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ちょっとニッチなデータエンジニアコミュニティを運営したら仕事も趣味も充実した話

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僕は月1 程度でデータエンジニア向けのボードゲーム会を開催しています。
データエンジニアボードゲーム会を運営してきてほんとに良かったなと思うので運営方法や良かったと思う点を具体例とともに記事にしました。

TL;DR

やってよかったこと

  • データエンジニアリングの情報交換ができる。
  • 趣味のボードゲームで遊べる。
  • データエンジニアリング界隈に貢献できる。

運営のコツ

  • コンセプトを適切に設定すること。
    • エンジニアボードゲーム会だと広すぎて懇親会で技術的に役立つことが少なくなる。
    • かといってこれ以上狭いと人が集まらないためほどよいのが重要。
    • 自分の好きなことをコンセプトに含めれば負担にならない。
  • しっかり準備すること。
    • 準備の内容は後述。

データエンジニアボードゲーム会とは

connpass のデータエンジニアボードゲーム会のことです。

始めたきっかけ

ある方と 1on1 をしていて、共通の趣味のボードゲームについて話していて、ボードゲーム会開催してくださいと言われたことです。
冗談半分だったのかもしれませんが、その半年後くらいに実際に開催しました。きっかけをいただいて本当に感謝しています。

途中オンラインでのデータエンジニアボドゲ会もあったりして自分が始めたのかよくわからない感じになっていますがとりあえずオフラインのボドゲ会の運営はしています。

データエンジニアボードゲーム会でやること

ボードゲームと懇親会をやります。
この2つを分けた理由としては、ボードゲームが楽しすぎてボードゲーム中にデータエンジニアリングのことを話せないためです。
以前オンラインのデータエンジニアボードゲーム会に参加させてもらったときにそのような経験をしたため、いっそ分けることにしました。

ボードゲーム

いろんなボードゲームをただただ楽しみます。
遊ぶボードゲームは参加者で決めますが、初対面の方もいるので人狼などの苦手な人がいるジャンルは避けます。
ボードゲーム選びなどのコツはこの記事では書きません。データエンジニアボードゲーム会に参加したこともある方が書いた次の記事が非常に参考になるため、気になる方はぜひこちらを参考にしてください。

懇親会

飲み食いしつつ、基本的にはデータエンジニアリングについてざっくばらんに話します。
データエンジニアリングの面白いところは、技術面だけでなく組織構造もエンジニアリングに深く関わってくるところです。
そして組織に関することについてはオンラインのイベントでは話しにくいこともあるので、オフラインならではの情報が聞けます。

また話の流れでデータエンジニアリングに限らない権限関係の話や各社の評価制度の話なども話します。

個人的にオフラインで人が集まって話すことの気に入っているのは、実際のサービスの使用状況などをある程度把握できるところです。
オンラインイベントだけ見ているとマーケティングに力を入れているサービスの情報が入りやすくなってしまうため、実際に使われているかどうかよく分からなくても流行っているように感じてしまうことがありますが、実際に集まってきた人に話を聞くとそんなに主流じゃなかったりします。

そのあたりの肌感を確認できるのがこういったオフラインイベントのいいところかなと思います。

運営

しばらく運営してみて掴んだコツを書きます。

開催の手順としては次のようになります。

  1. コミュニティのコンセプト作成
  2. 会場選び
  3. 開催要項作成
  4. 宣伝
  5. モノの準備
  6. 開催
  7. 開催後処理

コミュニティのコンセプト

データエンジニアボードゲーム会は以下の3つの目的のもと開催しています。

  • ボードゲームを楽しんで交流を深めること
  • 自分と近しい背景を持つ顔見知りを増やすこと
  • データエンジニアリングについて語って知見を共有すること

この目的の粒度間は重要だと考えています。
目的があまりに広いとうまく情報交換につながらない場合があり、狭すぎると参加者が集まらない可能性があります。

例えばスタートアップミートアップのイベントに行ったことがあるのですが、こういったイベントの場合は参加者の背景も職種も様々で共通の話題が意外となかったり身にならないことがあります。
もちろんコミュニケーション能力の高い方であれば自分の役に立てやすかったり、そうでなくても長期的に見て役に立つ部分もあると思いますが、自分には向いていないと思っています。

データエンジニアボードゲーム会はデータエンジニア かつ ボードゲームが好きな人であれば参加しやすく、粒度感としてちょうど良いのではないかと思います。

会場選び

会場は今のところ毎回僕の勤め先であるギックスの2Fのオフィス兼カフェスペースで開催しています(11Fにもオフィスがあり、機密情報はすべてそちらに集約されているため外部の方が入っても問題ないスペースになっています)。

選ぶコツとしては次のとおりです。

  • アクセスが良い。
    • ギックスのオフィスは東京タワーの近くの三田国際ビルにあるため、アクセスが良いです。
  • 料金が安い。
    • 会社のスペースなので社員がいる限り無料で使うことができます。
  • 十分なスペースがある。
    • ギックスの2Fオフィスはスペースとしては20人程度なら余裕で入れるスペースです。小規模なイベントであればこれで十分です。

ちなみに画像はこんな感じです。結構オシャレじゃないですか?

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電子レンジや冷蔵庫もあるため、食料を持ち込んでもらいやすい環境になっているのも良い点の1つです。

会社としても知名度向上やエンジニアリングコミュニティへの貢献につながるということで積極的に利用をサポートしてくれています。

土日にオープンなスペースがあるオフィスを持て余している企業様がいれば、勉強会や懇親会の会場として開放してみてはどうでしょうか。
例えば DeNA さんは技術勉強会の開催をサポートしていて、DeNA社員が運営に関わっていれば会場を提供してくれるようです。

こういった企業様が増えることで日本のエンジニア界隈がもっと盛り上がってくるのではないでしょうか。

開催要項作成

connpass などにイベントを掲載する際に説明文が必要です。
参考までにデータエンジニアボードゲーム会の connpass ページのリンク を張っておきます。
次の項目は最低限設けておくと良いと思います。

  • 目的
  • 日程
  • 場所
    • アクセス
  • 対象者
    • 対象者は広すぎず、狭すぎないようにします。
  • やること
  • 飲食物の有無
  • アンチハラスメントポリシー
    • 一時期いろんなコミュニティでハラスメントが問題になっていたらしく、こういった設定が必要になってきたらしいです。定めたからといってタダ飯おじさんのような人を完全に防げるわけではないと思いますが、明言しておくことで参加者が安心できます。

宣伝

媒体選び

目的にあった媒体を選びましょう。
データエンジニアボードゲーム会は connpass 上のコミュニティですが、本当は別の媒体を使ったほうが良かったと思っています。
なぜかというと、 connpass は勉強会向けのコミュニティのため、運営に勉強会でないと判断された場合は connpass 上での検索にかかりません。このことにはあとから気づきました。ボードゲームは遊び認定されている(それはそう)ようで、残念ながらデータエンジニアボードゲーム会は connpass 上での検索にかかりません。
勉強目的のコミュニティであれば connpass でいいと思いますが、そうではない場合はこくちーずなど別の媒体のほうが良いと思います。

とはいえ X など別の媒体で宣伝したり口コミで参加してもらったりもできるので、今更変更するほどではないかと思っています。

SNS で広める

X で日程と会の名前を入れて宣伝しています。参加者がリツイートしてくれたりして参加者が増えます。
データエンジニアボードゲーム会は connpass 上で宣伝できないので地味に重要な生命線になっています。

参加対象者に当てはまるコミュニティで宣伝する

データエンジニアリングに携わる方がたくさんいる datatech-jp で宣伝しました。

こういったすでに存在するコミュニティで宣伝するときはそのコミュニティの迷惑にならないように気をつけています。
具体的には初回からいきなり宣伝するのではなく、2回ほど開催してこれは広める価値のある活動だと確信を持ったところで宣伝させていただきました。
また宣伝したのは1回だけです。
コミュニティの規約的には月1程度で宣伝して良さそうなのですが、あまり高頻度に投稿するのも迷惑になるかもしれないので時々にしようと思っています。

すでに存在するコミュニティで宣伝する際にはそのコミュニティの規約を必ず確認してください。

モノの準備

データエンジニアボードゲーム会では会場の備え付けの机など以外のものとして、次のものを準備しています。

  • 飲み物
  • 各種ボードゲーム本体
  • ボードゲームの周辺グッズ

最初はボードゲームだけしか用意していなかったのですが、参加者の意見も踏まえて徐々に充実していきました。
以下詳細です。

飲食物

データエンジニアボードゲーム会では酒やソフトドリンクは用意がありますが、食べ物は用意しないことにしました。
用意しないメリットは以下の通りになります。

  • タダ飯おじさんに荒らされなくなる
  • 運営負担を軽減できる
  • 食中毒やアレルギーなどのリスクの軽減できる
  • 参加者が自分の好きなものを食べられる

大変ありがたいことに、参加者の方が差し入れを持ってきてくれるため、主催側で積極的に用意しなくてもなんとかなるなあという感触です。

基本的にこういったコミュニティの活動をするときは飲食物を用意するのが普通だと思いますが、用意しなくても問題ないと思います。
特に近年はタダ飯おじさんなる迷惑者がコミュニティを荒らしているようで、食事の用意に気を遣う主催者の方が増えているのではないでしょうか。

比較的大きなイベントでも、懇親会は居酒屋で開催するようなところもあるので、柔軟に対応したいところです。

ボードゲーム関連

この会のコンセプト特有のモノとしてボードゲーム関連のものがあります。
ボードゲーム本体はもちろんですが、参加者の意見も踏まえてボードゲームマットなどの周辺グッズも導入しています。ボードゲームマットによって硬いオブジェクトでも机が傷つかなかったり音が軽減できたり、薄いカードを手に取りやすかったりと何かと快適になりました。

こういった会のコンセプトごとに違う準備は正解が世の中に転がっていない可能性があります。
最初から完璧を目指す必要はなく、大きな失敗さえ避ければあとは開催するたびに改善していけばよいと思います。

コミュニティに関わらず必要になるもの

オフラインならネームプレートはあったほうがいいです。大変失礼ながら、自己紹介しても名前を忘れてしまうこともあり、それは主催者だけでなく参加者も同じです。
またよみがなも書いていただくのが良いです。名前の読み方が複数想定できる場合に読み間違えてしまうことがあるため、会話の負担になる可能性があります。

オフラインの勉強会だとスクリーンやプロジェクター、ホワイトボード、筆記用具などが必要になるかもしれません。
オンラインイベントの場合は URL の発行や事前の音声や映像の動作確認もしたほうが良いでしょう。

開催

開催時は楽しむのが一番です。

あんまり気を遣うとイベント運営がしんどくなってくるのではないでしょうか。僕の場合は趣味が充実しているという感覚なので負担に感じていません。強いて言えば家から会場まで行くのがめんどくさいというくらいでしょうか。

ちなみに過去の様子はこんな感じです。

IMG_0486.jpg

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おやつを食べながら存分に楽しんでいます。

コミュニティ運営に必要な能力

コミュニティ運営というと、すごく有名であるとか、コミュ力お化けであるとか、すごい技術力があるとかでないとできないように思うかもしれませんが、少なくとも僕はいずれにも当てはまりません。
参加者の方に恵まれているというのはあると思いますが、僕がなにか仕切るまでもなくみなさん普通にボードゲームや懇親会を楽しんでいただいています。

勉強会になると知識が必要かもしれませんが、交流目的であれば参加対象者の粒度間がうまく設定できていれば主催者には特別な能力は必要ないと思います。

継続できることは必要ですが、自分の好きなことをテーマにしてしまえば負担にならないためこれも特別な能力はいりません。やはりコンセプトを適切に設定することが重要です。

開催後処理

参加者から聞いた意見を元に会を改善します。
すでに書いた通りボードゲームのマットは最初からあったわけではなく、第4回から導入しました。

トラブルがあった場合などは次回開催時にどうしたら防げるか考えて対処します。

データエンジニアボードゲーム会の将来について

コミュニティの継続について

データエンジニアボードゲーム会を作ってからまだ半年程度しか経っていませんが、この先どれくらい続けられてどれくらいデータエンジニアリング界隈に貢献できるのだろうと思っています。

僕自身が続けられるかどうか、また需要があり続けるかどうかは正直わからないです。
この先5年くらいは自分が主催していると思うのですが、現状は独身で子供もいないので開催できている面はあると思っています。子供ができたら10年後も主催できているかどうかは正直わからないです。

また現状では万が一僕が怪我や病気で主催できなくなったらこのコミュニティが潰れてしまう可能性があります。
最低でも自分が単一障害点にならないように、主催者は増やしていく必要があると考えています。

やってみたいこと

年に一度データエンジニアボードゲーム大会を開催して、スコアを付けながら1日中ボードゲームをしてみたいです。
大会を開くにはまずは人数を集めないといけないので、今後も開催し続けてまずは20人集めることを目標にしています。

そんなことを想像していると楽しいので本当に趣味のためにやっているコミュニティなんだと実感します。

感想

こうしてみると意外と考えることが多く、手間暇かけて改善してきたことがわかりました。
それなりの労力がかかってはいますが、それ以上のリターンがあるためほんとに勇気をだして運営してみてよかったです。
活動の拠点がタダで借りられることや、自分の趣味と親和性が高い人がたくさんいること、また参加者の方に恵まれていることなど幸運が重なって成り立っているのだと改めて実感しました。

コミュニティ運営をした気づき

コミュニティ運営をしていると、参加してくれる人がいることがとてもありがたいことがよくわかります。なにかするにも頭数がないとできないことがあり、人数が多ければ良い内容で開催する責任感や世の中への貢献度が増すのでより充実した時間になりやすいです。
なので僕は良い活動だと思ったイベントなどには積極的に参加するようにしています。
つい最近だと datatech-jp の輪読会でご一緒している方が データエンジニア オンラインもくもく会 を企画していて、ぜひとも応援したいイベントなのですぐに参加を決めました。

まとめ

技術力向上と趣味の充実、業界への貢献を同時に実現する方法としてのコミュニティ運営、みなさんもいかがでしょうか。
自分で作るまでもいかなくても、賛同できるコミュニティに参加するのも貢献になるため、まずは参加してみるところからやると良いと思います。

これからコミュニティ運営をしようとしている方、またコミュニティに飛び込む勇気がほしい方の役に立てましたら幸いです。

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