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Gaussの法則の証明

Last updated at Posted at 2023-10-08

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間違いがあるかもしれません.その都度指摘していただければ幸いです.

 Gaussの法則を立体角を用いて証明する.立体角についての説明は天下り的で,あまり正確なことは書けないが,感覚的にわかっていることをまとめた.

立体角

 まず,立体角について述べておく.立体角とは,二次元における角度の考えを三次元へ拡張したものである.はじめに,二次元における角度として単位円の円周を例に挙げよう.単位円における微小な円周の長さを$d\theta$とすると,円周は次式で求められる.

\int_{0}^{2\pi}d\theta=2\pi

当たり前ではあるが,こうなっている.また,これが立体角では次のような関係になっている.$S$は基準としている点を囲む球,$\Omega$は立体角である.

\int_{S}d\Omega=4\pi

ここでなんとなくわかるのが,二次元では微小角$d\theta$の積分により,単位円の円周が$2\pi$が求められたように,どうやら三次元では微小立体角$d\Omega$の積分によって単位球の表面積が求められた,ということである.

 立体角の公式として

d\Omega=\frac{dS}{r^2}

がある.この式を見ると,微小面積$dS$を点から微小面積までの距離$r$の二乗で割っているので,その値はどんな形の閉曲面でも単位球として考えたときと等しいことが分かる.

上図からも分かる通り,閉曲面内にある点から閉曲面を立体角の視点から見たとき,あらゆる方向で閉曲面は単位球としてとらえられるので,閉曲面$S$で積分してやれば$4\pi$となるわけだ.

 立体角を身近なもので例を挙げるとしたらプラネタリウムだろうか.宇宙の大きさや形は詳しくは分かっていないが,宇宙を,湾曲している箇所があったりする閉曲面内の空間だとする.しかし,プラネタリウムでは実際にその空間の形を再現しているわけではなく,(半)球に見える範囲の宇宙を投影しているわけである.

 つまり,立体角とは,囲んでいる閉曲面の形を問わず,ある点を指定したときに,そのある点が見えている範囲を,単位球に落とし込んで考えられる三次元の角度,なのである(と思っている).

Gaussの法則の証明

 さて,Gaussの法則を証明しよう.

上図のように,点電荷$q$が閉曲面で囲まれている場合を考える.このとき点電荷が$\boldsymbol{r}$に作る電場は

\boldsymbol{E}(\boldsymbol{r})=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}\frac{\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'|^3}

である.両辺に$d\boldsymbol{S}$の内積をとると,

\boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{S}=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}\frac{(\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}')\cdot d\boldsymbol{S}}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'|^3}

となるが,ここで微小面積$d\boldsymbol{S}$の法線ベクトルを$\boldsymbol{n}$,そのベクトルと電場$\boldsymbol{E}$のなす角を$\theta$とすると,

\boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{S}=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}\frac{\boldsymbol{n}\cdot d\boldsymbol{S}}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'|^2}
=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}\frac{dS\cos\theta}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'|^2}

ここで$dS\cos\theta$を$dS'$と置くと,

\boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{S}=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}\frac{S'}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'|^2}

となる.ここで立体角を用いる.$d\Omega=\frac{dS}{|\boldsymbol{r}-\boldsymbol{r}'|^2}$と置くと,

\boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{S}=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}d\Omega

と変形できた.これより,

\int_S \boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{S}=\int_{単位球の表面全体}\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}d\Omega
=\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}\cdot 4\pi=\frac{q}{\varepsilon_0}

となり,示された.

また,点電荷が閉曲面内に存在しない場合,点電荷から出ている電場は閉曲面を貫かないか,閉曲面を二度貫いているかのどちらかである.(閉曲面に接していることは考えない.)閉曲面を面文化ない場合は自明的に

\int_S \boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{S}=0

である.閉曲面を二度$\boldsymbol{r_1}$と$\boldsymbol{r_2}$で貫いている場合,それぞれの法線ベクトルの向きからわかるように,$\cos{\theta}_1$,$\cos{\theta}_2$の正負が異なる.$\cos{\theta}_1>0$であったとすると,立体角は$d\Omega$と置けるが,そうすると$\cos{\theta_2}<0$となるので,こちらの立体角は$-d\Omega$となる.このことから,

\int_S \boldsymbol{E}\cdot d\boldsymbol{S}=\int_{単位球の表面全体}\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}d\Omega+\int_{単位球の表面全体}\frac{q}{4\pi\varepsilon_0}(-d\Omega)
=0

となり,閉曲面内に電荷が存在しない場合についても示された.

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