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Databricks SQL AI Functions を使ってデータ分析してみる(情報抽出・類似度)

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はじめに

株式会社NTTデータ デジタルサクセスソリューション事業部nttd-saitouyun です。

今回は、DATA + AI Summit 2024 で発表された Databricks SQL の AI Functions を使って kaggle で公開されているデータを分析してみようと思います。

AI for SQL アナリスト

これまでSQLでAIを利用するには、データサイエンティストがAIモデルをAPI化し、データアナリストがSQLのUDFにAPIを登録をして呼び出すなど、一手間かかっており、データアナリティクス・BIとAIの間には壁がありました

Databricksでは、AI Functions を活用することでシームレスにAIのパワーをデータアナリティクス・BIに活用することができます

ai_functions.jpg
The Best Data Warehouse is a Lakehouse at DATA+AI Summit 2024

Databricks SQL AI Fuctions によるデータ分析

事前準備

kaggle が公開してる「PII | External Dataset」を活用して個人情報の抽出処理を行います。データはここから入手できます。

image.png

「pii_dataset.csv.zip」を解凍、アップロードし、テーブル化しておきます。

データの確認

データの中身を見てみます。textカラムに個人情報を含む長いテキストが含まれています。これらのテキストを識別する一意のIDがdocumentカラムに格納されています。

image.png

さらにカラムを見ていくと、textに含まれる氏名、メールアドレス、電話番号などの正解ラベルが含まれています。

image.png

レコード数は全体で4434ありますが、検証ですので100件に絞ってデータを扱います。

CREATE OR REPLACE TABLE pii_dataset_100 AS
SELECT * FROM pii_dataset LIMIT 100

ai_extract function を活用した情報抽出

ai_extract function を活用してtextカラムの文章から氏名、メールアドレス、電話番号などの情報を抽出してみようと思います。

CREATE OR REPLACE TABLE extract_pii_dataset AS
SELECT 
  document,
  text, 
  ai_extract(text, array('person', 'email', 'phone', 'job', 'address', 'hobby')) AS extracted_text
FROM pii_dataset_100

データを見てみましょう。JSON形式になっていますが、情報抽出できていそうです。

image.png

JSONのままだと扱いづらいのでフラット化しておきます。

CREATE OR REPLACE TABLE extract_pii_dataset_clean AS
SELECT 
  document,
  text, 
  extracted_text.person AS extracted_person,
  extracted_text.email AS extracted_email,
  extracted_text.phone AS extracted_phone,
  extracted_text.job AS extracted_job,
  extracted_text.address AS extracted_address,
  extracted_text.hobby AS extracted_hobby
FROM extract_pii_dataset

それでは正解ラベルと比較してみましょう。
元のテーブルと結合し、対応するカラムを並べてみます。

CREATE OR REPLACE TABLE compare_data AS
SELECT 
  p.document,
  p.text,
  e.extracted_person AS extracted_name,
  p.name,
  e.extracted_email,
  p.email,
  e.extracted_phone,
  p.phone,
  e.extracted_job,
  p.job,
  e.extracted_address,
  p.address,
  e.extracted_url,
  p.url,
  e.extracted_hobby,
  p.hobby
FROM pii_dataset_100 p
JOIN extract_pii_dataset_clean e ON p.document = e.document

比較結果はこちらです。
うまく情報抽出できていそうですが、一部、nullになってしまい抽出に失敗しているケースもありそうです。
また、21行目のように「Dr.」が含まれてしまっているようなズレもあるようです。

image.png

ai_similarity function を活用した類似度の評価

単純なテキストの比較はできないようなので、ai_similarity function を活用し、文章の類似度を計算してみます。

CREATE OR REPLACE TABLE compare_name AS
SELECT
  document,
  name,
  extracted_name,
  ai_similarity(name, extracted_name) AS similarity_name
FROM compare_data

結果は以下のようになりました。文章が一致する場合は「1」に近づき、一致していないと「0」に近づきます。そもそも片方の値がない場合は「null」を取ります。

84行目のように「Dr.」の有無だけであれば、「0.9」とほぼ一致していると判断できそうです。

image.png

100レコードあたりで評価してみましょう。

ai_extract function で情報を抽出できたのは、81/100件でした(以下のSQLを実行)。

SELECT COUNT(*) FROM compare_name WHERE extracted_name IS NOT NULL

抽出した情報を ai_similarity function で類似度を計算し(情報を取得できなかった場合(null)は0に換算)、100レコードあたりの平均値を計算すると、0.78となりました(以下のSQLを実行)。

SELECT SUM(similarity_name) / COUNT(*) AS average_similarity FROM compare_name

ここまではnameカラムについて見てきましたが、その他のカラムについても計算すると以下のようになりました。

カラム 情報抽出できたレコード数/100件 類似度
name 81 0.78
email 71 0.71(抽出できた値は全て一致)
phone 52 0.50
job 74 0.67
address 63 0.61
hobby 39 0.30

情報抽出はカラムの内容によって得意・苦手がありそうです。抽出の精度(抽出した文章の類似度)はかなり高い結果になったのではないでしょうか。全体としては60〜80%くらいの正答率になりました。

ai_query function を活用した情報抽出

AI Functions には、ai_query function という基盤モデルにプロンプトを与えて回答を得るという汎用的な関数があります。この関数を使って情報抽出をやってみようと思います。

基盤モデルは最近リリースされた Meta Llama 3.1 405B Instruct を使ってみます。

CREATE OR REPLACE TABLE compare_name_aiquery AS
SELECT
  document,
  name,
  extracted_name,
  ai_query("databricks-meta-llama-3-1-405b-instruct", CONCAT('氏名を抽出してください。回答は英語で氏名のみを出力してください。:\n', text)) AS inferred_name,
  ai_similarity(name, inferred_name) AS similarity_inferred_name,
  ai_similarity(name, extracted_name) AS similarity_name
FROM compare_data

結果は以下の通りになっています。なんと、全てのデータで情報抽出できていました。類似度も基本的には上がっていそうです。(12行目のようにより多くの情報を取り込んでしまって類似度が下がっているケースも稀ながらありそうです。)

image.png

当たり前ですが、パラメータ数が大きい方が精度が高いという結果になりました。この点については、精度とコストのトレードオフを検討する必要がありそうです。

【nameカラムの情報抽出結果の比較】

利用したAI関数(LLM) 情報抽出できたレコード数/100件 類似度
ai_extract(Mixtral-8x7B Instruct) 81 0.78
ai_query(Meta Llama 3.1 405B Instruct) 100 0.98

AI Function を利用する場合はバックエンドのLLMに何が使われているのかしっかり意識した方が良さそうです。マニュアルにも以下のように書いてありますので今後変わる可能性はあります。

Currently, Mixtral-8x7B Instruct is the underlying model that powers these AI functions.

勝手に変わってしまうと困るという話であれば ai_query で LLM を固定するのもありだと思います。

おわりに

いかがでしたでしょうか?

使い慣れたSQLからAIの力を利用することで、高度な分析がこんなに簡単にできることをご理解いただけたのではないかと思います!

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