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マストドン運営に必要なデイリータスクとキャッシュ削除タスクを cron ジョブに登録する

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はじめに

マストドンを運営する上で非常に重要な購読処理の実行や不要な画像キャッシュを削除する作業を cron ジョブで自動的に実行する方法を紹介します。

:warning: この記事ではマストドンの構築に Docker を使用していることを前提としています。Docker を使用していない場合はこちらを参考にして適宜ジョブの内容を読み替えてください。

デイリータスクとは

マストドンは、相手のインスタンスにデータをプッシュするときに、相手のサーバがエラー系のステータスコードを返却すると、購読を解除する仕組みになっています。購読が解除されると、そのインスタンスに属するユーザがトゥートをしてもそれが自分のインスタンスに表示されなくなってしまいます。

それを解消するために購読が切れてしまったインスタンスを再購読するためのコマンド mastodon:daily が用意されています。これを定期的に実行することで特定のインスタンスのトゥートが表示されないという問題を解消できます。

一時的にメンテナンス等でサーバがダウンしていて、購読が切られてしまったインスタンスは基本的には相手のインスタンスが再購読を行ってくれるのを待つしかないです。なので「再購読のためのタスクを定期的に実行することはインスタンス管理者の義務である」と言及している人もいます。マストドン管理者全員が再購読のタスクを定期的に実行することが望ましいです。

購読に関する詳細な仕組みや現象については「Mastodon でリモートインスタンスから自分のトゥートがみえなくなることがある」を参考にしてください。

キャッシュ削除タスクとは

マストドンは、他のインスタンスの画像を含むトゥートが自分のインスタンス(の連合タイムライン)に流れてくると、その画像のキャッシュをサーバに保存します。

つまり、何もせずに放置しているとサーバのディスクが他のインスタンスの画像ファイルで溢れかえってしまいます。僕自身もそれを知らずにマストドンを運営していたら、他のインスタンスの画像のキャッシュが、最大で 5GB 以上たまってしまいました。

この問題を解消するために、マストドンでは 1 週間以上前の他のインスタンスの画像キャッシュをまとめて削除する mastodon:media:remove_remote タスクが用意されています。これを定期的に実行することでサーバのディスクが、不要な画像ファイルで溢れかえるのを防ぐことができます。

これらのタスクは、手動で実行することもできますが、定期的に実行するものなので、cron を使用して自動で実行させるのが一般的です。ただ単に cron を登録すれば良いのですが、ログを取ったりそのログを綺麗に整形したほうが良いと考え、僕が実際に登録している cron ジョブをここで紹介しようと思います。

TL;DR

~/.cron/root_cron.conf を作成し、以下を書き込む

root_cron.conf
00 18 * * * echo "" >> /home/username/.log/mastodon/daily.log && cd /path/to/mastodon && date >> /home/username/.log/mastodon/daily.log && /usr/local/bin/docker-compose run --rm web rake mastodon:daily >> /home/username/.log/mastodon/daily.log 2>&1

30 18 * * 0 echo "" >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log && cd /path/to/mastodon && date >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log && /usr/local/bin/docker-compose run --rm web rake mastodon:media:remove_remote >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log 2>&1

以下のコマンドを実行する

$ mkdir -p ~/.log/mastodon
$ touch ~/.log/mastodon/daily.log
$ touch ~/.log/mastodon/remove_remote.log
$ sudo crontab < root_cron.conf
$ sudo crontab -l

ジョブの登録と確認

以下の手順に沿って説明します。

  1. ジョブの内容をファイルに保存
  2. ログファイルの生成
  3. ジョブの登録
  4. ジョブが自動実行されているか確認

ジョブの内容をファイルに保存

cron にジョブを登録するには crontab コマンドを使用します。直接 crontab コマンドを実行して登録したいジョブを書き込んでも良いですが、コマンドを誤ってうっかり削除してしまうとリカバリーが面倒なので、ファイルに、登録するジョブを書き込んで、それを crontab で読み込ませるようにします。

まずは適当な場所に適当な名前でファイルを作成します。僕の場合はホームディレクトリ以下に .cron というディレクトリを作り、その中に root_cron.conf というファイル名で登録しています。拡張子は適当なので、好きにつけてください。つけなくても良いです。

作成したファイルに以下の内容を書き込みます。

root_cron.conf
00 18 * * * echo "" >> /home/username/.log/mastodon/daily.log && cd /path/to/mastodon && date >> /home/username/.log/mastodon/daily.log && /usr/local/bin/docker-compose run --rm web rake mastodon:daily >> /home/username/.log/mastodon/daily.log 2>&1

30 18 * * 0 echo "" >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log && cd /path/to/mastodon && date >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log && /usr/local/bin/docker-compose run --rm web rake mastodon:media:remove_remote >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log 2>&1

username にはユーザ名、/path/to/mastodon にはマストドンがあるディレクトリの絶対パスを指定します。

ログファイルの生成

上記の cron では、~/.log/mastodon 以下にある daily.logremove_remote.log というファイルにそれぞれデイリータスクとキャッシュ削除タスクのログを書き込むようにしています。そのため ~/.log/mastodon というディレクトリと daily.log, remove_remote.log ファイルを事前に作成しておきます。

$ mkdir -p ~/.log/mastodon
$ touch ~/.log/mastodon/daily.log
$ touch ~/.log/mastodon/remove_remote.log

保存するログの出力先を変更したい場合は、cron ジョブの、該当するリダイレクト先と、作成するディレクトリ、ファイルを読み替えてください。

ジョブの登録

先ほどファイルに保存した cron ジョブの内容を cron を登録させます。

$ sudo crontab < root_cron.conf

ここで注意すべき点は、必ず root で実行することsudo をつけること)です。マストドンの環境を Docker コンテナ内に作っている場合は、タスクの実行(docker-compose コマンドの実行)に root 権限が必要になります。sudo をつけずに cron を登録してしまうと一般ユーザで登録され、cron ジョブの実行も一般ユーザとして実行されることになり、タスクの実行時に権限がないと怒られてしまいます。

:boom: ここでは root ユーザとしてジョブを登録していますが、実は一般ユーザでも実行できることがわかりました。詳しくは以降の「補足: ジョブを一般ユーザとして実行したい場合」を参照してください。

root で cron ジョブが登録されたかどうかは以下のコマンドで確認できます。

$ sudo crontab -l

先ほどファイルに書き込んだ内容が登録されていれば OK です。

なお、今後登録するジョブを登録したり変更したりする場合は root_cron.conf を編集してから crontab コマンドを実行すれば良いです。

ジョブが自動実行されているか確認

これで cron ジョブが自動実行されているはずです。上記のジョブは、毎日 18:00 にデイリータスクを実行し、毎週日曜日の 18:30 にキャッシュ削除タスクを実行します。

実行する日時を変更したい場合は root_cron.conf00 18 * * *30 18 * * 0 の箇所を変更してください。数値の詳細に関しては「crontabの書き方」を参考にしてください。

ただし、デイリータスクはその名の通り、1 日に 1 回、キャッシュ削除タスクは、1 週間以上の前の画像キャッシュを削除するので 1 週間に 1 回、実行するのが望ましいです。これ以上多くても 1 週間以内に保存されたキャッシュは削除されませんし、サーバの負荷も大きくなるのでおすすめしません。

また、デイリータスクとキャッシュ削除タスクが同時に実行されてしまうと、重くなったりコンフリクトが発生したりするので 18:00 と 18:30 のようにずらして登録してください。

~/.log/mastodon 以下の daily.logremove_remote.log に以下のようなログが書き込まれていればタスクが正常に実行されています。

daily.log
Wed Apr 26 18:00:01 JST 2017
Scoped order and limit are ignored, it's forced to be batch order and batch size.

...省略...

Sat Apr 29 18:00:01 JST 2017
Scoped order and limit are ignored, it's forced to be batch order and batch size.
[paperclip] deleting /mastodon/public/system/media_attachments/files/000/002/692/original/3cb794783b704c96.png
[paperclip] deleting /mastodon/public/system/media_attachments/files/000/002/692/small/3cb794783b704c96.png

...省略...

Sat May  5 18:00:01 JST 2017
Starting mastodon:feeds:clear at 2017-05-06 09:00:06 UTC
Starting mastodon:media:clear at 2017-05-06 09:00:07 UTC
Scoped order and limit are ignored, it's forced to be batch order and batch size.
[paperclip] deleting /mastodon/public/system/media_attachments/files/000/004/650/original/d7d4c6d098ec93bc.jpeg
[paperclip] deleting /mastodon/public/system/media_attachments/files/000/004/650/small/d7d4c6d098ec93bc.jpeg
Starting mastodon:users:clear at 2017-05-06 09:00:07 UTC
Starting mastodon:push:refresh at 2017-05-06 09:00:07 UTC
Completed daily tasks at 2017-05-06 09:00:09 UTC

...省略...

Sun May  7 18:00:01 JST 2017
Starting mastodon:feeds:clear at 2017-05-07 09:00:07 UTC
Starting mastodon:media:clear at 2017-05-07 09:00:08 UTC
Scoped order and limit are ignored, it's forced to be batch order and batch size.
Starting mastodon:users:clear at 2017-05-07 09:00:08 UTC
Starting mastodon:push:refresh at 2017-05-07 09:00:08 UTC
Completed daily tasks at 2017-05-07 09:00:11 UTC

...省略...
remove_remote.log
Sun Apr 30 18:30:01 JST 2017
Scoped order and limit are ignored, it's forced to be batch order and batch size.
[paperclip] deleting /mastodon/public/system/media_attachments/files/000/000/010/original/6dfab2d9963d2811.mp4

...省略...

Sun May  7 18:30:01 JST 2017
Scoped order and limit are ignored, it's forced to be batch order and batch size.
[paperclip] deleting /mastodon/public/system/media_attachments/files/000/001/692/original/e185ed8b82d34407.jpeg

...省略...

ログの内容が "command not found" の場合

ここで紹介したジョブは、docker-compose のインストール先を /usr/local/bin/docker-compose としています。docker-compose コマンドのインストール手順によっては別の場所にインストールされている可能性があります。docker-compose がどこにインストールされているかを以下のコマンドで確認して、異なっていた場合は、docker-compose のパスを変更してください。

$ which docker-compose
/usr/local/bin/docker-compose  # これじゃない場合は root_cron.conf の該当箇所を変更

補足: ジョブを一般ユーザとして実行したい場合

cron ジョブを実行したいユーザを docker グループに追加すれば、root 権限なしでも docker-compose コマンドを実行できる、ということをコメントやマストドンのリプライで教えていただきました:pray:

ユーザを docker グループに追加するには以下のコマンドを実行します。

$ sudo usermod -aG docker $USER

環境変数 $USER は、上記コマンドを実行するときのユーザなので、cron ジョブを登録したいユーザが、現在ログインしているユーザと一致していれば、上記コマンドをそのまま実行してください。別のユーザとして cron ジョブを実行したい場合は、$USER の箇所を変更してください。

ユーザが docker グループに追加されたことを確認するには、以下のコマンドを実行します。

$ id $USER
uid=1000(username) gid=1000(username) groups=1000(username),991(docker)

docker が追加されていれば OK です。

なお、即座には反映されないので、一旦シェルを抜けて再ログインするか、シェルを再起動してください。

これで、このユーザでは docker コマンドや docker-compose コマンドが root 権限なし(sudo なし)で実行できるようになりました。あとは、ファイルに保存した cron ジョブを、root ではなく、docker グループに属するユーザで登録してあげれば良いです。

$ crontab < root_cron.conf

先ほどの例では sudo 必須と言っていましたが docker グループに属しているユーザで登録したいので、今回は sudo をつけずに実行します。(こうなると root_cron.conf というファイル名は不適切ですが、大目に見てください:sweat_drops:

登録されたことを確認するには、以下のコマンドを実行します。

$ crontab -l

ちなみに、root でも登録してしまった場合はジョブの実行が被ってしまいますので、root からは削除する必要があります。以下のコマンドは同じジョブを root でも登録してしまった人のみ実行してください。

$ sudo crontab -r

削除されていることを確認するには以下のコマンドを実行します。

$ sudo crontab -l
no crontab for root

教えていただいて気づきましたが、一般ユーザで実行したほうが、セキュアですし、今後 docker, docker-compose コマンドを使用するときにも便利なので、こちらのほうが良いかもしれませんね。

補足2: デイリータスクの必要性について

v1.4.x からデイリータスクは Sidekiq が代わりに行ってくれるようになりました。そのためデイリータスクを自分で(cron で)実行する必要はなくなりました。v1.4.1 以降のバージョンの場合はデイリータスクを cron ジョブから外しても大丈夫です。

root_cron.conf
- 00 18 * * * echo "" >> /home/username/.log/mastodon/daily.log && cd /path/to/mastodon && date >> /home/username/.log/mastodon/daily.log && /usr/local/bin/docker-compose run --rm web rake mastodon:daily >> /home/username/.log/mastodon/daily.log 2>&1

30 18 * * 0 echo "" >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log && cd /path/to/mastodon && date >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log && /usr/local/bin/docker-compose run --rm web rake mastodon:media:remove_remote >> /home/username/.log/mastodon/remove_remote.log 2>&1

キャッシュ削除タスク(remove_remote)に関しては Sidekiq は行ってくれないのでそのまま残しておいてください。

なお、冗長的ではありますが、v1.4.1 以降のバージョンでもデイリータスクを引き続き cron で実行しておいても問題はありません(現に僕のインスタンスでは、Sidekiq がちゃんとデイリータスクと同じ処理をやってくれているか不安なので、念のため cron でも実行しています)。不安な方はそのまま残しておいても良いですが、冗長性を好まない人や、cron でのデイリータスク実行中の CPU やメモリ使用量が気になる人は cron から外してください。

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参考サイト