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デジタル人材が農業をして健康になった話 & 中山間地域の未来について

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まえがき

私は、日本のとある中山間地域でデジタル活用分野の地域おこし協力隊として活動をしています。もともとは都市部のIT企業に新卒入社してプログラマ(エンジニア)をしていましたが、早い段階で退社し地方に移住をして地域おこし協力隊になりました。『地域おこし協力隊ってナニソレ?』な方は、以下のサイトをご覧ください。
↓(総務省のページ)
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/02gyosei08_03000066.html

また、実際にどんな生活をしているのか、今後のビジョンについてお話しする座談会も開催予定なので、よろしければご覧ください!

https://www.okayama-iju.jp/municipality/25kumenan/2024/111128.html

地方に移住して地域おこし協力隊に着任する以前、IT企業でプログラマとして勤めていたといっても、勤務期間は長くないし、実務経験が豊富なわけではありません。が、私のような専門的なプログラマ(エンジニア)でなくても、ITのアンテナを張って知識を得ていたり、ある程度のリテラシー・アイデアがあるような人間として、重宝される理由があります。

それは、私の移住した田舎(中山間地域)が『デジタル後進エリア』という問題を抱えているからです。

1.『行政・民間・地域住民を合わせても知識を持っている人が少ない』
2.『デジタルテクノロジーに興味のある人がいない』
3.『お願い・解決してほしいことも分からない』

厳しいことにこれが現状です。これは自分が移住した地域特性というよりも、日本のどの中山間地域でもそうだと思います。そのため、専門的な技術・知識のみでは、まず地域内で相手にされず、全く仕事がいただけません。それより、行政・地域住民のニーズを拾うコミュ力や、カタチにする行動力、そして時には『デジタル分野の知識・提案力』が必要になってきます。そんな力を評価していただき、地域で最も身近なデジタル人材というポジションで仕事を任されています。(なんなら、『これもデジタル担当の仕事なのか????』といった、色んな仕事に奔放する日々を送っています。)

どんな仕事をしているの?何が目標なの?

『デジタル後進エリア』な中山間地域では『お坊くん!システム作ってよ!』なんてTHE・エンジニアな依頼は多くありません。

そもそも論として、
中山間地域では革新的で利便性の高いシステムを作ったとしても、使い手のリテラシーが低いという問題があります。

電話とLINEだけで精一杯なおじいちゃん
スマホでゲームとYouTubeだけ、キーボードでは一本指タイピングしかできない子どもたち

実際のところの中山間地域のデジタルリテラシーの『リアル』はこんな感じです。

そのため、地域おこし協力隊の仕事はソフト面の仕事が多く『高齢者向けのスマホ・パソコン教室』や『デジタルツールを活用した小・中学校の授業サポート』が中心の業務となっています。あとはデザイナー(イラスト・広報デザインなど)やドローンを用いた動画撮影とか動画編集とか。すでに、一般論的な『エンジニア』の定義の範疇からは逸脱していると思います。それほど、中山間地域の『エンジニア』という単語は広いです(←というかそもそも違う)

そのため、ミッションとしては
数年後・数十年後のICT技術が更に発展した際に、デジタル後進エリアとして取り残されたままでないように、町民の方の『デジタル分野全般』への意識を高めるということになっています。

あれ?エンジニアっぽい仕事は?

先ほど、地域おこし協力隊ではソフト面の仕事が多いと書きましたが、エンジニアの仕事が全くないわけでもないです。

Excelの自動化をしてほしい!』、『サイトの予約システムを作ってほしい!!
そもそもHPから作ってほしいんだけど!!!』など

元エンジニア』という広義のワードから、幅広く仕事をいただくことがあります。もちろん単価や規模は大きくありませんが、クライアントの方の知識が豊富なわけではないので、自分からリサーチ&ご提案をする必要があり、設計~開発~運用のなかでクライアントの方と直接コミュニケーションを取って、お役に立てていることにやりがいを感じています。
可能であれば(知識やノウハウがあれば)、もっと大きなソリューションを提供したいといったところですが、地域のニーズ的にもマンパワー的にも、壁を感じているところです。

改めて本題

そんなデジタルなんでも人材となった元エンジニア・プログラマ職の人間ですが、今年から
農業:お米づくりをすることになりました。

今回の記事が初めての投稿ですが、デジタル職の人間が健康的に、そして楽しく田舎暮らしをするヒントを得ることができましたので、そんな一年間の農業体験についてご紹介しようかと思います。

① 移住を考えている人
② 農がある暮らし(家庭菜園とか)に憧れる人
③ フリーランスだけど、もっと色んなことをしたいなと考えている人
そんな人に少しでも共感してもらえたらいいなと思います。

どうして急にお米づくりをすることになったの?

一言でいうと『代打』です。

実家が百姓でもないし、面倒くさがりなので家庭菜園もしたことがありません。そんな農にも農業にも疎い人間でしたが、諸事情で田んぼの管理をしないといけなくなり『代わりにやってほしい』ということお米づくり生活がスタートしました。

とは言えども、デスクワーク中心の自分に体力はないし、草刈りもほとんどやったことがない。水稲栽培の知識なんてあるわけない...。

右も左も分かんねぇよ!!!

状態でスタートすることになりました。しかし、お世話になっている人なので断ることもできないし、他に誰も頼める人もいなかったので、どうにか田植えを近所のおじいちゃんに手伝ってもらって終わらせました。
『まぁどうせ一年間の代打だし、報酬もいただけるそうだし、お米もゲットできるしラッキ~!』 くらいの気持ちで始めました。

田んぼをやり始めて思ったこと

実際に外に出て作業をすると『しんどい』の一言でした。田んぼの管理といっても、総面積でいえば100m×100m。大体、野球のグラウンドの大きさくらいです。これもまぁまぁデカいことが伝わると思うのですが、他にも大変な理由があります。
中山間地域は山に囲まれてて、平野部が少ないのでそんな大きな一枚田んぼはないです。そう、面積が大きいのはもちろんなのですが、管理しないといけない田んぼの枚数が多い。なんと自分が担当した田んぼの総枚数は12枚...。

『多い、多いぞ...!!!(地図でココとココとココの田んぼ...と聞かされた時の私)』

しかも、全部が一か所にまとまっていないので、軽トラで毎日のように田舎の農道を走っていました。というか、田植えをした6月から既に暑い!! 天気のいい日には平気で30℃くらいの暑さ梅雨の時期特有の湿度の高さ。 これまでにデスクワークしかしてこなかったインドア野郎には過酷すぎる労働環境でした。しかし、田植えをした直後は、いわば稲の赤ちゃん状態なので毎日水の量を見て、水量を調整して世話をする必要があります。つまり、手抜きができない...。

というか、まだ20代中盤で、若くて基礎体力がある私がひーひー言っているのに、近所の70とか80のおじいちゃんは、普通に平気な顔で作業している...。
本当に田舎で農業をしている高齢者の方って元気だなと思いました。(今回のテーマでもある)

農業をして実際に感じたメリットについて

①規則正しい生活リズムになる

実際のところ、田んぼオンシーズンの6~9月の日中はぶっ倒れるくらいの暑さなので、外で農作業ができる時間は限られています。朝の暑くなる前の少し早い時間に起きて、圃場(田んぼ)を見回り、様子を観察し、必要に応じて水を入れたり、畦(あぜ)の草を刈ったりしなければなりません。
となると、おのずと早寝早起きの生活にシフトしました。これまでは『ちょっと夜更かしして作業するか』なんて、ずるずると仕事をすることもありましたが、朝の涼しい時間が絶好の農作業時間なので朝の時間帯を逃すわけにはいきません。これまでは、夜型気味の生活をしていたので、最初の頃こそ、『早起き嫌だなぁ...』 と思っていましたが、日中に肉体労働をして全身で疲労を感じることで日付を跨ぐ前には既に眠くなるし、夜間の睡眠の質も上がりました。途中で目が覚めることもないし、朝までぐっすりと快眠生活になりました。
また、朝日(日光)を浴びることの重要性も感じました。人間の体内時計は24時間周期ではなく少しずつズレていくそうです。これを解決してくれるのが日光を浴びること。なので、農業生活を一か月暮らしした頃から、周りの人からも『元気になった?』と言われるようになりました、ヤッタネ。

②体力がめっちゃつく

朝の涼しい時間とはいえ、30℃くらいの暑いなかで、クワを振り、草刈り機をブイブイと回し、あぜ道を歩き回っていました。それでも生活リズムと同じように気が付く頃には、『これが田舎の日常生活や!!』くらいに慣れていました。デスクワーク&農業というダブルワークを楽しんでこなせるくらいには体力が付いたし、明らかにガタイが良くなったと思います。(着ていた服は小さくなったし、久しぶりに会う友人からは何の仕事してんの?って聞かれました)
そもそも、パソコンとにらめっこする仕事では、どうしても運動不足になりがちだったので、運動不足解消 & 体力づくりになった ことは、かなり嬉しいメリットでした。
デスクワークだけでは、脳とか目は疲れているけど、身体では肩が凝っただの、腰が痛いだの、運動不足を露呈したようなツラさに悩まされていた ものの、ちゃんと継続して農作業をすることでこんな悩みからも解放されました。都会のデスクワーク中心のサラリーマンがジムに通う理由はこれだと思った。頭を使う『知識労働』と身体を使う『肉体労働』のバランス、そして体力づくりができたことで、仕事全体のパフォーマンスが向上したと感じています。

③生活のメリハリがつく

一日の稼働時間の限界は誰しも同じ24時間です。農業のある生活を始めたら、一日の中で活動できる時間の中から、農作業の時間を割く必要が出てきました。そのため何の時間が減ったかというと 『ゴロゴロ・うだうだ』 と過ごす時間です。最近の現代人のマジョリティに例外なく 『暇な時間はスマホを触っている』 だったものの、ダラダラとSNSやYoutubeを見ることが減り、有意義に時間を使えるようになったと感じてます。もちろん、全く見なくなったわけではなく、『情報収集のため』『好きな配信者は見る』といったように、能動的にメディアを選択し、使うようになったと思います。
また、私の場合は、地域おこし協力隊の活動やプログラマの仕事をしていたりする(ごくたまに)ので、ただただ漠然と毎日を過ごしていると、共倒れのような感じで本業にも農業にも影響が出てしまうことになります。そのため、『この作業はこの時間までに終わらそう』とか、『こっちの方が優先順位が高いな』と考えるようになり、惰性的に仕事をすることをやめるきっかけにもなりました。生活リズムの点でも触れましたが、むやみに夜の時間帯にデスクワークをしなくていいように、日中の時間帯にすべての業務を片付けるように心がけるようになり、単純に時間単位で見ても集中力の上昇によりパフォーマンスは向上したと感じています。 (エビデンスがあるわけではなく、あくまでも個人ベースの感覚ですが)

田舎に移住して農業をしませんか?

私が住んでいる地方自治体で、 『半農半X=農業をしながらIT系の仕事をしよう!』 をテーマにして座談会を開催します。

モデルは、この記事を執筆している私です。現在、中山間地域の田舎で半農半Xの暮らしと働き方を実践していて、お米づくりをしながら、半Xの部分で デジタル活用分野の地域おこし協力隊の活動や、その傍らプログラマをしたりWebのコーダー も兼任したりしています。

冒頭でも述べた通り、中山間地域はデジタル後進エリアです。そのため、IT系の仕事がたくさんあるわけではありません。IT専門職のキャリアだけに着目すれば、不利なエリアかもしれません。しかし、ノウハウや技術があれば場所を選ばない仕事だし、エンジニアの健康問題(身体・精神のどちらも)があるなかで、 あえて中山間地域に移住をして、農業のある健康的な暮らしを選択することの可能性は大いにあると思っています。
さらに、AIの台頭があり 『作り手』よりも『使い手』を育成することの重要性 が徐々に高くなる中では、『未開拓の地域で仕事を開拓していく』 ことが、社会的には必要になるのではと考えています。だからこそ、『開拓し甲斐しかない中山間地域は宝の山で、生き方の最先端になるんや...。』 と勝手に思っています。

こんな価値観に『なるほど?』と興味のある方と一緒に価値創造をしていきたいなと。

現在、私一人では担当できる業務内容も限られてくるし、ぶっちゃけ田んぼも一人で管理するのは、やっぱりしんどいです(涙)

一緒に半農半Xをできるメンバーを募集しています。
少しでも興味ある方は、座談会に参加してくださると嬉しいです!

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