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DataRobotに非線形なデータを学習させてみたらどうなるか

Last updated at Posted at 2024-03-05

はじめに

はじめまして。社内でデータサイエンティストを務めております @nttd-dakimoto です。

NTTデータ デザイン&テクノロジーコンサルティング事業本部では、お客様企業のAI・データ活用を、コンサルティングから基盤構築、実行支援を通じた成果創出までワンストップで創出しており、その支援テクノロジーの一つとして DataRobot を提供しております。

DataRobot は最適なモデルを自動的に選択する AutoML 機能を備えていますが、三角関数や指数関数等の非線形なデータを学習させた際に、どのようなモデルを選択し、特徴量がどう解釈されるのか本記事では見てみたいと思います。

DataRobotについて

DataRobot社は、人工知能(AI)に対するユニークなコラボレーション型のアプローチであるバリュー・ドリブン AIのリーダーです。

DataRobot社の製品であるDataRobotは、自動機械学習(AutoML)プラットフォームであり、機械学習モデルの構築、トレーニング、評価、デプロイメントを自動化することができます。複雑なデータ分析を迅速かつ簡単に実行し、優れた予測モデルの作成をサポートすることが可能です。

データの準備

今回のデータは簡単に Excel で作成しました。

  • データ件数は200件
  • 各特徴量 X_0, X_1 は区間 [0, 10] の一様分布に従い乱数生成(rand()*10)
  • e を平均0, 標準偏差0.1の正規分布に従う乱数(NORM.INV(RAND(), 0, 0.1))とし各関数に加算する
    image.png

DataRobot での学習の前提

DataRobot では、GUI 上の操作から簡単に最適なモデルでの学習が可能ですが、今回は下記条件を画面上で指定して行いました。

  • 学習に使う特徴量は X_0, X_1 の二つとする
    • X_1 は目的変数には関連のない特徴量となっている
  • 学習・評価指標は RMSE を共通で用いる
  • DataRobot 上のクイックモードで自動学習

まずは線形データ

下記数式に従うデータを学習させてみます。

\begin{eqnarray}
Y = 2X_0 + e \\
\end{eqnarray}

最適なモデルとして、下記のように Elastic-Net Regressor が選ばれました。きちんと線形モデルを解釈できてそうです。
image.png
また特徴量ごとの作用で、特徴量のインパクトおよび部分依存(Partial Dependence)を見てみると、X_0 のみが寄与しており、かつ X_0 に対する傾き2の線形予測になっていそうです。
image.png
しかし実際に Elastic-Net Regressor の STANDARDIZED X_0 に対する係数の表示を見てみますと、6近い値になっていました。
image.png
後からデータを振り返ってみると、X_0の標準偏差が2.92となっており、DataRobotの前処理での標準化で、標準偏差による除算を行っていますので、それと実際の係数2を考慮して上記のように6付近の係数になったと思われます。
また、他にもX_0のデータ品質にアラートがついており、ターゲットリーケージの可能性があることも教えてくれています。
image.png

正弦関数 sin

下記数式に従うデータを学習させてみます。

\begin{eqnarray}
Y = \rm{sin}(X_0) + e \\
\end{eqnarray}

すると今度は最適なモデルとして RuleFit Regressor が選ばれました。どうやらこれは各特徴量の場合分けに応じて、線形回帰の係数を足し引きしていくモデルのようです(参考)
image.png
下図のように予測したい X_0, X_1 が含まれる区間が複数あり、その係数を足し引きしていくことで、予測したい特徴量の係数が求まる仕組みのようです。
実際は X_1 は目的変数とは関連がないのですが、ここの係数では X_1 も少しばかり関連あるように学習されています。
image.png
特徴量ごとの作用を見てみると、X_1 の特徴量インパクトは少なく、また X_0 の部分依存を見てみると[0, 10]の区間では正弦波を描けています。
これを見ることで、目的変数と特徴量の関係が分かりそうです。
image.png
ここで [0, 10] 以外の区間がどうなるか気になったので、 $X_0 = 4 \pi, X_1 = 0$ として予測を実行してみました。結果は $-0.58487$ となり、正しい結果の $0$ とはかなり離れた結果になってしまいました。やはり場合分けによる回帰係数の決定では外挿には弱いようです。

指数関数 exp

下記数式に従うデータを学習させてみます。

\begin{eqnarray}
Y = \rm{exp}(X_0) + e \\
\end{eqnarray}

するとこの場合でも、RuleFit Regressor が選ばれました。
image.png
image.png
特徴量の部分依存を見てみると、 X_0 に対して指数関数に近いグラフは描けているようです。ただ 10 付近で傾きが減少しているので、10より大きい予測に対しては難しそうな印象です。
image.png

指数関数 exp を手動変換して再学習

上記指数関数の特徴量の部分依存から、 X_0 に対して指数関数に近い動きをすることが分かったという前提で、今回は事前に目的関数を対数化した上で学習をかけてみたいと思います。

image.png

DataRobot では上記のように特徴量を選択することで、簡単に変換を行うことができます。

ここでは log(exp(X_0)) と手動変換を行ったうえで再学習をさせてみます。

image.png

image.png

するとこれは単純な線形関係になるので、Elastic-Net Regressor が選ばれました。係数については、線形データの節でも触れたように正規化を考慮して、2.92 という値になっています。

image.png

特徴量の部分依存を見ても、指数関係は解消され、綺麗な直線が描けています。

まとめ

今回 DataRobot で非線形なデータを学習させてみましたが、最適なモデルが RuleFit Regressor となり、学習区間以外での予測は難しい印象でした。ただ、特徴量ごとの作用に現れる部分依存(Partial Dependence)のグラフを見ると、特徴量と目的関数との関連が分かるようになるので、これをもとに事前に対数変換等の手動変換を行うことで、より精度の高いモデルを作ることが可能になります。

当部のデータサイエンティストは、DataRobot によるモデリングのみでなく、その結果を適切に解釈し、お客様のためにモデル精度を向上する支援も行っております。

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