10月13日に開催された、AWS Cloud Roadshow 2016 札幌を観てきました。
昨年に続いて2年目の参戦です。
■AWS Cloud Roadshow 2016 札幌 基調講演
長崎 忠雄
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 代表取締役社長
【雑感】
資料は違えども、内容自体は昨年と変わらず。
IoT、AIなど今ホットな分野についてのトピックが聴けるかなと思っていたがその辺の話しはあまりなし。
日本未発売の”amazon dash”、”amazon echo”については言及あったけど、確かこの2つは昨年も出ていたような。
【メモ】
・AWSができて10年、東京リージョンができて5年
・クラウドは次のステージへ
クラウドへ移行すべきか
から
クラウドをどう利用すべきかのステージへ
・Amazonのミッション:地球上でもっともお客様を大切にする企業
・AWS誕生のきっかけ
2000年代のAmazon
ITインフラ(の調達の遅さ)が成長の足かせになっていた
→ワンクリックでできないか
→できた
→自分たちだけで使うのはもったいない
→AWS
・クラウドサービスの利用動向
2014年末で約39%利用中(前年比約6%増)
総務省|平成27年版 情報通信白書|クラウドサービスの利用動向
・AWSの現在地
- アクティブカスタマー
全世界:100万
日本:数万
- 70以上のAWSサービス群
・常に最新のインテルアーキテクチャを採用
5/18~ EC2 X1インスタンス→約2TB!のメモリ
EC2のX1インスタンス – メモリー重視のワークロードに対応可能
・クラウドが選ばれる理由
1.調達時間の減少
DWHをRedShiftで構築、期間を1年→1ヶ月に短縮(すかいらーくの事例)
2.コストの減少
3.運用負荷の軽減
・セキュリティ
クラウドの良さはわかっているが避けては通れないクラウドのセキュリティ
なんとなく不安というお客様は今でも多い
セキュリティはAWSのトッププライオリティ
AWS クラウドセキュリティ | AWS
公開ドキュメントも充実
・地方
地方であればある程クラウドの恩恵に
北海道はIoT関連の利用が多い
■AWS と Intel が取り組むクラウド・イノベーション
土屋 建
インテル株式会社 インダストリー事業本部 クラウド・スペシャリスト
【雑感】
Intelなくして今のAWSの躍進はなく、AWSがなければIntelはここまでの企業にはならなかったのではと思わせる。
それだけ強い結びつきでWin-Winの関係を築いてきた両社。
【メモ】
・インフラ技術の革新が新しいビジネスを生み出す時代
マルチデバイス、IoT、ビックデータ、クラウド、セキュリティ
新しいサービス → デバイス数up
↑ ↓
新しいデバイス → サービス進化
・クラウドを進化させるテクノロジー
・ワークロードに最適化されたインスタンス
・X1インスタンス
2TBのメモリ、128vCPU
・さらなるクラウドの波
ディープランニング(深層学習)
■AWS とエンドユーザーの信頼関係で情報の価値が変わる
山口 正広
JAめむろ 管理部 管理経理課
【雑感】
昨年に続いての登壇となったJAめむろ
台風災害にあった経験からのBCP対策としてのクラウド利用に説得力がある。
そして、JAのようないわゆる古い組織の中で、AWSのような新しい技術を導入するハードルはそうとう高かったと思うが、登壇者のようなITリテラシーの高さがないと難しいのかなあと。
【メモ】
・業務系システムをクラウドへ
情報系と違い業務への直接影響することから不安はあったが、利用者側からは不満の声はなく、結局利用者側にはオンプレでもクラウドでも使い勝手は変わらない
・今後のキーワード
ブロックチェーン
省電力広域ネットワーク→午後のGISupplyの事例紹介にもキーワードあり
・AWS利活用の選択肢
AWSのサービスを組み合わせる
AWS上のIT企業のサービスを利用
自前でサービス作る
■会社を強くする IT ~IT 部門が目指す景色と AWS 導入~
谷藤 亮子
サッポロウエシマコーヒー株式会社
管理本部 IT/システムグループ 課長
大島 宏之
サッポロウエシマコーヒー株式会社
管理本部 IT/システムグループ 係長
【雑感】
生活で使うIT(新しい)と仕事でのIT(古い)のギャップという部分に大きく共感しましたw
AWSを利用することでライセンス料悩まなくてもするというのは、目立たないけど大きなメリットなのかなと思ってる。
”ビジョンから入る”、”完成度よりスピード優先”というのは今生き残るために必要なことで、それを具現するのに必要なのがクラウドでありAWSなのかなと。
【メモ】
・サッポロウエシマコーヒーはコーヒーだけの会社じゃない
業務用食材卸業では北海道No.1
(主に)介護向け給食事業
家庭用事業(コーヒー、ガラナなどの飲料水)
・生活で使うIT(新しい)と仕事でのIT(古い)のギャップ
生活で使うIT(Amazonをよく使ってた)はこんなにいけてるのに、社内ITのいけてなさときたら...
・既存の情シス、基幹システムのやり方を続けていては効果が薄い危機感
→黒船BtoBに駆逐されるんじゃ
・プライベートクラウドで一度失敗(すご~く遅くなった)
・失敗から再度の挑戦で2016年4月AWS導入
○業務に耐えうるレスポンスが出せた
△AWSならではの作法・技法がある
◎AWSサポートが超優秀(ビジネス、エンタープライズサポート入るべき)
○ライセンス料に悩まずに済む(利用料に含まれる)
○停電の心配をしなくてもよい
◎管理・コントロールの負荷がとにかく減った
・今後のAWSの活用
ビジョンから入る
完成度よりスピード優先
現状を疑う
目的は何かを考える
■「スケーラブルな農業機械」の実現を目指す、農業情報設計社の取組について
濱田 安之
株式会社農業情報設計社
代表取締役CEO、ファウンダー
田名辺 健人
株式会社農業情報設計社
取締役CTO
【雑感】
いわゆるスタートアップ企業。
農業機械開発の研究者だったCEOが2014年に起業。
社員1名!ってなってて登壇されたCEO、CTOは以外に1名ってこと?ってのが気になった(どうでもいいこと)
東京からも札幌からも遠く離れている帯広の地で、こういうスタートアップ企業が出てこれるのは、AWSというインフラがあってこそなんだろうな。
【メモ】
・AgriBus-NAVI
トラクター運転支援を行うスマートフォンアプリ
ダウンロード数No.1
9割以上が海外からのダウンロード
→マルチリージョン
→Route53でルーティングしてる
→同一ユーザーでもタイミングで別のリージョンにルーティングされる時がある
→データが分散されてしまう
→レイテンシー距離で固定させるよう対応
農薬の散布など真っすぐ等間隔に作業できるよう支援する
・AgriBus-Connect
農作業情報ハブサービス、クラウドへの自動保存
絶賛開発中
クライアントサイド:xamarin + C#
サーバーサイド:Spring Boot + Java
JSONでやり取り(REST API)
swaggerでAPI生成
・AgriBus-GNSS+
GPSと農業機械との通信
絶賛開発中
・AgriBus-AutoSteer
トラクターの自動操舵支援
絶賛開発中
設計図をオープンソースに
■AWS クラウドを活用した IoT サービス基盤について
北岡 智
株式会社GI Supply 代表取締役
【雑感】
前のセッションと同様に地方で起業した方のお話。
こちらは2000年代起業でスタートアップという言葉すらなかった時代。
東川町は近年移住する人で人口が増加していて、札幌以外は減少の一途を辿っている道内で異彩をはなっている旭川近郊の町。
LoRaは恥ずかしながら初めて聞いたキーワードなので調べてみる。
【メモ】
両親の介護のために旭川にUターン
→仕事ない
→企業
→良い人材採用できない(そもそも応募すらない)
→考え方を変える
最適なリソースを必要な時に調達
ワークライフバランス(時短、育休、在宅勤務)
東川町へ事務所移転
→ワークライフバランスに力を入れている町
トラッカーに特化した事業形態
リアルタイムトラッカーの出現で業界はクラウド型にシフト
AWS利用が主流
ezFinder BUSINESS
AWS上で動くトラッカー用汎用プラットフォーム
Google Map上にトラッカー位置を表示
GIConnect
位置情報デバイスを使用したB2Bアプリ開発プラットフォーム
今後の注目技術
LoRa(ローラ)
新無線技術
912MHz帯
ゲートウェイが必要
■【パネルセッション】北海道を元気に!アマゾンと AWS が貢献できること
齋藤 英輔
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
ストラテジックアカウント本部兼テリトリーマネジメント本部 本部長
藤村 知世
一般社団法人友醸 理事広報 OCHOCO◎代表
2015 Miss Sake 北海道代表
蝦名 桃子
有限会社 蝦名漁業部
取締役専務
鶴原 直樹
アマゾンジャパン合同会社
消費財事業本部 食品飲料事業部
シニアウェブプロデューサー
伊藤 慶子
北海道庁
水産林務部 漁港漁村課漁港管理グループ
【雑感】
地場の産業をどうしたら活性化できるかというのを漁業と酒屋を例にとってのパネルディスカッション。
皆さんAWSはお使いではなかったようでしたw
結局はAmazon、AWSを有効利用すればいいよ('ω')という落としどころなのはしょうがないと思うんだが、スケールに秀でてるAmazon、AWSを!!!という数の力的な発言が多く、ちょいと短絡過ぎやしませんかと感じましたです。
【メモ】
蝦名漁業部
→羽幌町(海老が名産品)
蝦名さん
自分は漁に出れない
いい加工品を開発して羽幌ブランドの価値を上げて浜値を上げたい
→売れない
→Amazon.co.jpにNipponストアというのがある
→ポケットマルシェ
友醸
造語:酒が友情を醸す
日本酒の現状
酒蔵が減少の一途
飲まれる量も減ってきている
→amazon.co.jpに日本酒ストアというのがある(2016/10/17リニューアル予定)
AWSからのメッセージ
to エンドユーザー、生産者
Amazonを利用した販路拡大
ITに関する相談先としてAWSを活用
to システム開発会社
お客様の要望を叶えるパートナーとしてAWSを
WebAPIを駆使して互いにシナジーを
■全体を通しての雑感
昨年に続いて二度目の参戦となりました。
昨年はAWS未体験での参戦だったので何もかもが新鮮だったけれども、今年は少し業務でも使っていたので、落ち着いた視点で見れました。
事例紹介を見て強く感じたのは、AWSのようなクラウドの浸透に伴って、地方のスタートアップ企業でも戦えるようになってきたなということ。
いやむしろ、分野を特化していくことで、大企業と比べて圧倒的なスピード感とフットワークの軽さで日本経済を引っ張っていくんじゃないかとも思える。
そこそこの規模の日本企業では真似できないやりかただとは思うけれども、こういうスタートアップ企業を一早くキャッチアップして協業もしくは買収していくことを考えた方がよいのかもしれない。
以上