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Fusion360で物体の総質量を正確に見積もりたい

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はじめに

Fusion360を使っていると、コンポーネントの重量を求めたい時があります。このような時は、デザイン画面で左のツリーから対象のコンポーネントやボディを右クリックしてプロパティを選べば、そのコンポーネントやボディの質量が確認できます。

Fusion360でボディのプロパティを確認.png

困ること

コンポーネントの質量を確認したい場合、その中身がすべて単一の材質でできた部品なら、単に個々の部品の材質をちゃんと物理マテリアルで指定していれば問題ないのですが、複数の材質でできた部品(下図のようなモータなど)が含まれている場合は問題となります。

例えば下図のモータの場合、ケースはアルミだと思うのですが、内部にはコイルや磁石、シャフトが入っている=銅や鉄(や空洞)が含まれているので、このモータの物理マテリアルとして単にアルミを指定していると総質量が小さく計算されてしまいます。

このようなモータのような製品では、分解でもしない限り中身はブラックボックスで、中身の形状や材質は不明であるケースがほとんどだと思います。製品のデータシートに記載されている総重量を参考にするか、製品の実物を購入して総重量を測るか。そのくらいが通常です。

物理マテリアルが問題となるケース(複数材質が含まれる製品).png

どうやればこのような複数材質が含まれる製品の総重量をちゃんと設定できるでしょうか?私は3種類ぐらい方法があるかなと思いましたので、こちらで紹介します。

やり方

3種類の方法について以下でご紹介します。

  • カスタム物理マテリアルの適用
  • 物体を内部に隠して質量調整
  • 内部を空洞にして質量調整

カスタム物理マテリアルの適用

まず思いつく方法です。これが一番素直な方法だと思います。

物理マテリアルのフォーム上部には現在そのプロジェクト内で使われている物理マテリアル一覧が表示されていますが、これらのマテリアルを右クリック→複製して内部の各種パラメータを調整することでカスタムマテリアルを作成することができます。これを利用します。

各物理マテリアルはは右クリックから編集や複製画可能.png

対象とする物体の外形寸法から体積が計算できますから(プロパティ画面から確認できる)、この体積と理想質量から密度を計算し、カスタムマテリアルにこの密度を設定することで、その物体の質量を任意の値に合わせることができます。

下図は、アルミの物理マテリアルを複製し、密度を0.004g/mm^3に修正したカスタムマテリアルを作成した例です。詳細ボタンから色などの設定も可能です。

カスタム物理マテリアルを作り適用する方法.png

物体を内部に隠して質量調整

カスタム物理マテリアルを作りたくない事情がある(?)場合は、次の方法もあります。
既存の物理マテリアルで作成した物体を内部に隠して、全体の質量を調整する方法です。

下図は、モータのケースより一回り小さな円柱モデルを作成し、既存の物理マテリアルを適用、プロパティで円柱の質量を見ながら円柱の高さで質量を微調整したあと、移動コマンドでモータ内部に組み込んだ様子を示しています。

重量合わせ用の物体を製品内部に隠す方法.png

内部を空洞にして質量調整

カスタム物理マテリアルを作りたくない事情がある(?)場合は、次の方法もあります。
既存の物理マテリアルでわざと全体の質量を少し理想値より大きめに設定し、物体内部を必要なだけ空洞にして、全体の質量を調整する方法です。

補足

物理マテリアルの適用方法

物理マテリアルは、左のツリー上で対象のコンポーネントかボディの名称を右クリック→物理マテリアルからパレットを表示し、そのパレットから適用したい物理マテリアルを探して 対象物のモデル or ツリー上の対象物の名称 にドラッグアンドドロップして適用します。

物理マテリアルの色設定は外観でオーバーライド可能

物理マテリアルをモデルに適用すると、そのマテリアルの色も反映されますが、別途、外観を設定することによって見た目を上書きすることができるようです。

下図のように、マテリアルは鋼なのに外観はプラスチック、みたいな設定も可能です。マテリアルと外観を混同しないようにご注意ください(私は最初混同していて、外観だけ設定すればよいと思っていました…)。

外観設定と物理マテリアルは連動しない.png

さいごに

以上、複数材質でできた部品が含まれるコンポーネントの総質量を正確に見積もるための方法をいくつかご紹介しました。

メカ設計を仕事でされている方にとってみれば既知の内容である気もしなくもないのですが、自分が最初困ったのと、ナレッジとして残す意味もあるかなと思い、記事にしてみました。

少しでも参考になれば幸いです。最後まで読んで下さりありがとうございました。

参考リンク

Fusionでカスタムマテリアルを追加する

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