念の為の注意書き
以下の問答は弁護士などの専門家を通したものではなく、誤りが含まれる可能性があります。
2016年5月26日、Facbeook上において、「事実情報(ファクトデータ)」と、それらをまとめた「データベース」、およびそれらをどのような法律(著作権など)で保護するのがよいかか、という議論が起こりました。
参加者の同意のもと、概要をストックします。
議論のきっかけ
ユーディー氏による2015年1月12日のブログ投稿 ファクトデータの著作権について考える ~株価データを事例として~ を @nyampireが見つけたことがスタート。
議論の抜粋
-
データ提供者が著作権を主張しようと、その事実情報に対して本当に著作権が適用されるかは別の問題
-
事実情報を収集したデータセットを、著作権をもとに保護することは困難
-
ただし世の中には、著作権以外にも法律があり、特に商行為に関しては、不正競争防止法などの法律で保護するほうが筋がよいのではないか
-
日本において、データベース内の個々の事実情報データについては、著作物性は発生し得ない。ただし海外では、それらをまとめた時に、権利が発生する国がある。(EUにおけるsui generis権)
-
日本においては、データベースの著作物性、として、著作権のなかに内包した観点で処理されることもある(著作権法 2条 1項 10号の3)
-
日本における類似の判例
-
NTTのタウンページ判例: 1つ1つの電話番号には創作性はないが、カテゴライズの手法に創作性がある、と判断。判例
-
翼システム判例: 地図データ自体には創作性はないが、収集とメンテナンスにコストをかけて販売されているものをライバル会社が
そのまま
盗用し、販売することによって財産侵害が発生し得る。判例そのものを含んだ、研究成果 -
住宅ローン金利の比較表について著作物性を否定した事例: データそのものには著作物性は無く、ありふれた表形式での表現には著作物性がない、とする判例
-
TPPによる、著作権の非親告罪化についても、日本においては、経済的な損害が発生したかどうかが1つの大きな判定要素になるという議論が進んでいるという認識
-
よって、直接的な損害がない限り、事実情報のデータベースは著作権法では保護できないし、著作権法による保護はすべきではない、という意見
-
デジタルデータの流通の観点から、著作権で守れる範囲をむやみに拡張するのではなく、その他の法律(特に不正競争防止法や民法による損害賠償請求)にもとづいて処罰するほうが望ましいのではないか
-
OpenStreetMapのライセンス ODbLとDBcLでは、個別データとデータベース全体としての扱いが定められている。今後、要解説。
より認識を共通させる必要がある事項
- 「事実情報」とは何か。
例えば、「過去発生したあるいは現在発生している事象」であり「複数の主体から観察可能」な情報?
-
著作権法で保護しないものを不法行為で保護してよいのかどうか
-
契約のオーバーライドはいかがなものか。(今後、詳しい意味について議論必要)
-
著作物性の無いデータ(数値、ありふれた表現の表形式など)については、著作物性が無いというだけで、事実情報とは異なる。別途まとめる必要がある
リンクなど
議論のもととなった ファクトデータの著作権について考える ~株価データを事例として~ の下部に資料へのリンクがあります。