中であるが故に仕方がない部分でもあるかも知れませんが、LOCKED DASにSaaSを連携させる際、操作を感覚的にできず、マニュアルをちゃんと読み込んで進める必要がありました。また、そのマニュアルも見づらかったり細かい前提条件があるなど、初期導入時から使いづらさがありました。
そのうえ、連携させているアプリの一部では、1-2ヶ月に1回は連携が解除されてしまう現象も起き、初期導入後の運用も手間が掛かった印象です。

③活用イメージを描けなかった
たくさんの活用方法があったと思います。実際、SaaS管理の観点では、細かい部分を除けば概ね機能不足を感じることはほぼありませんでした。

ただ、製品がどれだけ良くても使うのは人間です。①と②の所感からLOCKED DASを使い込みたい、さらに活用していきたいと思えませんでした。仮に活用していっても操作感が微妙な以上、後任者への負担も考えると作り込むべきではないとも思っていました。

こうした理由から別ツールに乗り換えることにしました。

Bundleに乗り換えた理由と、実際に運用してみた感想

なぜBundleにしたのか

LOCKED DASからの入れ替え候補として、ジョーシスとBundleがあがっていました。商談したりトライアルする中で、整理した表が以下です。

結論、以下の理由からBundleに決定しました。

  • 機能面
    • オートメーション機能がジョーシスと比べて充実している
    • 感覚的に、活用イメージが湧く
      • 今後MDMとの自動連携の開発も予定されている
      • UIがわかりやすい
      • 検知だけでなく、リスクチェック機能として具体的なリスクまで表示される
  • 非機能面
    • LOCKED DASよりも高いが、ジョーシスよりは安く許容範囲内の価格である
    • 営業担当、サポート担当への信頼感がある

MDMとの自動連携についての補足

  • 検討当時はまだ開発途中でしたが、先日、おもったよりも早いタイミングでJamf・Intune・Lanscopeとの自動連携機能が公開されました。(詳細はこちら
  • ジョーシスはまだ完全自動ではないので、Bundleを選んだものとしては大歓喜なアップデートです

▼当時の製品比較
※ID単価は詳細を伏せるため、曖昧な表現に変えています。

項目 LOCKED DAS Bundle ジョーシス
オートメーション機能の充実度 トリガーが相対的に豊富で、おおもとのユーザ情報をもとに多くのトリガーを選択・実行できる。 トリガーは相対的に少ないが、ジョーシスに比較すると機能は備えている。
Asanaとの連携は通知機能で実装可能。 他2製品に比べるとほぼ無いに等しい印象。
使いやすさ UI、操作がわかりづらく、使用者が変わった場合のキャッチアップが難しい印象。 マニュアルをみなくとも、アプリ連携やシャドーITの検知等が容易な印象。
複数アカウント、備品情報をまとめて更新も可能。 複数項目の同時更新に難あり。
MDM連携 × 開発速度を鑑みるに、実装の可能性あるが、現状MDMとの連携開発未定 MDMとの連携可能になる見込みあり) Jamf・Intuneとの連携可能。ただしJamfはGASが必要
ID単価 Bundleの半額ほど ジョーシスの半額ほど IDとは別に初期構築費用も発生
商談時の担当者の印象
シャドーIT検知機能 × 機能としてない。 検知だけでなく、リスクチェック機能として具体的なリスクまで表示されるため、SaaS管理強化の加速につながる。 検知はしてくれるが、Bundleのように具体的なリスクまでは表示されない。
備品管理 元々実装されていなかったが、実装された。
開発速度 要望に対する対応速度は、比較的早い印象だが、製品としての完成度がそもそも他製品と比べて低い。 アプリの追加連携への対応が早い印象。 連携可能なアプリの拡大速度はトップではあるが、他機能の充足は優先度が低い。

Bundleに決まるまでの困難

①トライアルする余裕がない
理想としては、LOCKED DASでやっていることをすべてBundleでも試したり、実際の運用を一通り試せた方がいいのですが、工数が足りずある程度は決め打ちでいく必要がありました。
LOCKED DASの契約を更新しないことは事実上きまっていたので、「Bundleで問題ない理由」を探す作業になっていたのが正直なところです。

②どの製品も似ている
①で書いている通り、「Bundleで問題ない理由」を探したわけですが、正直なところどの製品も「SaaS管理」「IT備品管理」「シャドーIT検知」の機能はあるので、決めかねていました。そのうえLOCKED DASも機能アップデートされ、乗り換える必要性が薄まっていました。

そこで、検討項目のなかでも最優先すべき項目を以下に絞り「Bundleで問題ない理由」と結論づける方向に進めました。

SaaS管理ツールに限らずどんな製品も似たり寄ったりです。できることが多いほど項目は増え、検討も迷走してしまいます。今回の製品選定を通じて検討項目を絞る・優先度をつける重要性を学びました。

▼最優先した検討項目

大項目 中項目 理由
アカウント削除フローの自動化 現状、LOCKED DASで実装しているアカウント削除フローを、同じように実現できるか 一番の理由としてアカウント削除漏れを防ぐためにLOCKED DASを使用していたので、外せない要件でした。
アカウント削除フローの理想状態を実現できるか あくまでもLOCKED DASは一時的に使っており、使い込む・長期利用するイメージはなかったため、アカウント削除フローも理想状態になるまでは作り込んでいませんでした。乗り換えるにあたって、今後フローを作り込んでいくことになるので、実現可否を確認していました。
情報管理のしやすさ 備品やアカウント情報の更新はしやすいか(一括でできるか) 多くの場合、備品情報やアカウント情報を更新するのは入退社対応をするタイミングです。複数名の情報を更新することになるので、更新のしやすさは重要でした。
MDMとの自動連携はできるか ほか3項目に比べると優先度は下がりますが、検討当時は今後Jamfを導入する予定があり、自動連携の可否は運用工数に大きく関わるため項目に入れました。

Bundleに乗り換えてどうだったか

結論、Bundleに乗り換えて正解でした!!

「Bundleで問題ない理由」を探して、半ば強引にBundleに決めたので個人的には運用するのに不安がありましたが、UIがLOCKED DASやジョーシスに比べて格段に良いことで、私以外のメンバーも使いやすく備品管理も想定以上に早く運用開始できました。また、上述しているように、想定よりもはやくMDMとの自動連携も始まりました。(ジョーシスは現時点では、まだJamfとは完全な自動連携はしてません)

結局のところ、「使いたいとおもえるかどうか」が製品を選ぶ上で最重要であると思いました。

おわりに

SaaS管理・備品管理はユーザからすると見えない範囲なので、苦労が見えづらい部分です。しかし、こういった細かい管理がコストカットやセキュリティ維持につながるので軽視できません。

今後は、Bundleを使ってSaaSの管理強化をするだけでなく、一人当たりのIT投資額も見えるようにしていくつもりです。

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