異物検出は、何かと期待されている分野だと思う。
主旨
- 短波赤外線もしくは紫外光を用いたカメラがある。
- そのようなカメラを用いたときには、異物検出が簡単になる場合がある。
- そのような事例の調査結果をメモする。
なぜ、RGBカメラ以外を用いるのか
次の図は、モンシロチョウの可視光画像と紫外線画像である。
引用元
モンシロチョウのオスは紫外光で暗く見える。モンシロチョウは紫外光が見えるので、モンシロチョウにはモンシロチョウのオスとメスとの違いが見えている。
そのような違いがあるときに、機械学習でのモンシロチョウのオス・メスの区別は簡単になる。
機械学習で分類可能なものは、取得したデータに分類のヒントになる特徴があるときだ。その特徴が明確であるときは分類できるが、そのような区別しやすい特徴がないときにはなすすべもない。
材料は、その吸収・反射特性が波長域によって異なる。そのため、RGB以外の波長でのカメラ画像が、異物を検出しやすいことがある。
そのため、異物検出には短波赤外カメラ・紫外カメラなどカメラや、マルチスペクトルカメラが使われることがある。
解説記事 近赤外線(NIR)と短波赤外線(SWIR)の特徴と使い分け
短波赤外線(1000nm以上2500nm未満の波長域)は水に吸収される。
NIRカメラの場合
pdf NIRイメージング技術
写真2)パンの乾燥状態の撮像。①は数時間保存したものを撮影
①は数時間保存したもの、②は購入時、パッケージから出したばかりのもの。可視光では判別でない状態でも識別可能となります。
短波赤外線カメラ(SWIR カメラ)の場合
紫外カメラ(UV カメラ)の場合
ハイパースペクトルカメラ
普及型分光カメラ
異物検出の機械学習に着手する方には
- 既存の異物検出の事例を元に、案件の異物検出にヒントを探してみてください。
- SWIRカメラ、NIRカメラ、UVカメラなどのカメラを検索してみてください。
- また、それらの波長域のレンズ、照明なども調べるとよいでしょう。
- SWIRと異物検出というキーワードで検索してみてください。
異物検出システムの運用時の留意点
以下の見解は、この分野では素人の見解です。
- 現場でのシステムの利用者が対応しやすいように作る。
- まだ学習させていない種類の異物が発生したときに、見逃しが少ないように作る。
- 例:おこげ検出の食品検出であっても、金属の異物混入を求められるかもしれない。
- 生産品目や異物の要因が変動することが考えられるので、それに対して現場で適応できるように作ること。
- 生産を10年、20年と続けていくためには、異物検出システムも入れ替えなくてはならない。
- システムを作ったときの学習用・評価用のデータを残しておくこと。
- システムをブラックボックスにしないこと。
- AIというアルゴリズムは存在しない。なんでもかんでもAIという言葉で説明しようとする業者は、自分たちで運用していく現場との相性が悪いかもしれない。(個人的見解)
注意
- ここで紹介している技術の中には特許が成立しているものがあるかもしれません。