クルマのE/E(Electrical/Electronic)アーキテクチャーについて概要をまとめたものです。
ECU(電子制御ユニット)は、個別の機能ごとに装備されていましたが、近年のAD(自動運転)/ADAS(先進運転支援システム)をはじめとしてクルマには新しい機能が追加され続け,その数は100を超えるといわれています。ECU数の増加とともに電源線や通信線といったワイヤーハーネスも増加し,重量や配索コストが課題となってきました。そのため,現在の車両アーキテクチャは,ある程度まとまった機能(ドメイン)ごとに集約・統合し,ECUやワイヤーハーネス数を削減する「ドメイン型アーキテクチャ」が主流となっています(図中真ん中のもの)。ボディー系、パワートレーン/シャシー系、IVI/HMI(Human Machine Interface)系、ADAS/AD系の各ドメイン毎にECUを統合したものです。
次世代のE/Eアーキテクチャーでは,さらにドメイン間の統合を進めた「ゾーン型アーキテクチャ」が主流になると考えられています(図中右のもの)。TESLA Model3が発売された当時、これを解体したとき汎用ECU3個+自動運転AD/ADAS用ECU1個の合計4個しかなく関係者を驚愕させたものです。ゾーンアーキテクチャは,ドメインをまたがる機能が統合実装されたCentral ECU(下図)と,車両の前後や左右といった場所ごとでドメインに依存しないで情報収集するZone ECU(下図)で構成されます。このようなECUの配置/配線を最適化することでハーネストも削減でき25-50%コストを低減できるといわれています。統合ECU では従来の単体ECUよりハイ・スペックなものが要求されHPC(High Performance Computing)等も利用されます。
Central ECUでは,SDVアーキテクチャー上ではShared Servicesに該当するもので5G/V2X通信機能、OTA更新などの機能が実装され、車載ネットワークのルーター機能をつかさどるとともに異なるドメイン間での情報集約・統合制御が可能となるため,個別ドメインのみでの制御では困難だった新しい車両運動制御や,複合情報を用いた車両診断を実現できます。
参考情報
https://news.mynavi.jp/techplus/kikaku/20210806-1936988/