はじめに
この記事はCTOA Advent Calendar 2020 の記事ではなく
Supershipグループ Advent Calendar 2020 最終日の記事です。
SupershipでCTOをしている @noriakiutsu こと宇都宮です。
メリークリスマス!皆さまクリスマスソングで一番好きな曲はなんですか?
私はSTEADY & CO. / Only Holy Story を鬼リピです!!
前回検索サービス開発が絶対におもしろいと思う理由【2018 改訂版】という記事を投稿しました。
今回4月から就任したCTOという役割と観点から
コロナ禍で見えた経営課題に対し、最高技術責任者として今後どう向き合うか?
というお話をしたいと思います。
オープン社内報という形で本編の一部は先出ししていますが
本内容はその詳細に辺ります。
##背景
- 2019年度までデジタルマーケティング業界は絶好調
- コロナ禍により好調の波に乗った急成長は一旦停滞
- 2020年度経営Issueを解決するための経営体制と組織の変更を行なった
##役割を定義した
上記の背景から中長期的に継続しうる事業を強化する、もしくは創出する
という強い経営メッセージを発信し
プロダクト/サービスを形成するエンジニアリングに対して3つの役割を定義しています。
これは経営が最高技術責任者に対し、なんでもできるスーパーマンを何かと待望される中
なかなかそのような人物は存在しない為、文字通り「役を割った」体制となりました。
COVID-19関連のニュースが国内で報道され始めた頃、CTOへの就任を打診されましたが
子供が生まれて間もない時期だった事もあり正直快諾するような状況ではありませんでした。
ですが以下のような体制を採用し相互作用するのであれば、という事で承知した次第です。
###エンジニアリングに向き合う3つの役割
このトライアングルで表現されている通り、 Technology
Product
Team
は
エンジニアリングに各々単独で向き合うのではなく相互作用しながらコトを進めます。
私が所属する会社にはマネジメントコミットメントが明文化されていますが
この4つについても各役割で相互作用しながら取り組んでいます。
例えば
売上は価値の総和、利益は工夫の総和
というとても良い言葉があるのですが
売上のトップラインを形成するためには価値を提供できるプロダクトが必要であり
利益を工夫して生み出すにはテクノロジーの力を最大限活用し低コストを実現し
そのどちらにも事業の主役であるチームやメンバーの力添えがない事には達成できないことです。
###Controller of TCO(Total Cost of Ownership)
実際に経営から定義されているRoleとしては
これまでひたすら脇目も振らず邁進してきた知的生産にまつわるワークロードを下げなさい
という要求がありました。
サーバに搭載されているCPU, Memory、会社支給Macから
個々人が受け持つ業務の作業量、負荷を含めて適正にキャリブレーションを行い
生産性を向上するように、と言われています。
###本当に目指したい姿
##エンジニアリングを定義した
そしてそもそも我々が向き合うエンジニアリングとは何であるのか?
という定義を行わないと共通認識を保持できないと考え明文化をしました。
我々が向き合うエンジニアリングとは
不確実性を減らす試みという抽象表現をより具体表現しました。
- 具現化する目的意識を持ち
- 要素間に繋がりやシナジーがあり
- 変化に柔軟な対応をする
以上の3つを満たす有機的統合業務 をエンジニアリングとして捉える事としました。
昨日の記事でインセプションデッキの重要性について書かれていますが
会社の従業員、事業規模が拡大するに従い阿吽の呼吸という意思統一プロトコルが適用できなくなり
明文化する事が非常に重要と考えました。
##OODAループを回した
CTOとして組織に属さず中立的な立場で全社の経営課題に立ち向かうという職位にいることで
とにかく俯瞰して物事を観察、判断しなければならなくなりました。
その際意思決定をするためのOODAループの哲学を強く意識づけしています。
特にこちらのBIG Oという段階はより丁寧に取り扱いを行いました。
##確立されている社会法則を正しく理解し正しく処方する
組織変更と呼ばれる体制変更は短期、中期、長期の戦略に沿って行われるものでありますが
往々にして熟考の末その有効性を立証した上で成されるものではありません。
私の職位が組織外にいられるからこそ、組織変更によって組成された150人を超すメンバーが所属する開発組織に対して上記ビッグOを適用し
- ダンバー数の適用範囲内に組織がデザイニングされているか?
- メトカーフの法則を適用した情報コミュニケーションが組織内で今後成立していきそうか?
- 1on1 によるエンジニアヒアリングを行い、情報の流動性、伝播性が滞っている原因は組織(ネットワーク構造)の問題か?マネジメント側(ネットワーク中心性)の問題か?
CPO, VPoE に情報共有を行い、改善が必要であればそれを促す事を行いました。
##事業と対をなすエンジニアリングを永続化するために
会社のコアコンピタンスのひとつであるテクノロジーを
今後もコアコンピタンス足らしめるためにはCTOという職位は今後も在り続ける必要があります。
その中で自分自身が在任し続ける必要があるとは全く思わず、
今後は後任を計画的に育成していかなければいけません。
というのも世相やムーブメントが必要とする技術についていけない者が
最高技術責任者という立場にいては結果として経営が求める技術を提供できなくなるかもしれない
というリスクを内包するため
時代によって求める人物像を満たすCTOを計画的に育成していかなければいけないと考えています。
スターウォーズの“マスターとパダワン”
Gガンダムの“東方不敗マスター・アジアとドモン・カッシュ”
鬼滅の刃の“柱と継子”
のようないわば“師匠と弟子”の関係性を持つ
一子相伝スタイルの育成システムを作っていきたいと考えます。
そのためにまずは行動規範となるような指針を
当時のトヨタ自動車工業、伝説的開発主査である長谷川龍雄さんの主査10ヶ条
から着想を得て編み出しました。
###Supership CTO 拾ノ型
この行動規範の主軸として大きく以下の項目が大切になると考えます。
- 人間性
- 技術以外の知識を技術に活かすこと
- 立ち続けること
- 型にはまらないこと
採用活動や契約を含めた社内起業を最終的な決済処理以外はほぼ全て一人で開始し
他者を巻き込みつつ事業を拡大、成長させながら
開発組織の組成、継続してきた歴史的経緯があります。
1エンジニアの立場から開発部長、事業部長、事業本部CTOなど
ピーターの法則で無能と判断されるまで階層組織を昇り詰めてしまったのですが
ブレずにここまでやれてこられたのは、上記の主軸を元に行動してきた結果であると考えます。
認知と行動変容の促進
認知と行動変容を促進するためには社外への流出を避けながら
社内への情報は速やかに浸透させなければなりません。
もはや物理オフィスではなくSlack などが仮想オフィスとなっている現状
-
情報発信側
流通のためのネットワークルーティング(≒組織構造)設計 -
情報享受側
情報到達容易性、情報検索容易性
今後は上記の素性を考慮しつつ情報を取り扱うため
CTOのみならず、CISOを兼務しているのですがCIOの役割も持ち
横断して下記の要求を満たしたいと考えています。
- プライミング効果の社内適用
- インセンティブによる行動変容からナッジによる行動変容を促したい
- 定常余剰を生み出す必要性
おわりに
このように解決しなければならない課題が山積みでありますが
現在一緒に働いてくださっているメンバーは皆、志高く向き合ってくれています。
ご興味がある、いつかこの会社でCTOをやってやってもいいぞという方がおられましたら
以下リンクより是非弊社採用情報をご一読ください。
おまけ
今年の無事を祝して
どうか良いお年を
幸せになりましょう