2
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

More than 5 years have passed since last update.

技術は陳腐化しないうちに売りきろう

Last updated at Posted at 2018-06-21

ある時期ある企業で、第一線に達した技術があった。
他社の競合製品よりも良好な性能を出しているらしかった。
論文ベースで見る性能はそのようだった。
その技術を実装したリファレンスボードを購入して評価したいと思った。
担当の営業さんとコンタクトをとって説明を受けて、見積りをとった。

しかし、そのリファレンスボードを評価することはなかった。
リファレンスボードを購入するには数セット単位で購入する必要があった。
そうすると金額が100万円程度になってしまう。
そのため、購入を断念してしまった。

サラリーマン開発者が、自分の裁量でどうにかできる金額ではない。
既存のボードを置き換えることができるのかどうか、未知のボードを「うまくいきます」と言って購入・評価を推進しきる勇気はなかった。

そのボードを使い切るには、入手できる公開情報があまりにも少なかった。

  • NDAにがんじがらめなのか、そのボードを利用して何かを実行した情報は入手できなかった。
  • 使いたい機能がハードウェアブロックとして実装されている。その機能の使い方のサンプルコードなどもなかった。
  • CPUは、よくあるCPUとはかなり異なるものであるらしかった。
  • また、OSもよくあるタイプとは違っていた。

それらの理由のため、サラリーマン開発者は、その製品を利用する可能性を断念した。

それから数年後、世界的な技術の進展は、その技術を陳腐化させてしまった。

私見:

  • 技術には賞味期限がある。技術の優位性があるうちに売り切ることが必要だ。
  • 技術はユーザーコミュニティがあってこそ技術である。ユーザーコミュニティを作ることに失敗すれば、どんな優秀な技術であっても、普及しないままになってしまう。
  • 営業とコンタクトをとって見積りをとって、高価なボードを購入して、評価してみて、これを次の製品に使えるかどうか判断して、製品設計に主要な部品として選定させるのは、とても大変なことなのです。
  • 評価版を無料で利用できるようにしよう。開発に関わる情報を利用しやすくしよう。
  • 評価ボードが必要な場合には、価格を抑えて、提供しよう。開発者が評価・開発に着手しやすくすることが、量産に使いうる可能性を高めるのです。

次の記事のアプローチでは、技術を積極的に公開することによって、利用者のコミュニティを作ろうとする動きの一例になっています。

低コストFPGAで深層学習、コア技術をオープンソース化したベンチャーの狙い (1/2)

2
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
2
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?