PHP で複数バージョンを切り替える方法は調べるとたくさん出てくるのですが、今回は Docker を利用してバージョンを切り替える方法を考えてみたのでご紹介します。
なお、今回は WSL の Ubuntu 22.04.1 LTS を使用します。
Dockerfile の作成
各バージョンの設定は Dockerfile によって管理します。
まずは Dockerfile を作成するためのディレクトリを作成します。
# 今回はホームディレクトリ直下に作成します
mkdir -p ~/docker-php
cd ~/docker-php
次に Dockerfile を作成します。今回は最新、8.1、8.0 の 3 種類です。
FROM php:latest
FROM php:8.1
FROM php:8.0
エイリアスの作成
今回は ~/.bash_aliases
に以下を追記します。
環境によっては ~/.bashrc
や ~/.bash_profile
となることもあります。
# Docker
# ファイル書き込みの際に root 権限にならないよう、ユーザを指定する
alias dkrun="docker run --rm -it -u $(id -u):$(id -g)"
alias dkrunroot="docker run --rm -it"
# PHP (docker)
DOCKER_PHP_DIR=~/docker-php
DOCKER_PHP_REPO=local/php
docker_php() {
version=$1
docker_tag=local/php:${version}
snake_case_version=$(echo "${version}" | tr '.' '_')
# イメージがない場合や、アップデートする場合はビルドする
if [ -z "$(docker images --quiet --filter=reference=${DOCKER_PHP_REPO}:"${version}")" ] || [ "$2" = "--update" ]; then
docker build --no-cache --pull --file ${DOCKER_PHP_DIR}/Dockerfile."${snake_case_version}" --tag "${docker_tag}" .
fi
# アップデートの場合はその後コマンドを実行しない
if [ "$2" = "--update" ]; then
return
fi
# コマンドを実行する
if [ "$2" = "bash" ]; then
dkrunroot -v "$(pwd)":/app -w /app "${docker_tag}" "${@:2}"
elif [ -z "$2" ]; then
dkrun -v "$(pwd)":/app -w /app "${docker_tag}"
else
dkrun -v "$(pwd)":/app -w /app "${docker_tag}" php "${@:2}"
fi
}
# 指定されたディレクトリにある Dockerfile の一覧を読み取り、エイリアスを設定する
# すでにインストールされている PHP と区別するために dphp と付けています。
for snake_case_version in "${DOCKER_PHP_DIR}"/Dockerfile.*; do
snake_case_version=$(echo "$snake_case_version" | rev | cut -d'/' -f1 | rev | sed 's/^Dockerfile\.//')
if [ "$snake_case_version" == "latest" ]; then
alias dphp='docker_php latest'
else
alias "dphp$(echo "$snake_case_version" | tr -d '_')=docker_php $(echo "$snake_case_version" | tr '_' '.')"
fi
done
追記が終わったら、シェルを再起動するか source ~/.bash_aliases
でエイリアスを読み込みます。
実行してみる
最新の PHP が実行できるか試してみましょう。
dphp --version
ビルドが始まり、以下のように PHP のバージョンが表示されれば OK です。
PHP 8.2.3 (cli) (built: Feb 14 2023 20:22:21) (NTS)
Copyright (c) The PHP Group
Zend Engine v4.2.3, Copyright (c) Zend Technologies
同様に dphp81 --version
と dphp80 --version
も試してみましょう。
拡張モジュールの追加
拡張モジュールを追加するには Dockerfile
を編集します。
今回は zip モジュールを追加してみましょう。
私が試した時点では zip モジュールは標準で入っていないので、以下のコマンドを実行しても何も出力されないはずです。
dphp -m | grep zip
引数に bash
を渡すことで、コンテナにログインし、必要なコマンドをリハーサルします。
dphp bash
コマンドが決まったら Dockerfile
へ追記します。
FROM php:latest
RUN apt update && \
apt install -y libzip-dev && \
docker-php-ext-install zip
イメージをアップデートします。
dphp --update
もう一度モジュールの存在を確認します。
dphp -m | grep zip
zip
と出てくれば zip モジュールがインストールされています!
アンインストール
PHP の特定バージョンをアンインストールする場合、Docker イメージを削除するだけです。
例えば 8.1 をアンインストールする場合は以下のコマンドを実行します。
docker rmi $(docker images --quiet --filter=reference=local/php:8.1)
キャッシュなども含めて完全に削除する場合は docker system prune
を実行してください。