wOBA (Weighted On-Base Average)
背景
- 打率や出塁率はヒットや出塁を同列に扱う。
- 長打率は長打を高く評価できるが、重みに納得感がない。
長打率 (SLG)
長打率は、以下の式で計算されます。
$$
SLG = \frac{塁打数}{打数}
$$
塁打数は次のように計算します。
$$
塁打数 = 単打 + (2 \times 二塁打) + (3 \times 三塁打) + (4 \times 本塁打)
$$
打者がどれだけ多くのベースを走ったか(単打は1、二塁打は2、三塁打は3、本塁打は4のベースを稼いだと数える)を総打数で割ることで、打者のパワーや長打力を評価します。
wOBAの提案
wOBAは、四球、安打、死球などに得点に寄与する係数を割り振り、打席数で割ったものです。リーグ平均が.320になるように調整されており、高ければ高いほど優秀な打者だと言えます。
日本版の計算式は以下の通りです。
$$
\text{wOBA} = \frac{
0.692 \times (\text{四球} - \text{故意四球}) +
0.73 \times \text{死球} +
0.966 \times \text{失策出塁} +
0.865 \times \text{単打} +
1.334 \times \text{二塁打} +
1.725 \times \text{三塁打} +
2.065 \times \text{本塁打}
}{
打数 + 四球 - 故意四球 + 死球 + 犠飛
}
$$
詳細な計算方法
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Run Expectancy Matrixを作成する
- 過去のデータをもとに、アウト数、出塁パターンごとに得点期待値を求めます。
- 例:2アウト2塁の得点期待値は0.319点
(https://library.fangraphs.com/the-beginners-guide-to-deriving-woba/ より) -
各イベントの得点変化を見る
- 単打、二塁打、三塁打などのイベントごとに得点の変化を計算します。
- 例:単打の影響を計算する場合
- 2アウト2塁から単打でランナーが帰り、ツーアウト1塁になった場合: 1 + (0.319 - 0.224) = 1.095
- 2アウトランナーなしから単打を打った場合: 0.224 - 0.098 = 0.126
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アウトが0になるように引き算する
- アウトの影響を見積もり、他のイベントの影響から引き算します。
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リーグ平均wOBAを調整する
- リーグ平均wOBAが出塁率(敬遠を除く)と同等の.330くらいになるようにスケールを調整します。