はじめに
野村総合研究所(以下NRI)では、社内のコミュニケーションツールとして、1万名以上がチャットを活用し業務を行っています。
- どんな業務にチャットを活用しているのか?
- どんなコミュニケーションの仕組みになっているのか?
- 何のツールを使っているのか?
などなど、これまで展開にあたって得られた知見を惜しみなく、みなさまに共有していくシリーズです。
NRIがチャットツールに求めた3つの要件とは?
さて早速ですが、第1回はこちらのタイトルでお送りしたいと思います。
ズバリ、弊社が求める要件はこの3つでした。
- 情報セキュリティが十分に確保できること
- コミュニケーションの範囲を統制できること
- カスタマイズ性が高いこと
当たり前のことじゃないか!時間の無駄!と思った方、そう言わず是非内容まで読んでいただければと思います。
なお更に当たり前のこととして、「ユーザビリティが高いこと」、「大規模な人数で利用可能なこと」などもあるのですが、ご紹介するには当たり前すぎるのでここでは省略します。
1. 情報セキュリティが十分に確保できること
弊社のお客様には金融や証券会社のお客様もいらっしゃいますので、非常に重要な要件です。
セキュリティの考え方はさまざまあると思いますが、特に下記がポイントでした。
- データが日本国内に保管され、正しく運用されていることが保証されていること
- アクセス元制限が行え、必要なユーザのみ接続できること
- (できれば)社内のネットワークからインターネットを経由せずに使えること
3点目の「社内のネットワークからインターネットを経由せずに使えること」については、可能な限り実現しておきたいポイントでした。
弊社では多くのプロジェクトで開発を外部のパートナー会社に委託していますが、多くの委託先拠点からはインターネットに接続することはできません。(※)
サービスの利用にインターネット接続が前提となってしまうと、こういった開発形態を取っている多くのプロジェクトで利用できなくなってしまうため、実現したいポイントの1つでした。
※各拠点とはNRIと専用線で接続し、入退室管理を行うなど、情報が持ち出し・持ち込み出来ないよう管理しています
2. コミュニケーションの範囲を統制できること
タイトルだけでは分かりづらいので、下図をご覧ください。
基本的には、プロジェクトを円滑に進めるためのツールですので、プロジェクト内でのコミュニケーションは問題有りません。ただし、異なるプロジェクト間でのお客様同士の会話、委託先パートナー同士の会話は制限出来る必要がありました。
特にお客様については、弊社とお付き合いがあるかどうかも外部に公開できないため、お名前も表示されないことが重要です。
プロジェクトとしてのコミュニケーションに加え、弊社内社員同士の、組織としてのコミュニケーションツールとしての活用も考えていました。社内でのコミュニケーションも情報統制が必要で、下図のようになっています。
本部全体や(図には有りませんが)会社全体でのコミュニケーションは出来るようにしつつ、部内限の情報や本部内限の情報を外部から見られないようにうまく制限できる必要もありました。
こういった2軸のコミュニケーションを実現しつつ、ツールの乱立を防ぎ、ワンストップで横断的なコミュニケーションを提供できるソリューションを模索していました。
3. カスタマイズ性が高いこと
最後はカスタマイズ性です。チャットとしての基本機能だけを使っている限りは、どのツールを利用しても大きな違いは無いかと思います。業務での活用が進み、検討されるにつれ、既存の社内システムと連動させたり、独自の機能を付加したりなど、カスタマイズの要件が発生します。
こうした要件に対して柔軟に対応できるカスタマイズ性をもったソリューション・ツールをNRIでは求めていました。
実際にNRIでは、いくつものカスタマイズを加えて業務で活用していますので、今後のシリーズでご紹介いたします。
まとめ
NRI独自の事情も多少ありますが、みなさまの会社にも当てはまる部分を少しでも感じて頂ければ幸いです。
次回は、こういった要件から選定したチャットソリューションと、その構築についてご紹介予定です!