日本の衰退を加速する6の方法
僕たちは、自分自身が豊かになると同時に、世の中も豊かになることを目指して、開発を行なっていると信じている。
長年、開発を続けているのに、日本の社会が豊かさを失い続けているのが悲しい。
誰かの仕事を奪うために仕事をしているんじゃなくて、みんなが豊かになるために仕事をしているんだ。(そうなれているかは別として)
技術は、程度の差こそあれ社会的な課題を解決するために存在する。腹をすかして死んじまったり、社会集団が子ども残せずに消えていってしまうことのないようにするために技術はあるだろう。
そうだとすれば、技術情報のサイトの中で、僕たちが解決していかなくちゃならない課題を述べても許されんじゃないかと思って書いている。
日本の衰退を加速していると思う6つの方法をメモしてみた。
1.空き家・老朽家屋の放置
- 空き家・老朽家屋が、都市部においても継続し続けている。
- 相続者の特定のために、多額の費用が発生している。
- マイナンバーがこの分野で(十分)活用されていないのが不思議である。
- あるべき姿:
- 若い世代が、それらを活用できること。
- 少ない価格でビジネスの拠点を創り出すこと
2.日本国内への投資の欠如
- 生産性を向上させるためには、投資が必要である。
- 投資をまったく行わないまま、生産性の向上が勝手に進むと思うのは愚の骨頂である。
- 事業を継続するためにも、工場のメンテナンスのためにも投資は必要である。
- 同様に、教育への公的な負担を行わないまま、優秀な卒業生が出てくると期待するのも愚の骨頂である。
3.納税者の手間という税金以外の負担をも強要する納税システム
例:年末調整の書類作成に2時間かかるとしよう。
- 日本の1,607時間。
- 2 h / 1607 h = 0.0012 = 0.12%
- それだけで、日本の労働時間の0.1 % を奪ってしまっていることを自覚しよう。
消費税とりわけインボイスシステム
- 1万円の税収のために、事業者が負担する事務手続きを金額換算するといくらになっているのだろうか
4.未来の労働者のスキルを低いままにする少なすぎる教育投資
- 「教育機関への公的支出割合、日本はワースト2位…OECDが発表」
- 企業は、新規に雇用した労働者が高い能力を持つことを期待する。
- 開発部門では、開発目標を実現するための深い洞察力もち、必要な技術を見いだして、自ら解決していく力のある応募者が応募してくれることを望む。
- 組織の総務・経理・人事などの部門でも、コンプライアンスをもって適切な業務の遂行をできるメンバーであることを期待する。
- 店舗でも、レジや商品の品出し・陳列などの作業を効率的にこなしつつ、店の印象を損なわないような対応が求められている。
- 未来の労働者の能力が不足すれば、企業の活動の水準は低下するだろう。
- OECDの各国に比べて、公的支出が少ない。
- そのため、教育が不十分な層が日本の中で増えていくことが懸念される。マニュアルにしたがって作業をするにも、マニュアルが読めずに、たくさんの勘違いをしたまま、間違えた作業をしてしまう危険が増えていく。
5.状況を悪くする結果をもたらす法律 雇い止めの誘発
- 無期労働契約への転換(第18条) が雇い止めを誘発しているのにもかかわらず、対策が取られていない。
- 「あの理化学研究所で97人雇い止め 10年ルール適用前に 降格、給与減、チーム解散も「こんな理不尽なことが」」
- 国の方針を反映させやすい国立研究開発法人であるのにもかかわらず、このような結果がでているのは、「まるでこのような結果にすることが、法令の改正の目的としていたのではないか」という疑念をまねきかねない。
6. 週の労働時間を10時間未満にさせる圧力が働くかもしれないままの制度変更
- 「厚生労働省が雇用保険の加入条件の一つとしている週の労働時間について、現行の「20時間以上」から「10時間以上」に緩和する方向で検討していることが分かった。」
- 雇用保険の制度がより広い人に恩恵を与えるようにしようと思っているのかもしれない。しかし、「制度は、良かれと思って作ればいい」わけではない。実際にその制度の結果がよいものになるように制度設計をしなければならない。
- 自動車の設計が「良かれと思って設計した」からといって、結果が事故を招くものだったら、製造者の責任が問われる。(例えば、人をひかない車にするために、人検出の見逃しを生じない方に極端にパラメータを振った運用をした結果、誤検出をして急ブレーキをかけて、その結果が事故につながったとしよう。そういう設計・実装はエンジニアが、製造業者がしてはならない。)
- だから、社会制度を設計し運用する人たちも、同様に悪い結果を引き起こさないように責任があることを承知してほしい。