はじめに
エンジニアという分野において、女性は未だ少数派であることが多い現実。
しかし、それだけに女性エンジニアたちは多くの可能性を秘めていると、ひしひしと感じます。
特に、キャリアを築いている女性にとって、その日々は挑戦の連続です。
女性エンジニアとしての道を歩む
エンジニアリングの世界で女性が少数派であることは、時に孤独感や疎外感を伴います。
チームの中での意見が軽視されたり、プロジェクトにおける役割が限られたりする場面もありました。しかし、これを障害と捉えるか、挑戦と捉えるかは、自分次第です。
私も最初は、自分のアイデアが男性中心のチームで受け入れられるのが難しいと感じました。でも、データや成功事例を持ち込んで発言を強化することで、次第に信頼を得られるようになりました。どのような環境にせよ、他者の視点を理解し、共感を示すといった、ホスピタリティの精神が重要です。 意見を交わす際に相手の背景を尊重し、相手が求める情報を提供することで、建設的な対話が生まれます。
親の介護とキャリアの両立
介護は時間やエネルギーを大きく消耗する一方で、キャリアも人生において重要な柱です。
親の健康状態や日常的なサポートを管理しながら、仕事で成果を上げる必要がある状況は、ストレスを伴います。
私自身、母親の介護が必要になったとき、大きな壁に直面しました。フルタイムのエンジニアとして働きながら、介護のための時間をどのように捻出するかが最大の課題でした。しかし、ここで助けとなったのは 「できることに集中し、不可能を嘆かない」 という考え方です。イギリスの物理学者スティーブン・ホーキング博士の「人生はできることに集中することであり、できないことを悔やむことではない」という言葉に強く心打たれ、とても大切にしています。
効率化とリソース活用の工夫
介護と仕事を両立させるには、次のような実践が役立ちます。
1.スケジュールの可視化
家族の予定や介護タスクを仕事の予定と同じレベルで管理しました。GoogleカレンダーやToDoリストアプリを活用して視覚化することで、スムーズな進行が可能になりました。
2.外部リソースの活用
地域の介護支援サービスや、信頼できる家事代行サービスを利用しました。これにより、限られた時間の中で自分の役割を軽減し、仕事への集中力を維持することができました。
3.リモートワークの選択肢
コロナ禍以降、リモートワークの選択肢が増えたことは非常に助けになりました。通勤時間を削減することで介護の時間を確保し、柔軟な働き方が可能になったのです。
ホスピタリティの視点 から見れば、介護もまた「相手に安心と満足を与える行動」と捉えることができます。親の尊厳を守り、できる限りの快適さを提供する姿勢は、エンジニアリングにおけるユーザーファーストの精神にも通じるものがあります。
自分自身のケアを忘れない
自分自身の健康や心の平穏を保つことも非常に重要です。長時間の業務や介護の負担で疲れ果ててしまうと、両方を続けることが難しくなります。
小さな「リフレッシュ」の実践として私は次のような小さな工夫を取り入れています。
•朝5分間の瞑想でリセット
•週末の散歩やお気に入りの本を読む時間を確保
•親しい友人とのオンライン通話で息抜き
これらは一見小さなことに思えますが、日々の心の安定に大きな影響を与えてくれました。「自分が満たされて初めて他者を満たせる」という考えに至ることができたのです。
女性エンジニアだからこそできること
女性ならではの視点や経験は、業界に多角的な価値をもたらすと感じています。実際に、親の介護を通じて学んだ効率化や思いやりの精神は、チームワークやプロジェクトマネジメントにも役立っています。あるプロジェクトで、介護の経験を活かして「ユーザーの使いやすさ」に特化した製品設計を提案したところ、チームから高く評価された経験があります。介護者としての視点が、エンドユーザーへの深い共感を生み、より良い製品開発につながったのです。
未来の女性エンジニアへのメッセージ
エンジニアリングの世界で求められるのは、問題解決能力だけでなく、人間性や共感力も含まれます。ホスピタリティの精神を持ちながら、自分自身と周囲を大切にし、仕事や家庭に全力で向き合うこと。それが、40歳の独身女性エンジニアとして、私が見出した「自分らしい生き方」の形です。