目的
65歳で引退して90歳まで月に10万円の年金が欲しい。年間120万円だ。25年の間となるので3000万円貯めておかないといけない? あれ? 国が言うには2000万円貯めておけば良いんじゃなかったっけ?
いやいや、我々には投資をし複利を味方につけるという手がある。Emacsのorg-modeで計算してみようじゃないか。(なぜExcelじゃないのか? ということはさておく)
Emacsのorg-modeで計算してみる
まず表を作る
まずorg-modeで以下のような表を作ろう。「年利」で「25年」運用しながら毎年「年金額」を売却していく場合、いくら元手を持っておけば良いか。つまり「貯めておく額」を求めようという目論見だ。「年利」は「備考」のここ10年のおおよその平均リターンだ。S&P500だと10.7%は見込めるらしい。よく知らんけど。
| 年利 | 年数 | 年金額 | 貯めておく額 | 備考 |
|--------+------+---------+--------------+-----------|
| 7.3% | 25 | 1200000 | | TOPIX |
| 8.2% | 25 | 1200000 | | MSCI ACWI |
| 9.3% | 25 | 1200000 | | 日経平均 |
| 10.70% | 25 | 1200000 | | S&P500 |
表に計算式を適用する
それでは作ったばかりの表の一番下に計算式を入れよう。
#+TBLFM: $4=pv($1,$2,$3)
という文字列を追加する。
| 年利 | 年数 | 年金額 | 貯めておく額 | 備考 |
|--------+------+---------+--------------+-----------|
| 7.3% | 25 | 1200000 | | TOPIX |
| 8.2% | 25 | 1200000 | | MSCI ACWI |
| 9.3% | 25 | 1200000 | | 日経平均 |
| 10.70% | 25 | 1200000 | | S&P500 |
#+TBLFM: $4=pv($1,$2,$3)
計算してみよう
追加できたら、#+TBLFM: $4=pv($1,$2,$3)
のところにカーソルを持って行ってC-cC-cしよう。
表が以下のようになるはずだ。
| 年利 | 年数 | 年金額 | 貯めておく額 | 備考 |
|--------+------+---------+--------------+-----------|
| 7.3% | 25 | 1200000 | 13614352. | TOPIX |
| 8.2% | 25 | 1200000 | 12593885. | MSCI ACWI |
| 9.3% | 25 | 1200000 | 11506233. | 日経平均 |
| 10.70% | 25 | 1200000 | 10331656. | S&P500 |
#+TBLFM: $4=pv($1,$2,$3)
「貯めておく額」に数字が入っただろうか。
説明しておくと#+TBLFM:
という行を入れるとorg-modeはcalc.elの関数を使って計算してくれる。今回はpv()
という関数を使用した。pv()
は以下のような関数だ。
pv(利率, 期間, 定期支払額)
「利率」で「期間」「定期支払い」した時の現在価値を返す。
$1
や$2
というのはorg-modeで作った表のカラムだ。
$4=pv($1,$2,$3)
というのは、4カラム目に結果を挿入しろ、という指示になる。
で、いくら貯めておけば良いのか?
S&P500のインデックスに連動する何かであれば10,331,656円分貯めておけ、ということになる。おぉ。2000万も必要ないじゃないか。みんな大好きオルカン(MSCIオールカントリーワールドインデックス)だと12,593,885円積み立てておけば良い。なんか希望が持てましたね!?
ここ10年でそれだけ貯めるにはどうすれば良いか?
以下のような表を作ろう。そうしたら#+TBLFM:
の行でC-cC-cだ。
| 年利 | 投資期間 | 目標額 | 年の投資額 |
|-------+----------+----------+------------+
| 7.3% | 10 | 13614352 | |
| 8.2% | 10 | 12593885 | |
| 9.3% | 10 | 11506233 | |
| 10.7% | 10 | 10331656 | |
#+TBLFM: $4=-pmt($1,$2,0,$3)
以下のようになっただろうか。
| 年利 | 投資期間 | 目標額 | 年の投資額 |
|-------+----------+----------+------------|
| 7.3% | 10 | 13614352 | 971497.21 |
| 8.2% | 10 | 12593885 | 861127.59 |
| 9.3% | 10 | 11506233 | 746567.17 |
| 10.7% | 10 | 10331656 | 626833.24 |
#+TBLFM: $4=-pmt($1,$2,0,$3)
今度はpmt()
という関数を使った。pmt()
は以下のような関数だ。
pmt(利率, 期間, 現在価値, 将来価値)
「現在価値」が0円として「利率」で「10年」の間、指定した「将来価値」になるには年間いくら払えば良いか? を計算するものだ。支払うので式にはマイナスを付ける。あなたが若いのなら、10年と言わず20年とか期間があるはずだ。表の10を20などに書き換えて試してみて欲しい。
結論
どうだろうか。S&P500のインデックスと連動する何かであれば、毎年626,833円投資すれば、10年後には10,331,656円になっている。65歳の引退時、10,331,656円分のS&P500のインデックスと連動する何かを持っていれば、65歳から90歳まで毎月10万円の年金が得られる。という話だ。
みんな大好きオルカンならば毎年861,127円投資しよう。10年後には12,593,885円になり、年金は安心だ。なるほど! 新NISAはそう使うのか! 良かったですね!