ディスク I/O の可視化(ビジュアライゼーション)
理解のために小咄形式でまとめました。
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登場人物
- 太郎(後輩):入社1年目の若手エンジニア。
- 花子(先輩):システムエンジニア歴3年の先輩。
場面:オフィスのホワイトボード前
太郎がパフォーマンスデータを分析しながら、花子に質問する。
太郎:「花子先輩、ディスク I/O のパフォーマンスデータを iostat
や sar
で取得したんですが、数値だけだといまいち 全体の傾向
がつかめません。どうすればいいでしょう?」
花子:「いい質問ね。 ビジュアライゼーション(可視化)
を使うと、 数値の羅列
では分かりにくい 異常や傾向
を一目で把握できるわ。」
可視化(ビジュアライゼーション)の解説
花子:「ビジュアライゼーションには、 データのパターンや異常を見つける
のに適したいくつかの種類があるの。特に ディスク I/O の分析
では次の 5 つが役立つわ。」
- 折れ線グラフ
- レイテンシ散布図
- レイテンシヒートマップ
- オフセットヒートマップ
- 使用率ヒートマップ
1. 折れ線グラフ
花子:「折れ線グラフ
は 時間経過による変化
を見るのに適しているわ。」
- IOPS(1秒間の I/O 数) や スループット(データ転送量) を時間ごとにプロットする。
- システムの負荷の変化や、
突発的なスパイク(急激な負荷増加)
を視覚化できる。
太郎:「ってことは、 深夜に IOPS が急増している原因
を探るのに役立ちそうですね!」
2. レイテンシ散布図
花子:「レイテンシ散布図
は、 I/O の応答時間(レイテンシ)
の分布を見るのに便利よ。」
- 横軸:時間
- 縦軸:I/O のレイテンシ(ミリ秒単位)
「これをプロットすると、 高レイテンシの I/O が特定の時間帯に集中しているか
や、 外れ値(異常に遅い I/O)
がすぐ分かるわ。」
太郎:「なるほど、 一部の I/O だけ異常に遅い
というケースを発見しやすくなるんですね!」
3. レイテンシヒートマップ
花子:「レイテンシヒートマップ
は 長時間のデータ
を 一目で把握できる
のが特徴よ。」
- 色の
濃淡
でレイテンシの大小
を表現する。 - 例えば、
1日 24時間分のデータ
を縦方向に時間、横方向にレイテンシ
として可視化する。
「これなら 特定の時間帯にだけ遅延が発生している
という 隠れたパターン
も見つけられるわ。」
太郎:「確かに ヒートマップ
なら 全体の傾向
が一目で分かりますね!」
4. オフセットヒートマップ
花子:「オフセットヒートマップ
は ディスクのブロックごとのアクセスパターン
を可視化する手法よ。」
- 横軸:ディスクのオフセット(ブロックアドレス)
- 縦軸:時間
- 色:アクセス頻度(濃いほど多い)
「これを使うと 特定の範囲だけが頻繁にアクセスされている
ことが分かるの。」
太郎:「例えば、 データベースの特定のテーブルだけが集中的にアクセスされている
ことが可視化できるんですね!」
5. 使用率ヒートマップ
花子:「使用率ヒートマップ
は CPU や I/O デバイスの使用率の変化
を見るのに使うわ。」
- 横軸:時間
- 縦軸:デバイスや CPU コア
- 色:使用率(赤=高負荷、青=低負荷)
「例えば CPU の 1コアだけが異常に負荷が高い
場合、それが I/O のキュー待ちが原因か
を分析できるの。」
太郎:「たしかに リソースの偏り
を見つけるのに役立ちそうですね!」
花子:「これらの 可視化手法
を 交通監視システム
に例えると分かりやすいわ。」
-
折れ線グラフ → 高速道路の交通量の変化
時間ごとにどれくらいの車が通ったか?
-
レイテンシ散布図 → 渋滞発生の場所と時間
どの時間帯・場所で渋滞が発生しているか?
-
レイテンシヒートマップ → 都市全体の渋滞状況
どのエリアが恒常的に混んでいるか?
-
オフセットヒートマップ → 駐車場の混雑状況
特定の区画だけ満車になっている?
-
使用率ヒートマップ → 交差点ごとの混雑具合
どの信号がボトルネックになっている?
太郎:「なるほど! ビジュアライゼーション
は データの渋滞解析
みたいなものなんですね!」
まとめ
花子:「数値だけでは見えなかった ボトルネックや異常なパターン
を発見するために、 適切なビジュアライゼーション
を活用するのが重要よ。」
太郎:「ありがとうございます! Grafana
で 折れ線グラフ
と ヒートマップ
を作って、 ディスク I/O の傾向
を分析してみます!」
参考リンク
システムパフォーマンス関連記事の目次
システムパフォーマンス関連記事は、以下の書籍を参考に記述しています。