何が書いてあるか
読んだ本の要約化で理解と記憶の定着化を目指します
読んだ本
ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す (著)山口周
2020年に出版された本になります。
出会ったきっかけ
「超相対性理論:というPodcast番組で紹介されていて。(このPodcast番組では本当にたくさんの書籍が紹介されるので、消化が追いつきません!)
要約(本編)
はじめに
・生存を脅かされることのない社会基盤を築くという当初の目的はおおよそ達成された。
・現在が転機であることを認識するべき。続いてきたものに終わりが来た。
・低成長は成熟した証。文明化のミッションをやり遂げて出番がなくなったため。
・変化率で社会の状態を図るのは間違い。どういう社会を作りたいかが、そこに近づいているかが大切。
・物質の問題は解決された、次は人間の内面を充実させていくべき。
・資本主義を全否定するのではなく、ハックしてエコノミーにヒューマニティを埋め込む。
・過度の合理性を緩和させる。これにより合理性だけでは解決できない問題への取り組み、停滞した活動の活性化が期待できる。
第1章「わたしたちはどこにいるのか?」
・健全な議論のためには過去を起点にしてはいけない。
・常識や習慣が変わったので、”日常を回復させる”という視点は無意味。
・データでは総じて幸福度は上がっていることから、これ以上むやみに成長を追い求めることは無意味と読み取れる。
・はびこる喪失感は「経済的一等国のプライド」を失うことで、取り戻す価値はない。
・松下幸之助が言及していた貧より生ずるあらゆる悩みは除かれた。
・使命を達成したのに喜べないジレンマ。
・意味の喪失によりうつ病が増えた。
・GDPは成り立ちからいって恣意的すぎ実態をもたない。元々は作れるモノの量を推し量るための指標なので、物質が行き渡った社会に用いるのは有用性がない。
・憧れる動機が満たされたので、もうアメリカの後追いはやめ、新しいビジョンを描くべき。
・地球の資源や環境を考えた時に、人類の経済活動希望は今後2%の成長すらありえない。
・世界的な金融緩和で利子がつかないことは、資本の無限拡大が見込める世界でなくなったと言える。
・資本主義から才能主義へ。才能とは個性。
・「明日は今日よりよくなる」という観念による希望を経済にしか向けられなかったために、紡げなくなった世界が訪れている。
・経済以外の何を成長させたらよいのかの社会構想力の貧しさ、経済成長しない状態を豊かに生きることができないと思う心の貧しさがある。
第2章「私たちはどこへ向かうのか?」
・”生きやすい世界”から”生きたい世界”へ。文明、未来、成長からの脱却。
・ここ30年で生まれた多くのテクノロジーが新たな市場を生み出せても、新たな成長を生み出した証拠は一切ないことから、イノベーションによって成長限界は打破できない。
・産業革命の時は別な雇用が生み出されたが、今回は不便がないので同列の論じれない。
・共産主義が衰退したのは、イデオロギーの出発点となっていた”資本の希少性”の制約」が解除されたため。
・海外進出はゲーム終了を延長させる目的で行われた。
・投資コストが低く普遍的な悩みを解決するビジネスはやり尽くした。これからはそれなりの投資がかかる個別の悩み解決を、十分な対価が得られる小規模の集団や組織が求められる。
・難しぎて投資が回収できない、市場が小さすぎて投資が回収できないジレンマに直面する。これは市場合理性の外にあるため、経済合理性とは別のモチベーションを発動することによってしか解決できない。これは人間性に根ざした衝動しかない。例としてLinuxを開発したコミュニティがある。
・サン=テグジュペリ曰く「おのれに関わり合いのない悲惨さを前にして恥を知る」ことが人間の条件。
・ビジネスが依存する問題がなくなってきたので、問題を開発しようとするのがマーケティング。新しい欲求を生み出すこと。
・現代のビジネスは他人より優越を得たいという相対ニーズを煽って成功しているものがある。
・シエナの大聖堂のように一度作り出されたら長いあいだ人に喜びをもたらす”資源生産性の高さ”がこれかれは求められている。
・人間性に根ざした衝動をポジティブに表す言葉は日本語にはなくて、「コンサマトリー」という英語に頼らざるをえない。瞬間的、手段と目的が一体化、利得が内在的であることである。
第3章「私たちは何をするのか?」
・自己充足的なコンサマトリーな社会にしていくことがこれから求められること。文明と技術が牽引する社会から、文化とヒューマニティが牽引する社会になること。
・便利より豊か、機能より情緒、効率よりロマン、役に立つよりロマン。
・衝動に突き動かされること、マウンティングでないこと、未来のために今を我慢することを強制されないこと、効率的な高機能な部品を生み出す教育をされないこと。我慢すれば将来は幸せになれるという洗脳から解放されるべき。
・原因を作っているのは自分自身であることを認識すること。小さなリーダーシップが世界を変える。世の中は意外とこのパターンで変わっている。
・システムそのものを変えるか、システムの中の自分の立ち位置を変えるかの2つのアプローチがある。前者の考えはお手軽であるが現象の表象を変えているだけで本質は変わっていないので解決には至らない。行動様式や考え方を変えるかにかかっている。イノベーションはそれを起こそうとしてできるものではない。結果としてイノベーションと呼ばれるのだ。
・ビジネスを芸術活動と捉え、社会彫刻家となり、必要の王国から自由の王国にこの世界を変えよう。
・一方現代人は感受性が摩耗しており、自分がフローになっているかもわからなくなっている。
・夢中になるものを見つけるには、浪費や無駄が必要。「人生を見つけるためには、人生を浪費しなければならない」 無計画になれということではない、よい偶然を招き寄せる計画と習慣を行えということだ。ハップスタンスセオリー。好奇心、粘り強さ、柔軟性、楽観性、リスクテイク。
・喜んでくれる人を直接見ることができない社会構造が、報酬感覚を歪めてしまった。喜びを感じるのは消費者側からも同じで、エコーして反射する。
・出社は週1より増やすと生産性が落ちるという調査結果がある。
・リモートワークは都市から地方へ個人を通した資金移転を促しているという点で興味深い。
・取組みの質に比例する量を増やすために、ベーシックインカムが必要。
補論
・新しい社会を実現するにあたって必要なこと、盲目的にアメリカを信奉するのはやめる、便利になることが進化でないことを知る。資本主義の悪影響や暴走を防ぐために企業評価軸のバランス化を推進する、具体的には財務・顧客・業務・人材。税金を上げる、特に累進課税率を上げて経済格差を抑え、精神的な充足が報酬となるように社会をシフトさせる。
・無批判で無関心な善人が世の中を悪くしている。
感想
・半世紀前から資本主義に対して疑問が挙げられ続けているのに、社会変革につながっていない驚きがあることに気付かされた。
・経済合理性の外側にある問題を解決することに社会の目が向けられ始めたことは、クラウドファンディングからも伺える。
・現代人がストレスフルなのは消費目線で大切にしていることと、仕事で供給する側に立った時の信念が矛盾して欺瞞の行為を行っているから。直視できないので無意識下でくすぶり続ける。
・経済を活性化させるために想像できることとして、破壊し問題を生み出すことが論理的には考えられると読んだ時、ウクライナとロシアの戦争は、そう思う第三者がけしかけた可能性があるのかもと邪推してしまった。
・コンサマトリーになれるものを皆が見つけられるかは疑問だった。またそういう教育はどのようなものか、試行錯誤しか思いつかなかった。
・未来のために今を犠牲にする思考が不幸をもたらすという記述を見た時に、まさに今のウクライナの悲劇もそれだと感じた。
・名もなきハッカーにならなくては。
最後までお読みくださりありがとうございました。
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