人間はある周波数[Hz]の音を聞いていたとき、その2倍の周波数[Hz]の音を聞くと音の高さが2倍になったように感じます。言い換えると、周波数の対数を取ったものを横軸とし、縦軸に人間が感じる音の高さをプロットすると直線になるのです。これは精神物理学者が実験で確かめた人間の特性で心理学者ヴエーバ・フェヒナの法則(Weber–Fechner law)と呼ばれています。
[ヴェーバー‐フェヒナーの法則 - Wikipedia](ヴェーバー‐フェヒナーの法則 - Wikipedia)
感覚に関する精神物理学の基本法則で、心理的感覚Sと刺激の物理的強度Iの間にS=Klog(I)(ここでKは定数)の非線形関係がある事を実証した。中等度の刺激について五感のすべてに近似を与える事で知られる。
ヴェーバーの法則
エルンスト・ヴェーバー(Ernst Heinrich Weber、1795年〜1878年)は、1834年に錘を持ち上げる実験を行い、錘の重さの変化を感じ取る感覚は、何g増えたかといった差ではなく、何倍になったかという比に依存していることを「Zusätze zur Lehre vom Bau und von der Verrichtung der Geschlechtsorgane(1846年)」や「Die Lehre vom Tastsinn und Gemeingefühl(『触覚と一般感覚』1851年)」で発表。
それによれば刺激の弁別閾(Threshold、丁度可知差異:気づくことができる最小の刺激差)は、基準となる基礎刺激の強度に比例する。
はじめに加えられる基礎刺激量の強度をRとし、これに対応する識別閾値をΔRとすると、Rの値にかかわらずΔR/R=constant(定数)が成り立つ。この一定の値をヴェーバー比(Weber Ratio)という。
たとえば、100の刺激が110になったときはじめて「増加した」と気付くならば、200の刺激が210に増加しても気付かず、気付かせるためには220にする必要がある。
この業績により、ヴェーバーは実験心理学や精神物理学の先駆者と目される事になった。
f0<-function(x){(1/2)*x+8}
plot(f0,xlim=c(0,64),ylim=c(0,32),type="l",col=rgb(0,0,0), main="Weber's Low",xlab="Background Intencity",ylab="Increase intensity")
#第一区間(0-1)
tc <- seq(0, 1, length=10) #0から1までを10等分
tcvals <- f0(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(0,tc,1), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(1,0,0)) #塗りつぶす色
#第2区間(1-3)
tc <- seq(1, 3, length=10) #1から2までを10等分
tcvals <- f0(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(1,tc,3), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(1,0,1)) #塗りつぶす色
#第3区間(3-8)
tc <- seq(3, 8, length=10) #3から8までを10等分
tcvals <- f0(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(3,tc,8), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(0,0,1)) #塗りつぶす色
#第4区間(8-16)
tc <- seq(8, 16, length=10) #8から16までを10等分
tcvals <- f0(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(8,tc,16), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(0,1,0)) #塗りつぶす色
#第5区間(16-32)
tc <- seq(16, 32, length=10) #16から32までを10等分
tcvals <- f0(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(16,tc,32), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(0,1,1)) #塗りつぶす色
#第6区間(32-64)
tc <- seq(32, 64, length=10) #32から64までを10等分
tcvals <- f0(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(32,tc,64), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(1,1,0)) #塗りつぶす色
ウェーバー比はたとえば,音の強さについては11分の1,圧覚では7分の1になる。
【ブリタニカ国際大百科事典】広義にはやっと意識される境界刺激のこと。厳密には刺激を量的ないし質的に変化させた場合,ある特定の反応がそれとは異なった反応へと (またはある経験がそれとは異なった経験へと) 転換する,その境目の刺激尺度上の点のこと,ないしはこのような反応の転換の現象をさす。一般にはこのような転換点は,特定の反応が50%の確率で生起する刺激量として統計的に定められる。なお刺激を小さくした場合に,反応が生じるか生じないか (知覚が生じるか生じないか) の境目に対応する刺激量を刺激閾ないし絶対閾といい,標準となる刺激をわずかに変化させた場合に,もとの標準刺激に対するものとは異なった反応が生じるか生じないか (その差異に気づくか気づかないか) の境目に対応する刺激量を弁別閾(丁度可知差異) という。
【小学館デジタル大辞泉】原義は、門の敷居。心理学で、ある感覚や同種の刺激の相違を感知できるか否かの境目。また、その刺激量。→刺激閾(しげきいき) →弁別閾(べんべついき)
【株式会社平凡社百科事典マイペディア】刺激の連続的変化に対して,その知覚や判断のあり方が突然転換する限界。その時の刺激の最小値を閾値という。たとえば刺激の存在を初めて認知できる点は刺激閾(絶対閾),刺激の増加や減少が初めて明瞭な量的変化として感じられる点は弁別閾という。
【世界大百科事典 第2版】〈しきい〉ともいう。通常,反応を起こすのに最小必要限の刺激の強さをいい,その値を閾値という。閾以下の強さの刺激(閾下刺激)では反応は起こらない。たとえば,網膜に視覚感覚を起こす最小の光の強さなどであるが,刺激によって反応を起こす種類の現象一般に用いられる言葉である。閾値は刺激の物理的な性質や時間経過によっても変化する。また反応する側の種々の内部要因によっても変わる。たとえば,同じ刺激が繰り返し与えられると,閾値が上がり,反応が起こらなくなるし,また逆にその刺激が長い間与えられず,反応の動機づけ(いわゆる衝動)が高まってくると,閾値が低下する。
フェヒナーの法則
ヴェーバーの弟子でその研究を発展させ精神物理学という学問を創始し、実験心理学の成立に大きな影響を与えたグスタフ・フェヒナー(Gustav Theodor Fechner、1801年〜1887年)は、ヴェーバーの法則の式を積分して対数法則を導出した。
*ここでΔR をdR として積分することは若干の飛躍があり、厳密な計算ではなくあくまで近似である。フェヒナーの法則と呼ばれることも多いが、ヴェーバーの法則から導出したことからヴェーバー・フェヒナーの法則とも呼ばれる。たとえば、100の刺激が倍に増加して200になるときの感覚量と、200の刺激が倍に増加して400になるときの感覚量の変化は等しい。
風変わりな人物であり、太陽を見た後の残像を研究するために太陽を肉眼で観察して失明状態になりかけたこともあった。
その哲学思想は、精神と物質はひとつであり宇宙は一つの面から見れば意識、一つの面から見れば物質であるというものである。彼は宇宙を意識的存在と見ることを「昼の見方」、無生物として見ることを「夜の見方」と呼び、夜の見方の眠りに落ちた人々を昼の見方に目覚めさせることを目指した。彼の哲学の反響は小さかったが、その哲学に基づいて構想された、身体と精神(物的エネルギーと心的強度)の関係を研究する精神物理学は大きな反響を呼んだのである。
f1<-function(x){log(x)+8}
plot(f1,xlim=c(0,64),ylim=c(0,16),type="l",col=rgb(0,0,0), main="Fechner's amnalysis",xlab="Background intencity",ylab="Internal Respnce")
#第一区間(0-1)
tc <- seq(0.0001, 1, length=10) #0から1までを10等分
tcvals <- f1(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(0.0001,tc,1), #x
c(0.0001,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(1,0,0)) #塗りつぶす色
#第2区間(1-3)
tc <- seq(1, 3, length=10) #1から2までを10等分
tcvals <- f1(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(1,tc,3), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(1,0,1)) #塗りつぶす色
#第3区間(3-8)
tc <- seq(3, 8, length=10) #3から8までを10等分
tcvals <- f1(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(3,tc,8), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(0,0,1)) #塗りつぶす色
#第4区間(8-16)
tc <- seq(8, 16, length=10) #8から16までを10等分
tcvals <- f1(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(8,tc,16), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(0,1,0)) #塗りつぶす色
#第5区間(16-32)
tc <- seq(16, 32, length=10) #16から32までを10等分
tcvals <- f1(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(16,tc,32), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(0,1,1)) #塗りつぶす色
#第6区間(32-64)
tc <- seq(32, 64, length=10) #32から64までを10等分
tcvals <- f1(tc) #それぞれの縦軸の値
polygon(c(32,tc,64), #x
c(0,tcvals,0), #y
density=c(30), #塗りつぶす濃度
angle=c(45), #塗りつぶす斜線の角度
col=rgb(1,1,0)) #塗りつぶす色
これらの関数はある面では有効であるが、人間の感覚を普遍的な関数に基づいて分析することの難しさから現在直接的に研究している学者は少ない。 ただし、心理音響学や認知心理学、人間工学など、またヒューマニックデザインなどと呼ばれる分野で間接的または直接的にこれらの関数や、それを作成するための手法などを利用している。
人間の多種多様なあらゆる刺激を定量的に測定することの困難や、実験者の質問内容による影響、刺激への反応傾向が心理的・意識的な問題や過去の経験・知識情報による影響により個々人で異なることが問題となるが、それらの差異を取り除くためのいくつかの実験手法が考案されている。
本来はG.T.フェヒナーの著書『精神物理学要綱(1860年)』に端を発する,物理的な事象とそれに対応する心理学的事象との間の数量的関係を研究する科学をいう。今日では,フェヒナーの意図した心身関係の実証的研究という哲学的な意味は失われ,刺激と反応との間の数量的関係を研究する心理学の一部門と考えられている。 (→数理心理学)
心理学的現象を数理モデルによって表現し,数学的方法により問題解決を試みる心理学の一分野。 19世紀における G.フェヒナーの精神物理学や F.ゴルトンの個人差心理学の伝統を受けて,1920年代後半頃から L.L.サーストンや C.E.スピアマンらによる精神測定学 (→精神測定法) が盛んになり,感覚,知覚,知能,性格など心理学的概念の数量化が実験心理学の不可欠な条件となった。また,C.L.ハルの仮説演繹的な学習理論に端を発し,心理学的な諸過程の確率論的あるいは決定論的モデル構成が中心的課題となり,50年代に入って数理心理学の用語が定着した。今日では,情報理論,サイバネティクス,ゲームの理論などの研究を受け,記憶,思考,社会心理そのほかあらゆる領域にさまざまな数理的研究が急速に起っており,またコンピュータの普及は複雑な精神過程のシミュレーションという新しい分野を開拓している。
人類が(自然)対数関数に抱いている「無限に鈍感になっていくイメージ」の源泉?