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シローの定理の偉大さ

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プログラムの話題はありません。数学の話題のみです.

シローの定理とは

シローの定理とはシローさんが発見した有限群論の定理たちの総称です.
その中で僕が一番好きなのは
$p_i\in \mathbb{P}$とする.$ |G|=p_{1}^{e_1}p_{2}^{e_2}\cdots p_{k}^{e_k}$であるとき
位数$p_{i}^{e_i}$である部分群が存在する
という存在定理です.

なぜ存在定理がよろしいのか

逆ではないのですが定理の逆に似ているラグランジュの定理というのがあります

ラグランジュの定理

群$G$に対して部分群が存在すればその部分群の位数は元の群の位数を割り切る
というのをラグランジュの定理といいます.
しかしこれはあくまで「存在すれば」であって存在性を言及しているわけではありません.
群に部分群が存在するかどうか。有限群論を分類するうえで避けては通れない問題のヒントにはなりますが解決にはならないんですね.

シローの定理を使わずに部分群が存在することを示してみよう

実際やってみましょう
命題
$|G|=6$とする. 位数$3$となる部分群$H$が存在することを示せ.

pf
もし存在すれば$H$は巡回群である(素数位数のため)
なので$\operatorname{ord}(g)=3$となる$g \in G$が存在することを示せばよい.
$\operatorname{ord}(g)$は$|G|$の約数であるため可能性としては
$\operatorname{ord}(g)=1,2,3,6$のいずれかである

$\operatorname{ord}(g)=1$となるものは単位元しか存在しない
$\operatorname{ord}(g)=3$となるものが存在すれば解決
$\operatorname{ord}(g)=6$となるものが存在すれば,$\operatorname{ord}(g^2)=3$であるため解決
そのため
$G=\{1,a,b,c,d,e\}$
かつ
$\operatorname{ord}(a)=\operatorname{ord}(b)= \cdots =\operatorname{ord}(e)=2$
となる群$G$が存在しないことを示せばよい.

このような$G$が存在したとしよう.
単位元を除く各元の$\operatorname{ord}$は2なので
$ab=c$を満たすとする($a,b,c,d,e$は置換すればよろしいのでなんでもよい)
また
$a=a^{-1}, b=b^{-1}, \cdots, e=e^{-1}$なので
$a=cb, b=ac$を満たす.
さらに
$(ab)^2=c^2=1$より
$ab=b^{-1}a^{-1}=ba$が成立.同様に考えると$a,b,c$は任意の二元で可換である.
これを考えると
集合$\{1,a,b,c\}$は$G$の演算で群をなす.(可換なので結合則は良い.単位元はある.逆元は自分自身)

よって$\{1,a,b,c\}$は$G$の部分群だ.

しかし$|G|=6, |\{1,a,b,c\}|=4$であり4は6の約数ではない.

これは矛盾である

よってこのようなGは存在せず位数6の群には$\operatorname{ord}=3$となる$g \in G$が存在する.

そのような$g \in G$で生成された最小の部分群$\langle g \rangle$は位数3の$G$の部分群である

シローの定理を使わない感想

マジでだるい.本当にだるい.
位数6という単純な群でこれです.
そりゃシローの定理はちやほやされますよね。

これだけですがシローの定理の偉大さがなんとなくわかった気がします.

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