試験仕様書の No. 列ごときでそんなに変わるかいな、と思う方もいらっしゃるかもしれません。
私の実体験に基づく記事なので、読み物的に読んでいただけると幸いです。
はじめに
システム開発をしていると、よく Excel やスプレッドシートで試験仕様書が作られると思います。
そこには操作や期待値など、試験項目に関する列がたくさん作られるのですが、よく作られるのが No. 列です。
以前、受託開発の会社にいたことがありましたが、そこでは試験仕様書が納品の対象となることもあったため、きちんとしたフォーマットで作ることが重要ともされてきました。
しかし、試験仕様書についての会話をするとき、この No. 列でコミュニケーションロスが発生することがよくありました。
試験仕様書の No. 列で起こったコミュニケーションロス
私が実際に体験したコミュニケーションロスを紹介します。
試験項目追加時に No. が変わり、過去のチャットがあてにならなくなる
No. 列を ROW() - n
などの数式で自動的に生成するのはよくある話かと思います。ROW
関数を使うということは Excel の行番号に依存しているわけですから、試験項目を途中の行に追加すれば当然 No. も変わります。
チャットで試験項目の話をするときに No. を使っていると、こういった試験項目追加の際に No. は頼りにならなくなり、後からチャットを確認する人がものすごい苦労します。
Excel の行番号とごっちゃになる
同僚「10 番目のテストケースのことについて聞きたいんだけど」
私「10 番目って、Excel の行番号の 10 ですか?それとも No. 10 のことですか?」
同僚「ごめんごめん、No. 10 の方だ」
これ自体にそれほどタイムロスは無いように思われますが、試験期間ともなるとこんな会話が 1 日に数回繰り広げられることもあるため、精神的にも疲弊してしまいました。
コミュニケーションロスを防ぐプラクティス 4 選
4 選と書きましたが、複数実践することで効果が高まる場合もあります。
おすすめ度を 3 段階で書きましたので参考にしてください。
【★★★】No. を値のみ貼り付けで固定化する
ROW() - n
などの数式で自動的に生成した番号部分をコピーし、同じ場所に「値のみ」で貼り付けます。
行追加をしても一度作成されたテスト項目にはずっと同じ No. がついています。これによって、ある日チャットでテストの番号を出して会話したものを、次の日になって他の人が見返したとしても仕様書との整合性が担保されます。
試験開始後に項目追加する際は「10-2」や「10.1」など、極力番号順を死守すると探しやすさをキープできます。
【★★☆】No. を行番号と同じにする・いっそ No. を書かない
No. 列の数式を ROW() - n
ではなく ROW()
にすることで、Excel の行番号と全く同じにします。そうすることで、人によって番号の呼び方が違ってもコミュニケーションロスになることがありません。
No. を書かないという暴挙に出ることもおすすめです。Excel が少し軽くなりますが、試験項目を追加されると番号がずれて一巻の終わりです。
【★★★】「No. なんとか」で会話するようにルールを決める
No. 列と行番号が異なっていても、会話するときに必ず No. を使うルールにすれば、それだけでコミュニケーションロスを削減することができます。
特に、納品した試験仕様書についてクライアントと会話をする場合、この方法は有効かと思われます。
【★☆☆】試験項目の内容で会話する
会話の際に No. ではなく「機能 A で操作 B する試験についてですが」とする方法です。これなら確かに番号で惑わされることもないし、No. を数式で書いたままでも十分伝わります。しかし、
長い。 🙃
難点としては、チャットだと文字数が増えて煩わしいのと、試験内容の熟知・試験項目の配置場所の記憶が必要になるところです。テスト作成者同士の会話ならギリ耐えるかもしれませんが。