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DeepRacerのローカルトレーニングのパラメータを考える

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はじめに

株式会社NTTデータ デザイン&テクノロジーコンサルティング事業本部の@nttd-kashiwabarayです。
以前以下のページでDeepRacerの学習の基本的な流れを説明しましたが、本日はDeepRacerのローカルトレーニングの主要なパラメータについて説明します。

DeepRacerのローカルトレーニング

DeepRacerはAmazon SageMaker、AWS RoboMaker、Amazon Kinesis Video Streams、Amazon S3、CloudWatchを組み合わせて構成されたマネージドサービスとして提供されております。AWSマネジメントコンソールから簡易にトレーニングを実施することができます。

image.png

ローカルトレーニングは上記の環境をローカル環境(自身のPC環境やEC2など)にて、トレーニングを実施できるものとなります。それぞれメリット・デメリットがありますが、一番のメリットはトレーニングの費用対効果となります。

2024年3月現在、DeepRacerの1時間あたりのトレーニングの料金は「トレーニングまたは評価」で1時間当たり3.5ドルの費用が発生します(その他「モデルストレージ」として1GB当たり0.23ドルの費用が発生します)。ローカルトレーニングでは、自身のPCはもちろんのこと、EC2のスポットインスタンスなどを活用すれば大きく費用を削減することが可能となります。また、学習速度も速く、カスタマイズ範囲が広いことも特長です。一方で、ローカルトレーニングはサポートされておらず、それなりの知見がないと環境の構築から維持・運用までが大変だったりします。

ローカルトレーニングの主要パラメータ

まずは主要パラメータの中でも、トレーニングを実施するにあたり、基本的な設定になるパラメータについて説明します。

■DR_WORKERS
トレーニングに使用される Robomaker ワーカーの数を定義します。以下の画像はWorker数を5に設定した時のトレーニングの例となります。

image.png

■DR_UPLOAD_S3_BUCKET
モデルがアップロードされるDeepRacerのバケット名を定義します。

■DR_SAGEMAKER_IMAGE、DR_ROBOMAKER_IMAGE
トレーニングに使用するSageMaker、RoboMakerのイメージを定義します。

■DR_WORLD_NAME
使用するトラックを定義します。上記のSmile Speedwayのコースの場合は「reInvent2019_track」が設定値となります。

■DR_LOCAL_S3_MODEL_PREFIX、DR_LOCAL_S3_CUSTOM_FILES_PREFIX
それぞれ、モデルや設定ファイル(reward_function.py、hyperparameters.json、model_metadata.json)を格納するS3バケットを定義します。

■DR_LOCAL_S3_PRETRAINED
新規でモデルを作成するか、クローンでモデルを作成するかを定義します。「True」を選択した場合は、クローンでモデルを作成し、「False」を選択した場合は新規でモデルを作成します。

■DR_LOCAL_S3_PRETRAINED_PREFIX
クローンするモデルが格納されているフォルダを定義します。
※「DR_LOCAL_S3_PRETRAINED」で「True」を選択した場合に有効

ここからはトレーニングを実施するにあたって、検討が必要なパラメータについて説明します。

■DR_TRAIN_BEST_MODEL_METRIC
学習時の評価として、「完走率」を重視するか、「報酬」を重視するかを定義します。「完走率」を選択した場合は完走率が高いモデルがBestモデルとして評価されます。逆に「報酬」を選択した場合は「報酬が高い」モデルがBestモデルとして評価されます。学習を実施するにあたって、どちらを選択するかによって評価が変わるため、検討が必要です。

■DR_LOCAL_S3_PRETRAINED_CHECKPOINT
上述の「DR_LOCAL_S3_PRETRAINED」で「True」に設定した場合、クローンするモデルの「Best」モデルをクローンするのか、「Last」モデルをクローンするのかを定義します。どの時点のモデルをクローンするかによって結果も変わりますので、どちらで設定するか検討しましょう。

■DR_TRAIN_CHANGE_START_POSITION
トレーニング中のスタート地点をラウンドロビンさせるかどうかを定義します。「True」にした場合は開始位置を変化しながら学習が進みます。「False」にした場合は、トレーニング中のスタート地点は固定となります。

■DR_TRAIN_ROUND_ROBIN_ADVANCE_DISTANCE
ラウンドロビンでスタートラインを変更させる際に、エピソード毎にどの程度進めるかを定義します。設定値は0-1の間の値を設定します。例えば、「0.1」という値を設定した場合は、エピソード毎にトラックの10%ずつ開始位置が変更されます。

image.png

■DR_TRAIN_START_POSITION_OFFSET
エピソードの最初のスタートラインをどこに設定するかを定義します。「0」を設定した場合は、トラックのスタートラインから開始され、「0.1」を設定した場合は、トラックの10%進んだ場所がスタートラインとなります。

その他いくつか必要に応じて活用する可能性があるパラメータについて説明します。

■DR_TRAIN_ALTERNATE_DRIVING_DIRECTION
エピソードごとに時計回りと反時計回りに交互に運転するかどうかを定義します。「True」を選択した場合は、エピソードごとに時計回りと反時計回りを交互に運転します。

image.png

■DR_ENABLE_DOMAIN_RANDOMIZATION
エピソードごとに異なる環境の色と照明を変更させるかを定義します。「True」に設定した場合、環境の色と照明が変更します。モデルをロバストにしたい場合に活用します。

まとめ

今回はDeepRacerのローカルトレーニングについて、主要なパラメータに絞ってご説明をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか。他にもいくつものパラメータが存在しますが、よく検討すべきパラメータについてご説明させていただきました。
トレーニングを実施して、速く走らせるためには、1つ1つのパラメータも理解しつつ、適宜必要なパラメータについて、設定を変更していく必要があります。自身の学習状況を確認しながら、各パラメータの設定について検討いただければと思います。
Deepracerはアクションスペース、報酬関数、ハイパーパラメータに加えてこのような環境面でも検討することが出てきますので、試行錯誤を楽しみながら、ぜひレースに参加していただければと思います。

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