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【DataRobot】モデル構築はしてみたけど、この後どうやって精度を上げる?

Last updated at Posted at 2024-04-02

はじめに

はじめまして。社内でデータサイエンティストを務めております@nttd-okadakntです。

NTTデータ デザイン&テクノロジーコンサルティング事業本部では、お客様企業のAI・データ活用を、コンサルティングから基盤構築、実行支援を通じた成果創出までワンストップで創出しており、その支援テクノロジーの一つとして DataRobot を提供しております。

本記事では、「DataRobotのオートパイロットでモデル構築をしてみたけど、その後どうやって精度改善をしていけば良いか」というご質問をよく頂くので解説したいと思います。

DataRobotとは

DataRobot社は、AIに対するユニークなコラボレーション型のアプローチによって
ユーザーをAIサクセスに導くバリュー・ドリブン AIのリーダーです。

DataRobot社の製品であるDataRobotは、10年以上にわたってユーザーの自動機械学習(AutoML)活用を支援してきたAIライフサイクル・プラットフォームであり、機械学習モデルの構築、トレーニング、評価、デプロイメントを自動化することができます。複雑なデータ分析を迅速かつ簡単に実行し、優れた予測モデルの作成と管理をサポートすることが可能です。近年では生成AI機能も強化し、予測AIとのコラボレーションによってさらなるAIサクセスの実現を加速させています。

前提

以下が適切に設計されており、正しい精度評価が出来る状態であることを想定しています。

  • ターゲット
  • パーティション

その上で、とりあえず一度オートパイロットを実行してみたというシチュエーションです。

この後掲載しているDataRobot画面のキャプチャは、
金融業における消費者の貸し倒れ予測のデータを用いています。

解説

1.精度向上に向けて考えること

一度モデルを構築した後に、私は以下を確認するようにしています。

  • 【アウトプットの観点】今回扱っているデータの中で、精度の高い・低い集団はどこで、それはどのような違いがあるのか
    →闇雲に改善を行うのではなく、精度の高い集団と低い集団の差異とその差が生まれる条件を特定することで、精度の低い集団に対する効果的な対策に繋がります。

  • 【プロセスの観点】今回作成したモデルは、自身の仮説やドメイン知識に沿ったもの(特徴量の利き方等)になっているのか
    →1stステップとしてシンプルなベースラインとなるモデルを作成すると思います。そのときの各特徴量の効き方を確認することで、特徴量エンジニアリングの方向性を得るためにこの観点を確認します。

  • 【インプットの観点】特徴量が足りているのか
    →そもそもで、今使っているデータには含まれない・記録されていない事象から影響を受けてしまっている、今の特徴量ではそれを表現することが出来ない、というケースです。

2.DataRobotで確認する方法

誤差を確認する

まずは、DataRobotの特徴量毎の作用タブから、特徴量毎に「予測」と「実測」の生じ方を確認していきます。

image.png

どのように確認をしていくか

ここで確認をしたいのは、「その特徴量によって、誤差が生じているか」という点です。
以下図の左側のケースは直感的にも問題なさそうに思えますが、右側のケースでも実は問題ありません。
この特徴量によって誤差の生じ方が変わらないということは、この特徴量以外の要因によって誤差が発生しているということであるため、他の要因に目を向けていけば良い、ということになります。
特徴量のとある範囲のみ精度が悪い、ということが無いか確認をしていきます。
image.png

年収を確認してみると、
年収が低い領域は問題無さそうですが、高い領域になると誤差が出でいるようですね。
(そもそもで対象データ数が少なく、偶然そのように見えると理由かもしれません。)
image.png

次にローン申請額です。
こちらも年収と同様な傾向がみられます。
image.png

最後に、都道府県です。
北海道は貸し倒れ予測が下振れ(リスクを低く見積もっている)、
千葉、兵庫、福岡、長野、福島は上振れしている(リスクを高く見積もっている)
という結果でした。
image.png

ここまでの結果を踏まえて考察してみます。
【アウトプットの観点】
「年収や貸し倒れは規模が大きくなるほど、誤差が出やすくなっている。低年収帯と高年収帯では傾向が異なっていて、1つのモデルで全てを表現するのは無理なのか?高年収帯特化モデルを別途作成してみるか。」
【インプットの観点】
「都道府県ごとに誤差が出やすい地域とそうでない地域が存在している。上振れ/下振れする地域には何らかの共通点があって、それらを表現する特徴量が足りていないのかもしれない。例えば、それぞれの都道府県では雇用形態や企業に差異があるのか?都道府県毎の雇用に関する統計データなどを探してみるか。」

このように、誤差の生じ方を確認するだけでも、様々な検討に繋がっていきます。

特徴量の効き方を確認する

次に、特徴量の効き方も確認してみます。
DataRobotの特徴量毎の作用タブから、特徴量毎に「部分依存」の生じ方を確認していきます。
部分依存とは、他の特徴量の数値は元のデータのままで、興味のある特徴量の数値を全て特定の値に変えた時の予測の平均値です。この特徴量の値を操作したときに、予測値にどのような影響を与えるか確認することが出来ます。

年収を確認してみます。
年収が上がれば上がるほど、返済能力が高まるので、貸し倒れリスクが低くなるのは肌感覚に合います。
ただし、年収の高さに対して線形に比例する形で貸し倒れリスクが低くなるのではない、ということにも気づけます。
image.png

一方で、ローン申請額は、貸し倒れリスクに対して線形に効いていそうです。
image.png

これらを踏まえて、私なら以下のように考えます。
【プロセスの観点】
「年収はそのままの値を特徴量として入力するのではなく、何か変換を施すような特徴量エンジニアリングをした方が良いかもしれない。金融業界における貸し倒れと年収の関係に関する文献を調査してみよう。」

今回のケースではありませんでしたが、
ある値を閾値として、急に特徴量の効果が表れるようなケースもあります。
そのような場合には、閾値を超えるまでは特徴量の値を0にして、閾値を超えたら元のそのままの値にする、などの変換も考えられます。

このように、一度モデルを作成してみてから特徴量の効き方を確認することで、特徴量エンジニアリングのヒントを得られることができます。

まとめ

今回は、DataRobotでモデル構築をした後に、どうやって精度改善をしていけば良いかの考え方の一例をご紹介しました。
誤差の出方や特徴量の効き方を確認することで、考察をすることが出来ます。

DataRobotは、先ほどご紹介したようにモデルを解釈するための様々な機能があります。

仲間募集

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