何が書いてあるか
読んだ本の要約化で理解と記憶の定着化を目指します。
あくまで個人のエッセンスの列挙になります。実際の内容はこの何十倍も示唆に含まれている素晴らしい書籍です。この素晴らしさを一人でも多くの方が知るキッカケになれば嬉しいです
読んだ本
心理的安全性の作り方
石井遼介著
2020年に出版された本です。
出会ったきっかけ
Podcast番組「texta.fm」で紹介されていたのがキッカケと記憶しております。
要約(本編)
はじめに
・激しく変化し続ける時代における組織とチームの未来をつくるためには、率直に話し合える状況作りが大切な仕事になる。
・離職率低下と収益性増大に好影響をもたらすと、Googleのサーベイで結果がでた
・余裕があるから導入できるものではない。
・現場ごとにケースバイケースで対応が必要でそのためには心理的柔軟性が大切。
・行動分析・言語行動まで踏み込むことで理論と体系だって行動をより良くできる。
第1章 「チームの心理的安全性」
・一言でいうと心理的安全性とは「チームの中で対人関係におけるリスクをとっても大丈夫だ、と共有される信念のこと」
・健全に意見を戦わせ生産的で良い仕事をする。 これを阻害しないようにする。
・対人関係のリスクとは、無知・無能・邪魔・否定的に思われること、もしくはそう思われると懸念すること。
・リスクにより、質問や相談ができない、ミスを隠す、意見を言えない、助けを求めない、妥協する の弊害が生まれる。
・リスクにより、行動から学ぶことができなくなる、個人の気付きをチームの財産に変えることができなくなる。
・心理的安全性はチームの学習がうまく行っているかを表す先行指標で、本当のパフォーマンスは中長期的に現れるものだ。
・1980年以降に最も広まったイノベーションであるチームという概念の力を発揮させるための土壌。互いにアイデアを生み出す、ともに問題に取り組み、ゴールに向かう。
・連携がうまくいくかは、オフィスかリモートかの環境が理由ではない。協働や対話ができていたかに尽きる。
・アットホーム、外交的、結束している、妥協しやすい、これは全て間違ったイメージ。
・チームや成果のために必要な行動を行っても罰を与えられないことである。
・成果の基準を高く保ち、そのために必要なリスクを取りやすい職場「学習する職場」にすること。
・日本の職場でよくある「しかって厳しく指導する」は、ストレスが高まっても心理的安全性は高まらない。本人がしっかりやってると自己満足するだけ。ミスを隠したり、見えてる間だけ従順になるだけ。
・人は4つの努力の源泉として、学習と成長する組織のメンバーとなる、サポート・意義・みかえり・配置
・衝突が多いこと自体は悪くはない。それが健全であるかが重要。
・衝突には3つある、人間関係、タスク、プロセス。健全な衝突の対象はタスクコンフリクト。
・能力自体よりも、一緒に学び会える土壌が生産性に結びつく。
・日本の組織では4つの因子、話しやすい、助け合い、挑戦、新奇歓迎があるときに心理的安全性が感じられる。単に罰がないのとは違う。
・話しやすさ:多様な視点で状況を把握し率直な意見とアイデアを募集する。わからないことが聞ける、何か問題を感じたときに率直にあげられるか、空気を読まない行動が取れるか。
・助け合い:問題の原因特定や解決策を相互作用で考えられるかどうか。
・挑戦:活気を与え、時代の変化に合わせた必要な新しいことの模索や、現状打破が歓迎されるか。仮説検証や模索し学習する組織に必要。
・新奇歓迎:ボトムアップに才能を輝かせ多様な観点から社会や業界の変化を捉えて対応する。効率性や惰性を打破できるか。
・3段階の変革を伴って実現される、「行動・スキル」、「関係性・カルチャー」、「構造・環境」
・構造と環境を左右するもの:顧客とのパワーバランス、社内権力格差、承認プロセスが関係する。下流プロセスでは覆しにくい雰囲気になりやすい。
・業態上の制約は変えることができない前提条件と見据える。
・何よりも自分も問題の内側にあると客観視すること、陥りやすい他責の考えでは解決しにくい。自分自身が変えるべきポイントはないか?の視点が大切。
第2章 「リーダーシップとしての心理的柔軟性」
・組織やチームが背負った歴史(行動や結果、周囲の対応の積み重ね)が、異なった対応に処罰を加え、変革は無意味と学習させてしまう。
・リーダーシップは役職によらない「他者に影響を与える力」である。
・リーダーシップには4つの型がある、トランザクショナル(アメとムチ)、トランスフォーメーショナル(ビジョンで引っ張る)、サーヴァント(部下の自己実現をサポート)、オーセンティック(ありのままを受け入れる)。状況に応じて使い分けて、心理的柔軟性なリーダーシップを目指す。
・機能的文脈主義で組織開発を捉えるならば、うまくいっていることが真理基準である。正論よりも役に立つことを重視。心ではなく行動にフォーカス。やる気や自信といった存在しないものに影響は及ぼせない。具体的にとれる行動にフォーカスする。
・フォーカスする行動も4つの因子に分解できる。話しやすさ、助け合い、挑戦、新奇歓迎。望ましい行動が増えて、望ましくない行動が減るように動機づけを構築することがリーダーシップを発揮する人の役目。
・マインドフルに直接働きかけができるものかどうかを見分けて、働きかけができるものにのみフォーカスする。変えられないものは受け入れることも視野に入れる。
・困難な思考や感情をオープンに受け入れること、このためには思考と現実はイコールでないこと、負の感情はコントロールせずに受け入れることが大切。
・自分は常にバイアスに陥るリスクがあることを意識する、克服できたと思わないこと、そう思うこと自体が思考=現実になっている。自分の思考も、そう思っているなぁ自分は、ぐらいのメタ認知できることが大切。なぜなら現実のフィードバックより思考を優先させてしまい、感受性が低下してしまうから。
・思考が真実かどうかよりも、決めつけてしまっている姿勢が問題である。決めつけず、パターンに分類して軽くあしらわず、今の文脈で、今の状況で役に立つかでアイデアを精査する。
・これが正しい唯一の方法(思考)だと思考停止に陥ることが心理的安全性を育む上では問題となる。
・ネガティブな思考は、受け入れて抵抗しようとしない。戦い続けることにエネルギーを使ってしまうと、価値創造や成長支援にエネルギーが向かわなくなる。
・イヤなものから逃れるためにエネルギーを使わないこと。もし逃げられてもそこは望む場所ではないのだから。
・長期的に嫌な気持ちを回避やコントロールすることは原理的にできないことが知られている。受け入れて味わうこと。創造的絶望で、勝手にラベルを貼って負の思考を複雑にせず、ありのままに体験する。これで支配されずに済む。
・トラブルが起きたときに「それはちょーどよかった」と唱える。
・大切なことを明確化し、それに近づける行動を行うこと。
・不安から勝手にバイアスでものごとを捉えず、言葉で括ろうとせず、「いま、この瞬間への気付きと集中する。」
・自分を社会属性から開放し、社会ステータスや自分のラベルを失うことへの恐れを捨て、自分を俯瞰し客観視して観察すること。それにより柔軟な行動へのレパートリーを増やす。自分の思考を眺める。
第3章 「行動分でつくる心理的安全性」
・凝り固まった関係性やカルチャーを解きほぐすためのスキルが行動分析。
・話す、聞く行動、助けを求める、助ける行動、挑戦する、挑戦する気持ちを歓迎する、機会を与える、機会をつかむ行動、個性を発揮する、個性を歓迎する、適切な配置をする行動
・行動はきっかけとみかえりで制御されている。繰り返してほしい行動にはポジティブなみかえりで動機を強化する。逆にはネガティブなみかえりで返すのではなく、別な望ましい行動に誘導させる。
・人は何に対してのみかえりなのかは、直前に行っていた行動に紐づけるので、すぐフィードバックすること。
・ネガティブなフィードバックは行動抑制には一時的な効果しかもたらさない。また別な望ましくない行動を誘発してしまう。
・個人の内面に原因を求めても何も解決しない。きっかけとみかえりでコントロールする。
・言動をみかえりで一致させることで、周りに安心感をもたらせる。ここまでやって初めて人は動いてくれる。
・行為そのものと、行為の質は別で捉えてみかえりを返すことで、望ましかった行動が、今後の改善を期待でよかったことと混同されて抑止されてしまう。
・個人の価値づけされた行動(報酬がなくてもやりたいと思うこと)を見定めて最適配置する。
・どうしても質があがらない場合はプロンプトの手法を用いて、リマインドから手順化、一緒にやるまでの合わせた強度でトレーニングを行う。なるべく最低限に、できてきたらなるべく弱めて、最終的には無くす。
第4章 「言葉で高める心理的安全性」
・自らの経験のみに依存した動物行動の学習から、言葉による経験の共有である言語行動により、学習量が増えた。これは良いことだが、逆に言葉を信じすぎてしまい感受性が下がった。
・言葉により今ここにない現実を作り出せるようになったが、その世界に縛られやすくなった。
・ルールの遵守そのものにみかえりを返すことから、ルールに沿った行動にみかえりをもらえるようにする。これにより現実にマッチした行動の学習サイクルが生まれる。また、ルールを守ったふりで、本来ルールを守ると得られたはずの効能が得られないといったことがなくなる。
・望む行動+起きるだろうみかえりのセットが実感しながら従ってもらえる。
第5章 「心理的安全性導入アイデア集」
・感謝のみかえりを返して、望む行動の強化を図る。
・当たり前のことはない、有り難いの気持ちでメンバーの行動の動機づけを行う。
・助けてもらう、弱みを見せることをリーダー自らが積極的に行う。
・1on1ではメンバーと一緒に困ること。
・日常とは切り離したワークショップ等で実体験してもらい個人の意識を改める。
・人生で大切なことは判断するよりも選択する。なぜなら無意識に好ましい行動をしているから。
感想
・心理的安全性は他人に向けた取組みに限らないことを知った。自分を客観視し、バイアスを取り除いて、ありのままを受け入れて、柔軟な思考で相手に向き合い、望むべき行動を促すように相手に働きかける。
・単にゆるいのと何が違うのかも知ることができた。
最後までお読みくださりありがとうございました。