眼の発生に関する遺伝子は、ショウジョウバエとマウスで共通である。ショウジョウバエの目の発生に関する遺伝子はマウスに目を発生させる。
ショウジョウバエは節足動物、マウスは脊椎動物で、動物としての系統が大きく異なります。昆虫は複眼・単眼の眼をもち、脊椎動物はレンズ眼をもっています。にもかかわらず、眼の発生に関わる遺伝子が共通に作用するということは、極めて不思議なことです。
カンブリア紀は、さまざまな生物が出現した時代です。
この本は、カンブリア紀に何が起こったのかを解き明かす本です。
その主張することは、生物が視覚をもったことが、生物の世界を大きく変えたということです。
ディープラーニング は機械に視覚を与えだした。
現在、ディープラーニングは、機械の分野に視覚というものを与えるという歴史的な変化を引き起こしつつあります。
従来は、監視カメラといってもその大半は画像を記録しているだけであって、画像情報を知覚しているものではありませんでした。それが顔検出(Viola-Jonesの論文の寄与が大きい。)や動き検出がカメラ自体の機能となりだしてだいぶ経過しています。それが今度はディープラーニングの進展によって、より多様な情報を知覚して、その場で自律的な判断を可能にする状況に達しています。
ディープラーニングの枠組みは、ほぼ共通の枠組みのまま、さまざまな認識内容を扱える汎用性の高い枠組みになっています。Viola-Jones由来の顔検出に特化した専用のハードウェアはそのままでは、人検出に利用することは(たいがいの場合)できません。しかし、ディープラーニングの枠組みは、同一の枠組みのまま、認識する内容を差し替えられる可能性が極めて高いのです。それが各社がディープラーニングに特化したアーキテクチャの開発にあたっている理由です。
例をあげれば、YOLO Real-Time Object Detectionというライブラリは、多数のカテゴリーのオブジェクトの検出を同時に行うライブラリです。顔検出用の専用ライブラリ、人物検出用の専用ライブラリがあって、それぞれが画像の縮小とRaster scanの実装をもっているというオーバーヘッドの大きい実装が昔はありました。それが汎用的なアプローチによってオーバーヘッドの少ない実装によって置き換えられうることを示しています。人物検出の精度が、人物検出に特化したものを上回るか、同等の水準になるかしたときには、人物検出専用の検出器という枠組みが過去のものになるのでしょう。
他に例をあげれば、OpenPoseのような人物のポーズを推定するライブラリもディープラーニングを利用して実装されている。このような人物のポーズを推定するには、Kinectのような特殊な装置を必要とするものだったが、単眼のカメラの1枚の画像から姿勢を推定するようになっています。
全てのものに安価な視覚(カメラの画像を元に判断する機能)が入ってくる。それは自動車だけではなく、自動販売機や、ドローン[1]や、携帯電話や、ディジタルサイネージ(広告用のディスプレイなど)[2]や、農業用の機器とありとあらゆるものに入ってくる可能性が生じてくる。今より10倍以上高性能がものが、今のものの1/10以下の価格で安く実現されて、社会が真っ向から変わってしまう可能性があるのです。
現時点での世界一、使い勝手がよくて、コストパーフォーマンスもいい製品が、視覚を持った製品にとって変わられる可能性がでてきたと言えるのです。
経験の伝承によってだけ伝えることができた検査方法は、人材の確保が困難になってきた時代においては、もはや伝承不可能なやり方になってしまってきているのです。目視検査や打音検査などの手法は、ディープラーニングに置き換えることで、技術の損失を防止しなければならないと思えるのです。
「眼の誕生――カンブリア紀大進化の謎を解く」は、ディープラーニングについては語っていません。 しかし、視覚がどのように世界を一変させたのは語っています。
ぜひ、この本は一読の価値があります。ぜひ本屋で手にとってみてください。
レビュー記事の1例「眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く」(http://zip2000.server-shared.com/eye.html)
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